『シンメトリーの地図帳』を読んで

マーカス・デュ・ソートイ著『シンメトリーの地図帳』 の感想です
1
ブタ さん @vta_san

この1-2か月の間、「高次元からのマジカルな情報を大公開! 聖なる図形と神秘の数字&音の秘密」以外にも本を読んでいたそうですね。 twitter.com/vta_san/status…

2015-03-31 22:40:56
ブタ さん @vta_san

数字に夢中になっていて、トゥィートし忘れていました。 pic.twitter.com/h4BhQhxYwN

2015-01-29 21:00:59
ブタ さん @vta_san

それが、マーカス・デュ・ソートイ「シンメトリーの地図帳」です。 shinchosha.co.jp/book/218422/

2015-03-31 22:41:12
ブタ さん @vta_san

19世紀のパリ、決闘の果てに夭折した天才ガロアは新しい数学の言語を生み出していた。古代ギリシャから続く対称性探求の旅に挑む数学界の探検家たちは、その言葉を駆使して“シンメトリーの素数”を網羅した「地図帳」を完成させる。 shinchosha.co.jp/book/218422/

2015-03-31 22:41:52
ブタ さん @vta_san

最後に発見されたのは、19万6883次元の空間に潜む巨大結晶「モンスター」だった――。 shinchosha.co.jp/book/218422/

2015-03-31 22:42:13
ブタ さん @vta_san

これらの筋書きが全くのノン・フィクションであるという一点のみで本書が必読書であることは明白ですが、本書の最大の魅力はその壮大な世界をひとつながりの読み物として成立させるストーリー・テリングの巧さにあります。

2015-03-31 22:42:34
ブタ さん @vta_san

「シンメトリー=対称性」について人類が明らかにしてきた道のりを紹介するために、作者はまず大英博物館やアルハンブラ宮殿を実際に訪れ、古代の石造りのサイコロやイスラム美術の幾何学タイルを前に、視覚的な美の要請として発見されたシンメトリーの数々を解説していきます。

2015-03-31 22:42:57
ブタ さん @vta_san

ギリシャ、イスラム、ヨーロッパ、アメリカと、作者がこれまで旅してきた土地を巡りながら数学史を辿り、それぞれに作者の数学との出会い、研究者としての経歴が同時に語られていくという構成上の仕掛けは、(続く)

2015-03-31 22:43:21
ブタ さん @vta_san

(承前)たとえば老執事の回想という形で英国貴族社会の没落と執事生活の終わり、さらに日没の光景が重ね合わせて描かれるカズオ・イシグロの小説『日の名残り』を思わせます。

2015-03-31 22:43:37
ブタ さん @vta_san

「シンメトリー」は、ひとまず図形の対称性という形をとってわれわれの前に現れますが、正多面体がいくつのシンメトリーを持っているかを数え上げるといった問題をとりあげたのをきっかけに、(続く)

2015-03-31 22:44:11
ブタ さん @vta_san

(承前)話題はやや唐突に方程式の解の公式という代数的なテーマに移り、中世から19世紀までのヨーロッパの数学者が方程式の解法について格闘してきた歴史が延々と語られるページが続きます。

2015-03-31 22:44:20
ブタ さん @vta_san

しかしそれは、たとえば三次元図形のシンメトリーと三次方程式の解が実は全く同じ数学的性質を持つことを示すためであり、シンメトリーの性質を定量的に調べる数学の一分野「群論」の誕生の物語でもあります。

2015-03-31 22:44:39
ブタ さん @vta_san

「複素数平面」をはじめとして、代数と幾何学とを繋ぐ経路がたくさん存在することは高校数学程度の知識でもイメージできますが、「群論」は、数の世界においてシンメトリー、対称性に関わるあらゆる部分を繋ぐ学問のようです。

2015-03-31 22:45:29
ブタ さん @vta_san

本書では「シンメトリーの素数」という言葉が繰り返し登場します。それは、複雑なシンメトリー構造を持った図形の要素を分解していったときに分割不可能なものとして残るシンメトリーであり、図形で表すと正多面体といった形をとって現われます。

2015-03-31 22:46:58
ブタ さん @vta_san

「シンメトリーの素数」は驚くべきことに有限であり、その最大の素数の幾何学的表現型が196,883次元の巨大結晶="モンスター"であることが20世紀になって数学的に証明されたわけですが、(続く)

2015-03-31 22:47:21
ブタ さん @vta_san

(承前)無限であるはずの数の世界において、196,883などという「美」を感じさせない収まりの悪い数字が「究極のシンメトリー」の座を占めたことは何とも退屈な結末だ、と思わず思ってしまいました。

2015-03-31 22:47:30
ブタ さん @vta_san

しかし物語の終盤で、未来の数学に向かって新たな謎が提示されます。「フェルマーの定理」や「超弦理論」を論じるときに登場する、「モジュラー関数」の代表的なひとつを多項式展開したときに、196,883やモンスター結晶に関わる数字が式の係数として次々に現れることが明らかになったのです。

2015-03-31 22:49:44
ブタ さん @vta_san

「群論」と「モジュラー関数」の間に存在するこの謎めいた驚くべき関係性のことを、数学者たちは「ばかげた思いつき」「密造された蒸留酒」を二重に意味する英単語を用いて「Moonshine」と呼んでいるのだそうです。

2015-03-31 22:50:12
ブタ さん @vta_san

私は思わず、「齧泌抹闕鬱橘辣悉掘謁忽奪跋薩徹達滅接圧蟄(げっ・ぴっ・まっ・けっ・うっ・きっ・らっ・しっ・くっ・えっ・こっ・だっ・ばっ・さっ・てっ・たっ・めっ・せっ・あっ・ちっ)」と口に出して言ってしまいました。

2015-03-31 22:50:45