陸上自衛隊エンブレムに配置された「抜き身の日本刀」について　《山崎雅弘》

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自衛隊の志願者が減っている中で、「武人の象徴である日本刀を自衛隊のエンブレムにあしらってみました」と誇らしげに発表する感覚は、かなり危ういと思う。抜き身の刀を『るろうに剣心』の「逆刃刀」に変更してはどうだろう。その方が自衛隊らしい。 pic.twitter.com/hhJNsFRbSa

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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

江戸時代以前の日本で、先の戦争中の中国で、日本刀がどれだけの「人間の首」を斬り落としてきたかを考えれば「武人の象徴」などと自慢げに誇示するような道具でもない。先の戦争での日本軍人は、多くの場合「武人としてどう死ぬか」に執着する一方、「市民をどう生き延びさせるか」には無関心だった。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

民主主義国の軍人は「武人」である前に「市民」という位置づけがなされているが、自衛隊の場合、その辺りの境界はどうなっているのか判然としなくなりつつある。自衛隊の歌姫が「大東亜戦争を肯定する講演会」に参加して「海ゆかば」を熱唱する光景を見ると、自分も市民という感覚が無いのかとも思う。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

最近の自衛隊や防衛省は、エンブレムに下品な抜き身の日本刀を入れたり、妙なテンションで昂ぶっている様子だが、旧日本軍への憧憬の延長で自衛隊の味方であるかのように擦り寄る人間に迎合することが、自衛隊という組織にとって、日本という国にとって、良いことなのかどうか冷静に判断すべきだろう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

岡本喜八監督版の映画『日本のいちばん長い日』で徹底抗戦派が近衛師団長を襲撃したシーン、軍刀で斬られて血がドバーッと噴出し、副官の将校が頭を斬り落とされて、その頭が床に「ゴトン」と重い音を響かせて落ちた光景が、いつまでも頭に残った。戦争終結の直前、あのような死に方をした無念を想う。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

昔は映画でも、日本刀で斬ったら血が大量に噴き出すというリアルな光景が描かれていたが、最近は申し訳程度に血が流れるだけの「ほぼ無血の斬り合い」ばかりになっている。自衛隊のエンブレムに日本刀が入って喜んでいる人は、日本刀によるリアルな殺傷場面が出てくる昔の映画を観てみたらどうだろう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

自衛隊エンブレムの日本刀を批判すると、なぜか「外国の軍隊も紋章に剣を入れている」と訳知り顔で書いてくる人がいるが、日本刀は敵と見なす相手の斬首や切腹の介錯で人間の頭を斬り落とす時にも使う道具であり、単純な武器とは違う。自衛隊という組織の理念を考えない、余りに皮相的な見方だと思う。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本刀を文化として鑑賞・保存・展示することには、何の問題もないと思います。繰り返しになりますが、提起しているのは「日本刀の歴史的な使われ方」を考慮すれば「自衛隊という組織の理念」を表すシンボルには相応しくないのでは、という論点です。 twitter.com/KeynotfoundT/s…

T-Bonsai @KeynotfoundT

刀は芸術品として見る見方もあるみたいですけどね。日本刀に憧れて欲しがっている人がいた。人を斬った刀だったらどうする？とか聞いたが、外国の人だからか気にしないみたいだった。 twitter.com/mas__yamazaki/…

2016-08-11 00:31:40

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「一同かたずをのんで見守っていた。国井軍曹が日本刀をふり上げたとたん【後手に縛られて座る23〜4歳の中国人の若者が】『中国共産党万歳！』と叫んだ。思わず国井軍曹の手許が狂い、一太刀では首が落ちず二太刀目めにようやく切り落とすことができた。血潮がまっすぐ線を描いて、二メートルも高く

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）ふき上がった。そのすさまじい光景に、誰一人声を発する者もなかった」「三年兵の一等兵（名前は覚えていない）が、『おい初年兵さん、これをもってみな』といって、土間に置いてある風呂敷包を私にもたせた。はじめは何だかわからなかったが、もってみてすぐに、それは処刑した八路軍工作員の

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）生首であるということがわかった。私はべつに驚きはしなかった。もってみてはじめて人間の首というものはなかなか重いものであるということを知った」桑島節郎『華北戦記』図書出版社、pp.38-39　日中戦争に従軍した元兵士の手記。先の戦争での日本刀は、武器よりも処刑の道具だった。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

私の友人には、日本刀の取り扱い作法を正しく会得した人、日本刀を網羅的・多面的に紹介するムックを編集した人もおり、文化として自覚的に日本刀と向き合う人の姿勢を尊重する。その上で、自衛隊という「先の戦争の反省」を踏まえて創設されたはずの公的組織の象徴として、それが相応しいかという話。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「自衛隊という組織の理念」には全く関心を示さず、相変わらず「他の国も同じだ」式の「言い返し」を送ってくる人がいるが、公的機関の自衛隊は「軍事マニアの集まり」ではないのだから、イスラム国爆撃隊のエンブレムと同じでいいはずがないだろう。 pic.twitter.com/7LjYNQzx79

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山崎 雅弘 @mas__yamazaki

私が実際に見たり聞いたりする自衛隊の活動内容や運用理念は、どう考えても「抜き身の日本刀」とは異なる。戦後の日本では、自衛隊は理不尽な扱いを受けてきたと思うが、隊員がそれに耐えながら積み重ねてきた国民の信頼を、あの絵柄は毀損しないか。 twitter.com/mas__yamazaki/…

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

前に観艦式で船に乗せてもらって操艦の様子などを見学したことがあり、自衛隊員の日々の勤務や被災地への救援活動には深く敬意を払っているが、戦場の非情さを一切排した、遊びの延長のようなイメージで隊員募集を行う防衛省の方針は問題だろうと思う。 pic.twitter.com/4N4aeo4p67

2015-03-25 13:26:12

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「イスラム国爆撃のエンブレム」でも剣が使われているのだから「自衛隊のエンブレム」に日本刀を使っても問題ない、と考える軍事マニアの人は、自衛隊がイスラム国爆撃に参加することに何の問題もないと認識しているのか。軍事マニアにとって、自衛隊の組織の理念は他国の軍隊と違いがないのだろうか。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

以前、米国のオスプレイ専門家ですら疑問を呈した「熊本地震での米軍オスプレイ運用」を批判した時（bit.ly/1SlRYdu）も、軍事マニア的な人から独特のテンションの罵倒が大量に寄せられた。運用や使用に対する批判を、機体やモチーフの否定と反射的に曲解してしまう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

中には、自分の専門知識を誇示したくて「言い返し」を送ってくるような人もいるが、あの状況で米軍のオスプレイを投入すべき必然性や合理性、陸上自衛隊の組織理念を的確に表すシンボルとして抜き身の日本刀を用いる必然性や合理性を、論理的に説明してくれる意見は見たことがない。文脈に関心がない。