☆渋谷すぱる&村上信五【茜空】

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蒼いの∞妄想部屋(美水の間) @yasusu_ao

《渋谷すばる&村上信五》 【茜空 0】 そう遠くない昔 お江戸からちょっと離れた 山あいの村 貧しいながらも 皆、一生懸命生きてる そんな時代のお話……

2016-07-29 03:52:55
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【茜空 1】 大人も子供も 皆、一生懸命生きてた 明日の事など 誰も考えてなかった 今日を 今を 生きてゆくのに 精一杯で でも それなりに 楽しく 暮らしていた 親を手伝いながら 子供達は野山を駆け回り 和気あいあいと 過ごしていた すばるも そんな子供の一人だった…

2016-07-29 03:53:00
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【茜空 2】 「すばる!」 『なんや』 「後で川いこ」 『ええよ』 「また笹舟流そうよ」 『おん』 「それじゃ、いつもの木のところでね!」 恋… と、呼ぶには 幼い二人 親とも違う “好き”って気持ち 相手の事を思うたび 胸の奥がきゅうってなって 暖かくなって 淡い淡い恋心…

2016-07-29 03:53:05
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【茜空 3】 「わぁーすごい!」 『そないな事あらへん』 「すばるは笹舟作るの上手だよね」 ただ川原で二人でいるだけ それだけなのに 笹舟を作って流して それだけなのに ずっと一緒にいたい そう思ってしまう二人 沈み始めた太陽が 空を茜色に染めてゆく 怖いぐらい綺麗だ…

2016-07-29 03:53:13
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【茜空 4】 空が茜色に染まる時 それは帰らなければならない合図 だから二人は 茜色が嫌いだ その日は 一際鮮やかな茜色の空 なんだかわからないけど 怖くなって すばるにしがみつく女の子 「すばる…怖い…」 『大丈夫や…掴まっとけ…』 女の子を愛おしいと思った…

2016-07-29 03:53:15
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【茜空 5】 その夜 女の子は両親に告げられた まもなく迎えが来る、と 村から出る それは すばると離れる もう一緒にいられない… 次の日もいつもと変わりなく 笹舟を流す二人 「すばる…もう来ないね」 『なんでや?』 「迎えが来るんだって」 『…』 今日も綺麗な茜色だ…

2016-07-29 03:53:19
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【茜空 6】 女の子が川を越えて 村を出て行ってから すばるは川原に行かなくなった もう、笹舟も作らない 空が茜色になるまで 外にいることもなくなった ……いつも ……下を向いて ……歩いてた 程なくして すばるの奉公先が決まった そして すばるも川を越えて 村を出た…

2016-07-29 03:53:23
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【茜空 7】 大きな遊郭に 僅かなお金と 引き換えに やって来た女の子 まだ小さく この遊郭一番の器量よしの 姐さんの目にとまって 下働きにと 姐さんの部屋子になった 綺麗姐さん 左肩にお華の痣 大きな御店の旦那さんが 毎夜のように通ってくる でも姐さんは 寂しそうだ…

2016-07-29 03:53:27
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【茜空 8】 姐さんは 旦那さまからの 身請けの話を断り続けてた だけど、幾年月か過ぎたある日 何かの決心をして 身請けの話を受けた それは いつも決まった時刻に 遊郭の前に佇む どこぞの御店の若旦那が 流行病で亡くなったから 部屋の小窓に腰掛けて 見つめあってた二人…

2016-07-29 03:53:32
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【茜空 9】 姐さんは 窓辺でぼんやりしてる事が増えた 〈茜…〉 「はい」 〈おいで…〉 〈そろそろ茜も水揚げやろ…?〉 姐さんは すばると似てる話し方だ 「…」 〈ええ人にお願いできるとええなぁ〉 「姐さん…」 〈うちがここ出たら、この部屋使い…〉 〈空が赤いなぁ…〉

2016-07-29 03:53:36
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【茜空 10】 「でも、ここは…この部屋は…」 〈ええんよ うちがおかあさんに話つけとくよって〉 〈茜はよう働くええ子や〉 〈器量もええし…〉 〈せや…村上の旦那はんにお願いしたろか〉 「姐さん…それは…」 〈村上の旦那はんやなくても、誰かえぇ人見繕ってくれはるやろ〉

2016-07-29 03:53:40
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【茜空 11】 「姐さん…」 〈茜…〉 〈初めては大事や〉 〈これからどれだけの男と枕をともにするかわからへん〉 〈気に染まぬ男がほとんどやろ〉 〈やけど、それがうちらの仕事や〉 〈せやから、せめて初めてぐらいは…〉 〈優しゅうしてもろうてや〉 「姐さん…」 〈大事な妹や…茜〉

2016-07-29 03:53:44
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【茜空 12】 〈茜…心強くもつんや〉 〈心穏やかに強く過ごせば〉 〈ここも、そう悪いとこやないで…〉 そう言って 姐さんは夕焼けに染まった 空の向こうを眺めた すばる… すばるは今どこにいるの? まだ村にいるの? すばるはどんな男の人になったの? 誰かと夫婦になった?

2016-07-29 03:53:49
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【茜空 13】 大きな御店の村上の旦那さま 姐さんを身請けする人 私はその方に水揚げされるの? その方は優しくしてくださるの? 不安で胸が苦しくなる 姐さんがいなくなったら… そう考えるだけで涙がでた その夜 村上の旦那さまがいらした 若い男の人と一緒に あの方は誰?

2016-07-29 03:53:54
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【茜空 14】 おかあさんに呼ばれた 私の水揚げの日は そう遠くない おかあさんの話によると 私は姐さんと村上の旦那さまのおかげで 破格の扱いをしていただけるらしい こんなに可愛いがっていただいて 私は幸せ者だ ねぇ…そうだよね… たとえ、すばるに逢えなくても そうだよね…

2016-07-29 03:53:59
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【茜空 15】 姐さんが 綺麗な橙色の着物を作ってくれた その着物を着て お部屋に向かう 粗相の無いように 優しくしていただけるように おとなしゅうして 言われた事を 肝に命じて 襖を開けた 三指ついて 頭を垂れて 震える声で 挨拶した 「茜と申します」

2016-07-29 03:54:03
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【茜空 16】 〔顔、あげてや〕 そう言われて あげた顔の先は 村上の旦那さまではなかった 「あの…」 「村上の旦那さまは…」 〔ああ、おやじなぁ〕 〔今日はどうしてもはずせない寄り合いがあんねんって〕 〔俺が代わりに来たんやけど〕 「はい…」 〔アカンかった?〕

2016-07-29 03:54:08
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【茜空 17】 「いえ…あの…どちら様で…」 〔俺?信五や 息子やねん〕 「信五さま」 〔なんや、こそばいな 信五でえぇよ〕 「いえ、それはなりません」 〔まぁ何でもえぇわ〕 「あの…それで…」 頬を紅く染め俯く その姿が妙に初々しくて 胸が高鳴った 「今宵は信五さまが?」

2016-07-29 03:54:12
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【茜空 18】 〔おやじには、そう言われとるけど…〕 「さようでございますか」 「今宵はよろしくお願いいたします」 また三指ついて 頭を深々と下げた 〔えぇから顔上げてやぁ〕 〔少し話ししよや〕 「はい…」 せやけど茜は口数が少なくて 俺ばっかり喋っとった 当たり前やな…

2016-07-29 03:54:16
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【茜空 19】 そらそやろな 見ず知らずの男に 金で抱かれる 自分が好むとも好まざるとも まして初めてともなれば 余計に思う事あるやろな 口数やて減るわ 〔茜…〕 手を引いて 抱きよせたなら 体を震わせながら 消えそうな声で 「はい…」 と、返事した 〔怖いか?〕

2016-07-29 03:54:20
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【茜空 20】 「…はい」 声だけやなく 姿も消えてしまいそうなぐらい 儚く見えた 〔茜、大丈夫や〕 〔俺に任せたって〕 仔犬のように震え 潤んだ瞳で見上げてきた 「はい…よろしゅうお願いいたします」 ずっと お願いばっかりしとる 可愛えくて 強くキツく抱きしめた

2016-07-29 03:54:26
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【茜空 20】 「…はい」 声だけやなく 姿も消えてしまいそうなぐらい 儚く見えた 〔茜、大丈夫や〕 〔俺に任せたって〕 仔犬のように震え 潤んだ瞳で見上げてきた 「はい…よろしゅうお願いいたします」 ずっと お願いばっかりしとる 可愛えくて 強くキツく抱きしめた

2016-07-29 03:54:26
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【茜空 21】 「信五さま…優しゅうしてくださいませ…」 〔おん 大丈夫や…任せたって…〕 褥に沈む生娘のカラダ 俺が初めて痕をつけるんや なんや不思議な気分 女なんて何人も抱いてきたし おやじの勧める 御店の娘を嫁にもろうた 不自由なんてしてへん やのになんでや

2016-07-29 03:54:32
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【茜空 21】 「信五さま…優しゅうしてくださいませ…」 〔おん 大丈夫や…任せたって…〕 褥に沈む生娘のカラダ 俺が初めて痕をつけるんや なんや不思議な気分 女なんて何人も抱いてきたし おやじの勧める 御店の娘を嫁にもろうた 不自由なんてしてへん やのになんでや

2016-07-29 03:54:32
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【茜空 22】 俺も緊張しとる 橙色の着物を脱いで 赤い襦袢姿 胸元を大きく広げ まだ誰も触れてない 胸を露わにする まだあどけなさが残る 少女の顔と体 そっと、その乳房を掴んでみた 硬く熟してない膨らみ まだ月のものも知らんのやろなぁ… 硬い蕾を口に含んだ

2016-07-29 03:54:40