【R18G】怪我をした妖精さんを拾ったよ【絵付SS】

「僕」が、偶然出会った怪我をした妖精さんを拾う話。 手当、治療、妖精さんの思い出、という形でグロ描写を含む、ハートフルほのぼのリョナストーリーです(? 過去にさぼうるの鬼畜猟奇板という懐かしい場所に連載したSSの再編集版。 当時は長いテキストが投下できなかったので、そこを書き足し&ツイッター用に再編集したものです。 続きを読む
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龍のな@動物保護チャリティ作品集主催 @ry_nona

#怪我をした妖精さんを拾ったよ 001】 …久しぶりの天気のいい日。部屋にこもりきりの僕は、気分を変えて、久しぶりに外を散歩することにした。近くの川べりを歩く。 そこで珍しいものを見つける。――妖精だ。背の低い雑草に必死に身を隠すようにしてうずくまっていた。

2016-08-11 00:35:21
龍のな@動物保護チャリティ作品集主催 @ry_nona

#怪我をした妖精さんを拾ったよ 002】 僕が近づいても、逃げるそぶりはない。小さな背中に、どうしたの、と声をかけると、彼女は振り返った。 ――逃げないんじゃなくて、逃げられなかったのだと一目でわかった。 それは酷い有様だった。 pic.twitter.com/GLNp3JJ2TN

2016-08-11 00:39:03
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 003】 獣にでもやられたのだろうか。乾いて黒ずんだ血があちこちにこびりついている。まだ真新しい傷もあって、鮮やかな血がいまだ滲み出していた。 放っておけなくて、連れ帰ろうと手を差し出したら、掠れた悲鳴を上げたけれど、逃げる程の力はなくて…

2016-08-11 00:41:31
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 004】 妖精さんは、僕の手の中に納まることになった。 *----------*---------*

2016-08-11 00:42:31
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 005】 僕が一人暮らしをしているアパート、そこに連れ帰っても、妖精さんは抵抗をしなかった。…というより、もう抵抗できるほどの力が残っていないというほうが正確だろうか。力のない体を小刻みに震わせながら、ただ怯えて縮こまっていた。

2016-08-11 00:45:03
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 006】 お風呂場に連れて行って、ぬるま湯を洗面器に汲む。服を脱がせようとすると、妖精さんは恐怖を顔に浮かべて必死に服の端を抑えたが、力の入らない指では大した抵抗にならなかった。血液で肌に貼りついた布を剥がすとき、妖精さんは小さくうめいた。

2016-08-11 00:48:09
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 007】 湿らせたタオルで妖精さんの血をゆっくりと拭い去ってゆく。あらわになるのは、白い肌、そしてその華奢な体に似つかわしくない醜い傷跡。左腕はあらぬ方向にねじ曲がり、肌はどす黒く変色していた。 pic.twitter.com/qhfOHkOzjp

2016-08-11 00:51:10
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 008】 優しくしたつもりだったけれど、それでも傷口を触れられるのはつらいらしく、妖精さんの目には大粒の涙が溜まっていた。 彼女の体から血がすべて拭い去られたころ、もう彼女には指一本動かす気力も残っていないようで、ただぐったりと横たわっていた。

2016-08-11 00:52:49
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 009】 目をつぶり、意識を失っている様子の妖精さんの体を、今度は消毒液を染み込ませた布で拭ってゆく。傷に染みたのか、妖精さんの体が震えて跳ね起きる。生気を失っていたその表情が、一気に恐怖に染まり、完全に力を失っていたはずの体で飛びのいた。

2016-08-11 00:57:52
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 010】 どこにそんな力が残っていたのか。驚く僕の左手に、勢いよく飛び上がった妖精さんの体がぶつかる。その手には消毒液の瓶が――。 果たしてそこには、頭から消毒液をかぶった妖精さんの姿があった。 pic.twitter.com/sn46sJqZ8Z

2016-08-11 00:59:48
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 011】 染みる液体を全身に浴びた妖精さんは、力なく、敷いておいたタオルの上に落ちた。 痛みの衝撃でか、閉じたままだった左目が見開かれていた。そこには、白目も黒目も判別のつかなくなった、ぐちゃぐちゃにつぶれた粘膜が覗いていた――

2016-08-11 01:01:43
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 012】 用意を整えた僕が、その軽い体を掴み上げても、妖精さんはほとんど動かなかった。小さく体を震わせるだけで、声も出さない。顔も上げることも出来ないのか、見上げてくることもなかった。表情の伺えない彼女に、僕は小さく、ごめんよ、と声をかけた。

2016-08-12 23:50:58
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 013】 それが声であるとは思えないほどに、酷く濁った声が上がる。いや、音という方が正しいか。悲鳴とともに、今の今まで身じろぎすら出来なかったとは思えないくらい、彼女の体は大きく跳ね上がった。 pic.twitter.com/hnTIWYgCkn

2016-08-12 23:53:55
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 014】 僕が妖精さんの腕を強く引っ張ったからだ。妖精さんのそんな細い首からどうしてそんな音が出るのだろうというほどに大きな、その喉から絞り出された悲鳴は、長く尾を引いた。 その声が急に止む。妖精さんは、目を見開いたまま気絶していた。

2016-08-12 23:55:58
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 015】 その小さな口から溢れだした泡を、僕は拭いてやる。 子供の頃に好奇心でめくった医学書のページを思い出しながら、僕はその腕の傷口にガーゼを当てると、添え木代わりの割り箸を当て、細く割いた包帯を巻きつける。

2016-08-12 23:58:53
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 016】 他の傷も、同じようにガーゼと包帯を当て、治療を終える。へこんでしまった右のまぶたにもガーゼを当てた時も、彼女は身動き一つしなかった。 真っ白な顔で動かない妖精さんに心配になるけど、そっとお腹に手を当てると、小さく上下しているのがわかる

2016-08-13 00:01:23
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 017】 僕は、新しくタオルを出して、その上に妖精さんを寝かせると、その白い肩が隠れるよう、タオルハンカチを、かけてやった。 -----*-----*-----*-----*-----

2016-08-13 00:03:11
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 018】 僕が料理をしていると、その物音が耳に触ったのか、妖精さんが目を覚ましたようだった。あれから丸一日が経過していた。まだ身体も頭も目覚めていないようで、ぼんやりとあたりを見渡し――その目が僕を捉えた瞬間、一気に覚醒したようだった。

2016-08-13 00:05:37
龍のな@動物保護チャリティ作品集主催 @ry_nona

#怪我をした妖精さんを拾ったよ 019】 自分の肌が露出しているのに気付いたのか、慌てて自由になる右手でタオルを掻き寄せている。どうせ、胸元を隠す包帯で身体なんてほぼ見えないと言うのに。もう治療の時に全部見られているというのに。でも、そんな恥じ入る姿は可愛らしかった。

2016-08-13 00:07:41
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 020】 野菜をとろとろに煮溶かしたスープを、ミルクピッチャーに注いで、彼女の目の前に置いた。彼女の顔が僅かに困ったように曇る。無理もない、僕のことを信用しきれていないのだろう。治療された、ということは理解してくれているとは思うけれど…

2016-08-13 00:10:15
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 021】 「毒なんて入ってないよ」言葉が通じるのかわからないから、言ってから、僕はミルクピッチャーから自分の手のひらにスープを落とし、それを舐めてみせた。 妖精さんの警戒の表情が和らいで、どこか恥ずかしそうなものに変わった。

2016-08-13 00:12:10
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 022】 「アリ、ガ、トウ…」 俯いて小さな声での彼女の言葉に、僕は驚いた。 「人間の言葉、わかるんだね?」 妖精さんはこまったような顔をした。わかるわけではないのかな。単語を少しだけ覚えている、程度なのかもしれない。

2016-08-13 00:14:14
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 023】 妖精さんは自由になる右手でミルクピッチャーを手にして、ゆっくりとスープを飲み始めた。スープが口の中の傷に障るのか、ゆっくりと舐めるように、慎重に飲んでいる。左手が使えない上、胸元を隠そうとしているぶん、彼女の動きは危なっかしい。

2016-08-13 00:16:15
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 024】 あっ、と思った時には、剥き出しの太ももにスープがぶちまけられていた。ピッチャーを取り落としたのだ。慌てて拭いてやるものの、とろみのあるスープの張り付いた肌は、真っ赤に染まっていた。 pic.twitter.com/YKI5Qo4i9b

2016-08-13 00:18:12
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#怪我をした妖精さんを拾ったよ 025】 足にかかったスープを拭き取り、化膿止めの軟膏を塗る。ガーゼを乗せて包帯を巻きつける。火傷自体は大したことなかったけれど、弱っている妖精さんだから、治療は慎重なくらいな方がいい。空気に触れない方が、火傷の痛みも落ち着くだろう。

2016-08-14 00:28:06
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