20160527_もらったお題を全部まとめて一つにする【ピースフル・サニーデイ】

グラスキャットの特技が増えた。ジャックポット=サンとソリティア=サンはそれぞれテンさんとジャックさん宅のニンジャとなっております。
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テキストカラテ用yulou @glscat

#もらったお題を全部まとめて一つにする が何とか完成したので投稿します。 お題は、 バーベキュー、バルカン、デストローイ!、魔王、宇宙人、特技は「あ゛ー」ってやってガラス割るやつ、串カツ、あずきバー、森鴎外、コブシメ です。

2016-07-01 22:34:17
テキストカラテ用yulou @glscat

珍しく晴れ渡る、ここはネオサイタマの片隅。そこに見えるは、武具等様々な商品を扱う「ヒノモト・ワークショップ」である。個性的な文字で描かれた看板が、人通りの少ない道にあっても目立つ。その入口に向かうのは猫耳付きヘッドフォン端末とサイバネ尻尾が自慢のニンジャ、グラスキャット。

2016-07-01 22:37:10
テキストカラテ用yulou @glscat

(((まさか全員予定が合って……そのうえ晴れるとはね)))グラスキャットは時間を確認しながらひとりごちた。ひどくうなされた翌日のこと、彼女は一部の知人に声をかけ、ささやかなイベントを開くことにしたのだ。バーベキュー。やがてグラスキャットはワークショップに到着した。

2016-07-01 22:38:14
テキストカラテ用yulou @glscat

店の入り口には「11:00〜、予約者のみ」と記載されている。グラスキャットは戸を開け、中に入った。途端に賑やかな声が耳に入り、思わずそちらに目をやる。ワイングラスを囲む男女二人。

2016-07-01 22:41:04
テキストカラテ用yulou @glscat

「トラベラー=サン、無理ですって」「いや!いけるさ!信じれば!」とワイングラスの前で意気込むのは女ニンジャのトラベラーである。「あっグラスキャット=サン。昨日やってた奴見ました?声で割る……っていう」「いや、見てないね」

2016-07-01 22:41:50
テキストカラテ用yulou @glscat

ややトラベラーに呆れた様子の新人ヤマカに、グラスキャットは肩をすくめてみせた。昨晩はラジオを流しながら武器のメンテナンスをしていた。「で、それを……トラベラー=サンが見たわけか」「そう。まあ見てなよ、絶対割れるから!」妙な自信と共にトラベラーは言い放ち、グラスに向き直った。

2016-07-01 22:44:56
テキストカラテ用yulou @glscat

「ア゛ー」「……」「ア゛ーー」「……」「……」暫しの沈黙。グラスキャットは寄り、ワイングラスを軽く指で弾いた。涼やかな音が鳴る。「解析して」『完了な。周波数』「よし……MYAAAAA」CRACK!鋭い音を立て、ワイングラスが割れた。二人の視線がグラスキャットに向く。

2016-07-01 22:45:47
テキストカラテ用yulou @glscat

「音波解析……そんな機能も付けていましたね」宇宙人でも見ているかのような表情の二人を尻目に、ヒノモトがしれっと言った。「いい特技になりそう」解析が必要なのを除けばね、とトラベラー。表情を崩せていない。と、店のドアが開き、二人の客がやって来た。「オッ、ネコチャン。ここで当たりか」

2016-07-01 22:47:49
テキストカラテ用yulou @glscat

開口一番に言ったのは、やや豪華な装束をまとった男である。「ネコチャンって言うの、そろそろやめてくれないかね。ジャックポット=サン。……その服何とかならなかったの?」「ソウルがなァ」ジャックポットと呼ばれた男は頭を掻いた。「ソリティア=サンはわりとちゃんとしてるのに」

2016-07-01 22:48:30
テキストカラテ用yulou @glscat

その言葉に、もう一人の客……そちらも男であり、洒落た帽子を被っている……が肩を竦めた。「多少の普段着は必要だからなァ」「でもその帽子なんだよね」「まァなァ。……で、俺はここは初めてなンだけどよォ」「俺もだな」ジャックポットとソリティアの言葉を聞いて、店長ヒノモトが口を開いた。

2016-07-01 22:50:02
テキストカラテ用yulou @glscat

「ドーモ、私がヒノモト・ワークショップの店長、ヒノモトです。そちらが店員のヤマカ=サン」ヒノモトが名刺を差し出し、呼ばれたヤマカが慌てて笑顔でオジギする。「で、私はヨージンボのトラベラーです。ドーモ、ニンジャのお二人」最後に、トラベラーがニヤリと笑いながら軽くオジギした。

2016-07-01 22:51:01
テキストカラテ用yulou @glscat

「ドーモ、ソリティアです」「ドーモ、ジャックポットです。さすがにニンジャ慣れしてンな」「じゃなきゃ私を雇わないよ」「仕事上接する機会も多いですしね」ヒノモトはのんびりとコーヒーを啜った。グラスキャットは辺りを見渡す。……店の隅に目が行った。「ンー?」

2016-07-01 22:52:06
テキストカラテ用yulou @glscat

足の短い小さなタコが、新たに設置された水槽の中で遊泳している。その動きに惹かれ、グラスキャットは歩み寄った。「何この……何だい」「バイオメンダコじゃねェか。珍しいモン置いてんなァ」後ろから顔を出したソリティアが興味深げに呟く。「得意先から一時預かりしていまして」

2016-07-01 22:56:15
テキストカラテ用yulou @glscat

「で、だ」ジャックポットが割れたグラスから目を逸らしながら言う。「どうやって行くんだ?アテがあンのか?」「私が車運転するよ、ワゴンがあるからね。ただしニンジャどもは走った方が早いんだ。分かるね」ニンジャ三人は顔を見合わせた。「自分の足で行けってか」ジャックポットは呻いた。

2016-07-01 22:57:34
テキストカラテ用yulou @glscat

……彼らは別々のルートで向かうべく店を出た。「……あんな汚染された川のほとりでバーベキューなんかしてもなァ……」「食えりゃあいいだろォ」「だな。だいたいネコチャンの奢りだしラッキーだぜ」「人が集まってよかったよ」グラスキャットは肩を竦めた。

2016-07-01 22:59:11
テキストカラテ用yulou @glscat

「早く行こう。トラベラー=サンの事だからこのままだと先に到着されちゃうよ」「癪だな」「ああ」三人は建物の屋根に飛び移り、最短ルートで駆け出した。

2016-07-01 23:00:42
テキストカラテ用yulou @glscat

グラスキャットの見立ては正しく、ワークショップ組は既に到着し、既に荷物を降ろしているところだった。「遅かったねェー」ニヤニヤと笑うトラベラー。「組み立てしますよ」グラスキャットは苦笑しながら、セットを荷物から引っ張り出した。「実際助かる」

2016-07-01 23:05:41
テキストカラテ用yulou @glscat

「ミャオーウー」「アー?ネコチャン、とうとうヘンゲヨーカイ・ジツでも覚えたのか?」車から降ろしたクーラーボックスの山の上に魔王めいて君臨するのはワークショップの看板猫、チャツボ。「ミャオーウー」「やるじゃねェか。ホラ、ネコジャラシだ」「ミャオーウー」

2016-07-01 23:07:08
テキストカラテ用yulou @glscat

「私はこっちだよ」グラスキャットはセットを組み立てながら返した。「おかしいですね、彼女には留守番を頼んだはずですが」「ミャオーウー」「よし、こっちはOKっスよ!」「早いよ新人!」ヤマカはグラスキャットよりも先に組み立てを終えたらしい。網は既に熱され、野菜と肉類が並べられている。

2016-07-01 23:08:54
テキストカラテ用yulou @glscat

「他の具材用に別に立てておきます」ヒノモトはもう一つのセットを引っ張り出した。「「イタダキマス!!」」バーベキュー開幕だ!ヒノモト以外の一同はコンロを囲んだ!真っ先に肉が無くなる!グラスキャットは肉を取り損ね、空の皿と一同を交互に見た。残されたのは野菜だけだ!

2016-07-01 23:11:08
テキストカラテ用yulou @glscat

「野菜デストロイ!デストローイ!!」捨て鉢になったグラスキャットは焼けたピーマンやタマネギ、パプリカやシシトウなどをひたすら口に放り込む。「ふぁんふぁらもふえほ」「食ってから喋ってくれよネコチャン」「ング……あんたらも食べなよ」「肉で忙しいっス!」「新人あんた」

2016-07-01 23:12:24
テキストカラテ用yulou @glscat

「また焼いてるからダイッジョブだよ」肉を焼きながら苦笑するトラベラーはふと真顔になった。「サケはある?」「いい所に気付いたじゃねェか」口笛を吹き、手元を示したのはジャックポット。その下にはコロナやケモビールが置いてある。「持って来てるぜ。大勝ちしたからな」

2016-07-01 23:15:54
テキストカラテ用yulou @glscat

「テンサイ」トラベラーが頷き、一缶受け取る。「焼けたかァ」「お前ーッ!」ソリティアが肉を絶妙のタイミングでさらう!グラスキャットは尻尾を歪ませた。「一枚でいいからおくれよ!」「瞬発力が足りねェなァ。それに次があるだろォ」「アーッ!モーッ!バカ!他所を当たるよ!」

2016-07-01 23:17:44
テキストカラテ用yulou @glscat

グラスキャットは瞳を爛々と輝かせながら言い放ち、その場を離れて、別所で黙々と火の準備をするヒノモトの横に立った。手際よく組み立て、火付けに勤しんでいるが、どうも上の空のようだ。「……ヒノモト=サン、何か考え事してる?」「ああ、ええ」ヒノモトは顔を上げた。

2016-07-01 23:22:00