ある山奥の小さな集落出身の女性が、街で出会って結婚した相手を連れて村に帰ってきた。とても小さな村なのでその噂は瞬く間に村中に広まったのだが、その女性の従兄弟、村の青年をまとめるガキ大将をそのまま大人にしたような建設会社の代表の男が ⇒
2016-08-16 21:27:09「オレのかわいい妹分と結婚したのがどんな野郎か俺が見定めてやる」と家にやってきた。男は酒を持って初対面の新郎に一緒に酒を飲んでもらおう、と周りの大人たちが驚いて声も出ない中詰め寄った、のだが、新郎はあっさりと拒否。なんと女性の結婚相手の男性は一切酒を飲まない。 ⇒
2016-08-16 21:27:56それどころか女性の父親、要するに義父からの酒のすすめも断るような空気の読めない男。田舎出身で男付き合いと言えば酒しか知らないガキ大将は予想外の反応に面食らってしまってその場は引き下がるしかできなかった。しかし皆の前でタンカを切った手前このままで終われないガキ大将、 ⇒
2016-08-16 21:28:33それならと次の日に再び将棋盤と駒を手に登場。地元では負け知らずのガキ大将は「俺と将棋を指せ、俺が勝ったら酒を飲め」と勝負を挑んだ。新郎はその挑戦を受けて立ったのだが、この新参者、自己紹介で「普通の自営業」としか周囲に言わなかったが、実は地元で当時一番の理系名門校を卒業後、 ⇒
2016-08-16 21:29:13のちに東証一部上場を果たす企業に勤めていた超秀才。将棋も腕に覚えがあった。瞬殺。ボコボコ。周囲も見てられないくらいにガキ大将はこてんぱんにされてしまった。それでも村の青年を束ねる男性は諦めず何度も何度も勝負を挑み、何度も何度も負けては、また次の日に勝負を挑みにきた。 ⇒
2016-08-16 21:29:36そうしてるうちにその秀才は徐々に男性に心を開き、女性と街に戻る日の前日、将棋を指しに来たガキ大将に言った。「今日は酒を飲もう」。これを機に二人は大の仲良しとなる。数年後、ガキ大将は「地元で鮎の美味しい店をやりたいんだ、手伝ってくれないか」と頼み秀才は了承。 ⇒
2016-08-16 21:30:01一緒に鮎の養殖に挑戦、水の流れる生け簀を何度も試行錯誤して作っては失敗を重ね、10年後ついに成功、店は夏季限定の営業ながらも地元の人はもちろん遠くからも客がくる知る人ぞ知る鮎料理屋となった。
2016-08-16 21:30:23墓参りを終えていつも行く鮎料理店で、僕が鮎づくしの定食を食べ終えてデザートのスイカを食べている時に父はビール片手にそんな話をした。顔は笑っていたけど涙を流していた。本人も気づいていないけど泣いていた。隣で母はそんなこともあったね、と恥ずかしそうに笑っていた。 ⇒
2016-08-16 21:31:09ガキ大将はもう長い間病院で療養中。しかしその生き写しのような、豪快に笑うガキ大将の甥が今も店を切り盛りしている。ちょっとした短編小説が書けるのではないかというエピソードが母と父と遠い親戚にはあったのだと、すこし感動した。 (終)
2016-08-16 21:31:37正直父の話なんでどこまで話を盛ってんのか分からないんですけど、田舎っていいなと久しぶりに思いました。ちなみにガキ大将(僕は子供の頃に「社長」と呼んでいた)とは小さい頃に帰省した時には遊んでもらいました。とても豪快で、軽トラに乗って「遊びに行くぞ!」と笑う姿は今も忘れられません。
2016-08-16 21:38:07というかこの話を聞くまで社長が僕の遠い親戚だと知らなかったのでとても驚いた。小さな集落なので大体の人が親戚なのは知っていたが、まさか30過ぎて新しい事実を聞かされるとは思ってもいなかった。ちなみに両親はそのことについて「え、知らなかったの?ウケる」という始末。
2016-08-16 21:44:42@parumaru @kumarou 二人とも酒が入ってましたし父は結構大袈裟に話するタイプなんでどこまでが実話なのか分からないんですけど、将棋を指すエピソードには盛った話だとしても感動したので僕なりの文章にしてみました。現地では酔った勢いで断片的な話し方でしたがw
2016-08-16 22:00:26