結果ではなく過程をほめる

ほめるとやる気を起こさせるという人もいれば、いい気になって努力しなくなる、という人もいる。同じ「ほめる」でも結果が逆になるのは、ほめるところが違うからだ。
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shinshinohara @ShinShinohara

人を育てるにはほめることが大事という。山本五十六の言葉にも「やって見せ言って聞かせてさせてみせほめてやらねば人は動かじ」とある。ほめるからこそ努力する気も生まれる。 他方、ほめてはいけないという人もいる。ほめるといい気になって努力しなくなるという。 どちらもたぶん正しい。

2016-07-21 18:17:26
shinshinohara @ShinShinohara

ほめるとやる気を出す。ほめるといい気になって努力しなくなる。矛盾しているようだが、どちらも起こりうる。なぜ同じ「ほめる」行為が、一方では努力する意欲をかきたて、他方では努力する気が起きなくなってしまうのだろう?それは「ほめるところが違う」からだ。

2016-07-21 18:19:54
shinshinohara @ShinShinohara

ほめるといい気になって努力しなくなる場合、どこをほめているか。成績や成果などの「結果」だ。すごい成果を出したねえ、すごい結果だねえと、結果ばかりほめると、「俺はすごいんだ」と自己イメージが肥大化していい気になり、努力しなくなる。

2016-07-21 18:23:03
shinshinohara @ShinShinohara

ほめると勇気が湧き、ますます努力するようになるときはどこをほめているか。結果ではなく「工夫・努力・苦労」だ。つまり、結果を出すまでの過程をほめている。ここをほめられると「分かってくれた」と嬉しくなり、ますます創意工夫を重ね、努力しようとする。

2016-07-21 18:26:46
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ結果をほめるといい気になり、努力しなくなるのだろう?実は、不安を与えるからだ。「すごい結果だね」とほめると、次はもっとすごい結果を出さなければほめてもらえない気がしてしまう。するとそのためにどれだけ努力しなければならないか不安になり、挑戦する前から疲れてしまう。

2016-07-21 18:29:35
shinshinohara @ShinShinohara

すると、「もっとすごい結果」を出すというしんどいことをするよりも、いま「すごい」と言ってくれた成果で自分を飾り立てるという防御本能が働きやすい。結果をほめるといい気になって努力しなくなるのは、もっとすごい成果を出す自信と気力を失い、不安に陥り、過去の結果に逃避しているのだ。

2016-07-21 18:35:22
shinshinohara @ShinShinohara

結果をほめる行為は、相手に「次はもっとすごい結果を出すことを期待しているよ」という暗黙のメッセージを伝えてしまい、相手にプレッシャーを与える。もっとすごい成果を出すにはどれだけ努力しなければならないだろう、と気が遠くなってしまい、努力する気を失わせてしまうのだ。

2016-07-21 18:38:10
shinshinohara @ShinShinohara

せっかくすごい成果を出したのに、もっとすごいすごい成果を期待しているかのようなメッセージを暗黙とはいえ伝えてしまうと、相手を疲れさせてしまう。再現なく努力し続けなければ、しかも努力の度合いをどんどん高めていかなければならないのかと思うと、始める前から疲れてしまう。

2016-07-21 18:42:30
shinshinohara @ShinShinohara

結果をほめると、「俺はまだ本気出してないだけ」モードに相手を追い詰めてしまう。「君はあれだけの結果を出したんだから、努力すればきっとまたすごい結果を出せるよ」と慰めれば慰めるほど、過去の栄光の殻に閉じ籠って出なくなる。「もっとすごい成果」を出せないかもという不安に怯えて。

2016-07-21 18:45:01
shinshinohara @ShinShinohara

「俺は本気を出せばすごいんだ」と自信過剰になっているように見えるのは、実は虚勢。もうこれ以上努力するのは疲れた、もうイヤだ、努力したくない、もっとすごい成果を出せないかもしれないことが怖い、実はちっちゃい本当の自分に直面するのが怖い、という不安の裏返し。

2016-07-21 18:47:34
shinshinohara @ShinShinohara

「ほめると傲慢になり、努力しなくなる」というのは、結果にフォーカスしすぎて相手を不安にさせ、疲れさせ、努力する気力を奪って、虚勢を張るしかないところにまで追い詰めてしまった状態だ。だから、成果や成績、結果のすごさをほめるというのは、気を付けなければならない。

2016-07-21 18:49:37
shinshinohara @ShinShinohara

では、「工夫・努力・苦労」をほめる場合はどうだろうか。結果の大きさは運によるところも大きい、という基本姿勢が暗黙のうちに伝わるので、「もっとすごい成果」を強いられている感覚を持たせずに済む。

2016-07-21 18:54:11
shinshinohara @ShinShinohara

小さな工夫、努力、苦労をほめられると、次も工夫を重ね、努力し、苦労を厭わないようにしよう、という気持ちになる。この人は自分がどこを頑張ったか、きちんと見てくれていると思うから、嬉しくなる。

2016-07-21 18:56:22
shinshinohara @ShinShinohara

みんな、分かっているのだ。「すごい結果」はもちろん工夫や努力、苦労なしには成し遂げられないものだけども、多分に「運」が混ざっていることを。だから、結果をほめられると自信がつくよりも不安になる。運は自分の力ではどうしようもない部分だからだ。

2016-07-21 18:59:26
shinshinohara @ShinShinohara

しかし工夫・努力・苦労ならば、自分の力でなんとかできる部分。実は、一番ほめてほしい、認めてほしい部分でもある。打率4割を超えたことをほめられても「はあ」と答えるしかないが、「フォームを変えましたか?」と言えば「よくぞ聞いてくれました!」と、嬉しそうに語ってくれるようなもの。

2016-07-21 19:03:35
shinshinohara @ShinShinohara

結果は自分の「外側」のもの。誰からも見える。しかし工夫や努力、苦労は内面。他人には見えにくい。しかし工夫や努力、苦労こそ、本当にこれでうまくいくんだろうかと不安になりながらも、諦めずに続けた、もっとも思いの強い部分。だからここに気づいてほしいと願うものなのだ。

2016-07-21 19:06:25
shinshinohara @ShinShinohara

「すごい結果だねえ」と結果をほめるのではなく、「どこを工夫したの?へえ、それは面白いねえ!」「頑張ってるの、はたから見ていてもよく伝わったよ」「一番苦労したところはどこ?」結果を出すまでの過程に着目し、好意的な反応をみせてくれると、人間は嬉しくなる。

2016-07-21 19:43:37
shinshinohara @ShinShinohara

私自身、経験がある。「京都大学に受かったってすごいねえ!」と言われても「はあ」と答えるしかなかった。しかし前年、京大を落ちて中堅大学に合格したとき「お母さん入院して大変だったのに、家事もしてよく頑張ったねえ」と涙を流して喜んでくれた近所のおばあさんの言葉は、今も胸が熱くなる。

2016-07-21 19:45:26
shinshinohara @ShinShinohara

自分がつらかった、苦しかったところに思いをいたしてくれる言葉をかけてもらったとき、どれだけ胸が熱くなるものか。結果は自分の外側でしかないが、内面の苦労を察してくれたとき、人は「分かってくれた」と嬉しくなる。

2016-07-21 19:47:42
shinshinohara @ShinShinohara

部下にやる気を持続してもらいたいなら、工夫や努力、苦労といった、結果を出すまでの過程に着目し、その苦労をいたわることだ。するとますます創意工夫を重ね、努力しようとする。仕事への意欲をますます高めるだろう。結果をほめるのではなく、それまでの過程で重ねた工夫・努力・苦労をほめるべき。

2016-07-21 19:50:26
shinshinohara @ShinShinohara

結果をほめるのではなく、過程をほめる。ほめるところを間違うと大変なことになる。注意したい。

2016-07-21 22:23:43