壁打ちまとめA

女体化で壁打ちしてるやつ
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イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

え、これ書きたいネタに上げてた女体化もの書けってこと? 水被ってって完全にら●まだよね? 水を被ると女の子になってしまう一松×ぼんやりしているカラ松 #毎日一カラ診断メーカー shindanmaker.com/575366

2016-06-11 08:48:40
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「おはよう一松」 洗面所で声をかけられて振り返ると、カラ松が立っていた。カラ松はへんにょり眉を下げて言う。 「……まだ戻らないのか」 「そーだよ見りゃわかるでしょクソ松」 正面に視線を戻せば、鏡の中には半目でぼさぼさの髪の女性。 松野一松、女になってから7日目の朝のことであった。

2016-06-11 09:06:25
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

刺激性性転換症候群、という病気がある。 これは一定の刺激を受けると、一時的に性別が本来のものではないものに変わってしまう病気だ。そのきっかけとなる『刺激』は多岐に渡っていて、たとえば一定以上の痛みを受けること、ある食べ物を摂取すること、とても悲しい気持ちになること、など様々だ。

2016-06-12 00:44:52
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

患者数はそこまで少ないという訳でもなく、おおよそ三十~四十人に一人程度はいる。なので大抵の人は学生時代を思い返せば、そういうクラスメイトがいたなあという記憶があるくらいにはありふれた病気だった。 一松もそのひとりなのだが、六つ子の中でも同じ病気を持つ松はいない。

2016-06-12 00:49:37
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

そして一松の場合は、性別が転換するきっかけとなる刺激は『水に濡れること』であった。色々調べた結果、体温より15度以上差のある水で、身体の5割以上、水が滴るほどの水量で濡れると変化してしまう。よって顔や手を水で洗う程度はまず問題ない。 患者の中でも、比較的に日常生活に問題ない方だ。

2016-06-12 00:54:21
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

その一松が一週間前、急に雨に降られて性転換してから元に戻らなくなってしまった。 これまでの例だと長くて3日程度だったので、今回は相当に長期化している。 ちなみにこの病気、どこぞの中国の呪われた泉のようにお湯をかければ戻る類のものではなく、自然に治るのを待つしかない。

2016-06-12 00:58:56
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

患者数が結構多い割には解明が進んでいない難病なので、病院に行ってもあまり意味がなかった。治療法もない。 そして――稀に性別が転換したまま一生を終えてしまう患者もいる。 そういう訳で家族は結構やきもきしているのであるが、一方当の一松はふだんとまったく変わりない日々を過ごしていた。

2016-06-12 01:05:21
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「今回長いなあ市松ぅ」 遅松がそう言いながら、頭ひとつ低くなった市松の頭を撫でる。他の兄弟もどことなく気遣わし気である。 いかにクズでニート、童貞な六つ子とはいえ、女になってしまった兄弟に欲情はしない。遅松が合コン選抜の際女装した椴松を押し倒したが、あれは冗談で許されるからだ。

2016-06-12 22:27:17
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

さすがに発症したらまったく普段通りとはいかない面も出てくる。例えば銭湯には行けないし(法律で決まっていて女湯にも入れない)、体格差や筋力差が出てしまうので兄弟とのプロレスにも加われない。女ひとりでは不用心なので、親友たちに会いに路地裏に行くのも、早めに切り上げなくてはいけない。

2016-06-12 22:32:35
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

市松がそういうことをひそかに寂しがっているのをみんな知っているので、どうしようもない部分以外はつとめて普段通りに接するようにしていた。 市松もそれにはきちんと気がついていて感謝はしているのだけれど、口には出さない。 けれどなんで自分だけ、と思うことはある。市松はため息を吐いた。

2016-06-12 22:38:17
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

そしてそのまま、なんと二週間経っても市松の身体は元に戻らない。そんなある日。 「市松、ちょっと」 松代にこっそりと呼び止められてついて行くと、松マークの入った紫の巾着を手渡される。大きさはティッシュ箱くらい。中を覗き込んで市松は絶句した。松代の顔を見る。ため息を吐いていた。

2016-06-12 22:43:40
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「もしかしたら来るかも知れないし、持っておきなさい」 中身は生理用品だった。ショーツと普通の日用の。いやそれはどうでもいいことだ。こういう病気なので、このような生理現象のレクチャーについては受けたことがあるが、今までは変化がわずか数日だったので、実践の機会はなかった。

2016-06-12 22:47:38
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「使い方はわかるわよね?」 松代が尋ねてくるのにこくり、と市松はうなずいて、こっそり無人の六つ子部屋に戻る。そうして自分のタンスの段の一番奥に巾着をぎゅうぎゅうと詰め込んで、乱暴に閉めた。 それから部屋の隅でなにかを押し込めるように力いっぱい膝を抱えて、その日は外に出なかった。

2016-06-12 22:52:17
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「にーさん今回は長いでんな~」 ぶうんっ、ぶうんっ、と河原でバットを振る拾四松が、なんでもない口調で言う。さすがに女になっている間はバットの代わりもお休みである。市松は別に構わないのだが、周りが気にする。 「せやなぁ拾四松はん」 呟いた声は我ながら元気がない、と市松は思う。

2016-06-16 22:58:16
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

ぴたりと素振りをやめて、ひとつ下の弟がこちらに視線を向けた。 「にーさん、さみしい?」 いつもながらの直球ぶりに、市松は少しの間押し黙った。一回り小さく細くなってしまった両手を見下ろして、考え込む。さみしいのは確かにさみしい。男の姿だったらできることができないのも嫌だ。

2016-06-16 23:02:09
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

自認している性別と身体の性別が食い違うのは単純にストレスだ。 でもそれ以上のなにかにもやもやとしたものを感じていて、気持ちがまったく晴れない。 「さみしいっていうのはあるけど、なんかそれだけじゃなくてもやもやする」 拾四松は「そかー」と言ってふたたび素振りを再開しながら言った。

2016-06-16 23:08:45
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「すかっと一発バットしマッスル?」 悪くない申し出で正直心は揺れたが、体調がいまひとつだったので断ることにした。 最近どうも身体が少し重たく感じる。太ったのかなと思ったが体重は別に変わっていなかったし、熱もない。身体の芯の部分になんとも言えない疲れがあって、思考もさえない。

2016-06-16 23:16:12
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

そう言うと、拾四松もなんでしょうなあと首を傾げてしまう。風邪だったら治すよ! と元気よく言われたが、それは丁重にお断りした。 女体化に拾四松化まで加わったらもはや収拾がつく気がしない。変な化学反応でも起こして妙なことにでもなったら、困るのは市松なのである。

2016-06-16 23:21:39
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

拾四松はそっすかーとあっさり引き下がったが、いつもと変わらない笑顔の中で、眼だけはやりたそうな感情を映し出している。 可愛い弟が助けてくれようとするのは嬉しいが、兄にも受け入れられることと受け入れられないことがあるのだ。 市松は心の中だけでつぶやいて、そっと弟から距離を取った。

2016-06-16 23:27:08
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「市松兄さん今回は長いねぇ」 釣糸を垂らしながら、椴松が言う。その横で市松も釣り竿を握って、水面にぼんやりと視線を落としていた。水に濡れると病気が発症してしまう相手を(しかも長期化している)釣り堀に誘うとはなかなかできない芸当だと思うのだけれど、変に気を使われるよりはありがたい。

2016-06-17 20:38:30
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

「そうだね本当に長い」 返事だけはしつつも、市松の頭にはいつかのチョロ松と拾四松のデリバリーコントの記憶がよみがえっていた。チョロ松は潔癖症のケが少しあるくせに、デリバリーコントのためによく釣り堀なんかに飛び込んだよなあと妙なところで関心した。しかも珍しくボケだったし。

2016-06-17 20:42:09
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

そんなことを考えながら、市松は釣り竿を一旦置いてゴソゴソと身体をよじる。 「なにしてんの兄さん」 「いやブラがずれて」 「ブッ!?」 胡乱げに弟が尋ねてくるのに、市松はありのままを返答する。女体化したときでも基本的に市松の服装は変わらない。ちょっとダボつくが不便はない。

2016-06-17 20:48:47
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

ただし下着だけは事情が異なる。パンツはブリーフのままだが、かぶるタイプのスポーツブラが加わる。伸縮性があるのでつけたまま男に戻ってもなんとかなる優れものである。 市松としてはどちらかと言えばつけたくはない。つけたくはないのだが、ノーブラだとポジションが実に落ち着かないことになる。

2016-06-17 20:54:20
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

立派なサイズという訳ではない。が、それでも固定しておかないと歩く度にぶらぶらする程度にはある訳で。よって仕方がなく着けている。 そのブラが、なんの拍子にかポジションからズレた。座りが悪くてゴソゴソしていたのだが、パーカーの裾から手をつっこんで直接直そうとしたところで手を掴まれる。

2016-06-17 20:58:26
イチ@ぐうたら類(原稿中) @ichi_p01

顔を赤くした椴松だ。 「その、あの、ブ、ブラ直すならトイレ行って!」 「え。でもすぐ終わ」 「いいから! ハリーハリーハリー!」 その剣幕に押されるようにして、市松は多目的トイレに入り、ブラを直してすぐ出てくる。そして戻ると、怒涛のように説教された。曰く。

2016-06-17 21:04:22