「人生最高の15分間」K.シェルストローム選手(2014年アーセナルレンタル)のラジオエッセイ 抜粋翻訳

mygunner @mygunner98

代理人から電話があった。「PLのクラブにレンタルで行く気はないか？」「No.」「アーセナルなんだが。」「YES！」(K.シェルストローム/reddit.com)

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ロンドンでメディカルを受けた後すぐに病院でX線を取られた。何かがおかしい。トレーニング場に戻り「陪審員」を前にした。医者とスポーツ・ディレクター、そして20年間強い意志と低姿勢でクラブの指揮をとってきたパワフルなヴェンゲルだ。(K.シェルストローム/reddit.com)

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医者が話す。「残念だが…」脊椎3カ所にヒビがあり少なくとも4ー6週間はアウトだという。ショックだった。失望した。だがX線を前にしたら子どもの頃の夢も議論も歯が立たない。「怪我は怪我だ。」自分も言ってはみたが実は烈火の如く怒っていた。(K.シェルストローム/reddit.com)

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ヴェンゲルは何も言わない。彼はこの間同僚すら見ていなかった。思いにふけっていたようだった。彼の言葉を待つ。するとため息をついて言った。「数時間後に市場は閉まる。代わりを見つけるのは難しいだろう。君をとるか誰もとらないかだ。」(K.シェルストローム/reddit.com)

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他のメンバーは驚いてボスを見た。この先何を言おうとしているのか。だが何を言おうと彼の言葉が全てを決めると皆がわかっていた。ヴェンゲルは言った。「君をとろう。治して、トレーニングしなさい。治ったら試合に帯同する。」 (K.シェルストローム/reddit.com)

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狂ったように練習した。ある日ジムにヴェンゲルが来た。彼が入ってくると何か合図を待つかのように皆が動きを止める。それほど影響力があった。自分の様子をカジュアルにでも真剣に見ていた。少し会話してやってることが間違っていないと感じた。(K.シェルストローム/reddit.com)

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ボールを蹴ってもいないのに監督と信頼関係を築けた気がした。 5週間の厳しいリハビリの後でも背中がきちんと治ったのか自信はなかったが、突然ピッチに戻ることになった。クラブは長い間無冠だった。ロンドンはタブロイドが煽り熱くなっていた。(K.シェルストローム/reddit.com)

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FA杯準決勝でウィガン相手に有利だったはずの我々はフルタイムで同点。自分は個人的な期待も持たずにベンチにいたが残り7分で疲れ果てたラムジーの交代で入った。審判が笛を吹く。PK戦だ。PKでは得点は必須。蹴る人間へのプレッシャーは大きい。(K.シェルストローム/reddit.com)

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ヴェンゲルがフランス語で叫ぶ。「キム、PKを蹴るか？」「喜んで。」「じゃあ2番手だ。」どこに蹴るかすぐに決めた。自分の故郷の町の人口の3倍の観客のいるスタジアムでスポットに向かう時、必死で笑みをこらえた。落ち着いていた。嬉しかった。(K.シェルストローム/reddit.com)

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ボールを置き距離をとった。あとは今までやってきたようにやればいい。これまで何度もやっている。不安はなかった。自分の蹴ろうとした方向とは逆に先にGKが動いた。今ユーチューブでシーンを見るとあの時の気持ちが蘇ってくる。落ち着きと喜びと。(K.シェルストローム/reddit.com)

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だがボールは記憶と違う方向に飛んでいる。よくわからないけれどとにかくボールはゴールに入った。その後決勝でも勝利しロンドンで20万人のファンに囲まれた。クラブ120年の歴史では自分の貢献など皆無だが自分の人生の中では最高の瞬間だった。(K.シェルストローム/reddit.com)

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人生で最高の15分間。今では詳細も覚えてない。あの時自分はどうしてたのか？言えるのはサッカーもスポーツも理解しがたいから皆愛してやまないのだ。あのPKが決まったならば、自分の経験は夢ではなかったということだ。(K.シェルストローム/reddit.com)