ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ 【7:ポラライズド】 #2

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第3部最終話「ニンジャスレイヤー:ネヴァーダイズ」より

2016-07-25 17:02:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カスミガセキ・ジグラット。平時、その最上階層は汚染雲よりもさらに高みに位置し、暗黒メガコーポのCEOらが清浄なる空気と日光を享受して、汚濁のネオサイタマに浮かぶ楽園のごとき屋上庭園に遊ぶ。

2016-07-25 17:04:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがいまや、超自然の吹雪により最上階層から雲は完全に打ち払われている。そしてキャップストーンの如き頂上部の覆いは四方に展開し、電磁バリア柵によって守られたコアユニットを露出させているのだ。その中心にある三連複合トリイ型装置からは、眩い通信レーザーが発射されている。月面に向かって。

2016-07-25 17:10:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

この屋上コアユニット周辺に、アマクダリの本営がある。ザイバツにとっては、落とすべき本丸である。最終防衛網を突破し、ジグラットの斜面を駆け上ってカラテ乱戦に持ちこむことに成功したザイバツは、一方的に射撃を受けねばならなかった大通りでの不利から一転、個々の力でしばし優位に立った。

2016-07-25 17:17:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

先陣を切りジグラット南から攻め上るニーズヘグ。やや後方、南西からはパーガトリー。戦端が開かれるやいなや、この二人の巻き起す刃の嵐と暗黒カラテミサイルの乱射だけで十近いペイガンが爆発四散を遂げた。アマクダリは斜面中腹、トランスペアレントクィリンを中心に防衛網を構築、敵の勢いを削ぐ。

2016-07-25 17:21:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

まとわりつく死衣を払うように、ここでダークニンジャとユカノを中心とする精鋭部隊が斬り込んだ。左右に広く展開した敵の守りを突き破り、中腹を越え、敵本丸めがけ猛然と突き進んだ。アマクダリの高所の有利など何するものぞとばかりに、敵の血飛沫と爆発四散の跡を残しながら斜面を駆け上ったのだ。

2016-07-25 17:29:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

中腹。ドモボーイとディミヌエンドは、空中で互いの足裏を蹴って飛び分かれ、トランスペアレントクィリンが放射する死の光を辛うじて回避し、仰ぎ見た。ドラゴン・ニンジャとハガネ・ニンジャが並び立って進軍し敵を蹴散らすさまを。それはフジサン裾野のニンジャ大戦伝説を想起させる勇壮さであった。

2016-07-25 17:38:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ザイバツの破竹の勢いの進撃は、一方で、迫る破滅への焦燥感に突き動かされた無謀なる突撃でもあった。早期にイクサを決着させねば、彼らは忘滅の彼方に消し飛ぶのだ。そして今、第3の衝撃波と冷気が走り、ヤジリの前にホワイトドラゴンが立ちはだかったことで、趨勢は再び大きく変わろうとしていた。

2016-07-25 17:46:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」砕けザイバツ紋のニンジャ装束を纏ったニンジャ、デッドスプリントが、黒い爆発によって生み出された空中での飛行起動変更を以て、鋭い水平突進カラテチョップを繰り出した。「グワーッ!?」心臓を貫かれ、ペイガンは即死。爆発四散する寸前に、デッドスプリントはその死体を蹴り渡る。

2016-07-25 17:56:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」「サヨナラ!」爆発四散のエネルギーすらも新たな跳躍の勢いに変えて、デッドスプリントは敵将トランスペアレントクィリンの背後を狙った。前方には視界を歪めるほどの極彩色プリズム光。クィリンの周囲には、クィリン自身が背負う虹色の光輪と同様の病んだ光が、常時放散されている。

2016-07-25 18:01:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

トーガ風ニンジャ装束を纏ったクィリンは、タタミ8枚の距離からニーズヘグが繰り出す鞭状のヘビ・ヘン斬撃を、目にも留まらぬカラテで弾き返していた。ニーズヘグですらも中距離の戦いを余儀なくされる。クィリンの放つ病んだ太陽光線に至近距離で晒され続ければ、それだけで細胞が崩壊し死ぬからだ。

2016-07-25 18:07:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」デッドスプリントは黒い爆発を生み出し、真空トライアングル・リープを決め、敵の死角から突撃チョップ突きを繰り出した。はずだった。次の瞬間。視界は眩い光に覆われ、何も見えなくなった。チョップ突きは回避され、彼は顔を片手で掴まれたまま、無防備な人形めいて引きずられていた。

2016-07-25 18:13:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

恐るべきカラテであった。クィリンは敵の奇襲に気づいていた。ヘビ・ケン鞭の猛攻を弾きながら、後方へと手をかざし、扇状に収束したプリズム光のシャワーを放って視界を奪うと、即座に片手で敵の顔面を拘束したのだ。「太陽の恵みを与えて進ぜよう」表情の読めぬクリスタルの顔で、クィリンは言った。

2016-07-25 18:19:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバッ!アババババババババーッ!」デッドスプリントは全身をガクガクと痙攣させ出血した。末端体組織は内側から発光しながら崩落して足元にこぼれ落ち、白いトーフ・ユバ状の原始生物じみてうごめいた。凄まじい速度で遺伝子変異が引き起こされていた。そこへ、ドモボーイがインタラプトを試みた。

2016-07-25 18:27:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(無茶!)ディミヌエンドの念話が飛んだ。(生き残っても、負けイクサなら死んだも同然!サイバネなら少しは持つ!)ドモボーイはサイバネ腕をかざし、挑みかかる!「イヤーッ!」クィリンはデッドスプリントを放り捨て、両手を円状に動かす。「イヤーッ!」

2016-07-25 18:36:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドモボーイの連続カラテパンチは紙一重でいなされ、最後は拳を掌握された。歯を食いしばり拳に力を込めるが、押しも引きもできぬ。目の前に神の如き彫像の顔が見えた。ドモボーイは鼻血を垂らしながら、咄嗟に目を閉じ、闇雲に応戦した。腕をねじり上げられ跪いた。サイバネ接合部から崩壊が始まった。

2016-07-25 18:43:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(アホウが!)ニーズヘグの念話が飛んだ。ゆえにドモボーイは備えられた。「イヤーッ!」「グワーッ!」次の瞬間、痛烈な連続斬撃がドモボーイの腕の付け根を襲った。引き戻されたヘビ・ケン鞭がノコギリめいてサイバネ腕を切断したのだ。ドモボーイは死に物狂いで側転、飛びのいて死の光から逃れた。

2016-07-25 18:51:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!」ドモボーイは片腕で側転を決め、カラテを構えた。横にディミヌエンドが立った。「心意気は悪くない!その調子で派手にやれ!カカカ!どうじゃ、楽しかろう!?」ニーズヘグは周囲に群がってきたペイガンを蹴散らし、哄笑しながら、再びクィリンを狙う!「最高のイクサじゃ!」

2016-07-25 18:57:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ドンコドンコドンドン!弓矢の狙撃を受けてしばし鳴り止んでいたブロンタイドの太鼓が、再び高層ビル屋上から届く!「イイイヤアアーーッ!」ニーズヘグは凄まじい速度でヘビ・ケン鞭を振り回し、間合いを詰めてクィリンとの打ち合いに入る!「おう!パーガトリー=サン!そっちはまだ片付かんか!?」

2016-07-25 19:04:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その怒声が届けられた、南西の斜面。「ハエどもが五月蝿くての……!」パーガトリーは上空から射撃してくるツェッペリン編隊めがけ、歩く砲台の如くに、応戦の連続カラテミサイルを叩き込む。「イイイヤアーーーーッ!」BOOM!BOOM!BOOM!ツェッペリンが揺らぎ、爆発!KA-DOOOM!

2016-07-25 19:12:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ざまを見よ。汚い花火よな、タマヤ!」パーガトリーは短いザンシンを決めながら笑った。再定義の第3波が吹き抜け、オヒガンが接近したことで、いまや彼のカラテミサイルは戦略兵器じみた猛威を振るう。故に、アマクダリの物量が彼を押し止めるのだ。ゴウン、ゴウン、ゴウン…!さらなる編隊が接近!

2016-07-25 19:17:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「妙な」パーガトリーはそれを睨め上げ、目を細めた。本来は小回りの利かぬ巨大飛行兵器が、異常な速度で回頭し、押し寄せてくるとは。「どこぞから操っておるな……!」然り。これぞアマクダリ・ニンジャ、サーヴィターのジツである。パーガトリーはニンジャ第六感を研ぎ澄まし、ジツの出処を探った。

2016-07-25 19:22:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

無論、落ち着き払っている暇などない。ツェッペリン第二波の襲来を待たずして、周囲からスリケンと銃弾が襲う!BRATATATA!アルデバラン、ヘヴィレインらに率いられたペイガン部隊である。「イヤーッ!」護衛役スパルトイは、パーガトリーとともに動きながら、蛇矛で銃弾とスリケンを凌ぐ。

2016-07-25 19:25:35