フォビドゥンフォレスト１話後編２・風科僚勇会３大隊の大体

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「フォビドゥンフォレスト１話後編・１　おにぎりウォーズ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1013720

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フォビドゥンフォレスト１話後編２・風科僚勇会３大隊の大体

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「皆さん、予定通り半に出発致しますので準備をお願い致します。詳細は後程お話しますが、妖怪がいる前提でお願いします」隊長たちを代表して佐祐里さんが告げる。遅れてきた隊員も到着し、俺を含めて着替えてない奴は着替え、他は食事休憩や装備の点検に入った。もうすぐ出発だ。

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猟友会詰め所から少し離れた森の入り口。「この先私有地」の看板より森側。５０人ほどが５・６人ずつ整列している。俺もその一人だ。この内４０人ちょいが森の中に入る。通信機や食料を背負い、中距離用の銃器や刃物を携え、冬仕様の隊服を着ている。詳細は後で話すが、雪の中でも目立つ仕様だ。1

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風科僚勇会の構成について少し説明しとく。要点から言うと、僚勇会の戦闘員は大きく３つの大隊に分けられる。森で妖怪退治をするスサノオ大隊、森の入り口を監視するツクヨミ、町をパトロールするアマテラスだ。３大隊の戦闘員は合計１６０名ちょいで、訓練生や後援を入れると４００名くらいになる。2

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ただしコレは一番多めに…例えば月１時間だけみてぇののまで余さず数えたらだ。戦闘員も含め常勤は１００名くらいしかいねぇ。普段は週一以下でしか妖怪は出ねぇし、倒しても金になんねぇから全員を常勤で雇うのは厳しいそうだ。それでも僚勇会が出来る前は殆どタダ働きだったそうだから大分マシだ。3

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僚勇会は魔法やら妖怪…世界の裏側に関わる組織としては例外的な存在で、地元の人間に実態を結構知られている。多分、風科の人口の半分くらいは知ってんだろう。普通は裏側の話ってのは表に出しちゃいけねぇんだから、かなりの異例だ。隠す理由や風科の特殊性については別の機会に話す。　4

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そうだ、コレに関して一つ気をつけなきゃなんねぇことがある。顔馴染み相手でも、会の外で「裏」のことを話しちゃいけねぇ。周りが会の奴だけかと思ったら、裏側のことを知らねぇのも紛れてる場合もあるからな。「リョウユウカイ」って名前も組織名くらいは外で話せるようにと考えられたもんだ。　5

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さて、僚勇会の仕事の話だ。スサノオ部隊は森で妖怪を倒すことと、その準備として森の中の設備の点検・修理が仕事だ。連中は森の奥から来る訳だから、この隊が僚勇会の主力となる。さっきの160名の過半数が所属してる。実際３大隊の横の繋がりは強ぇし人員のやり取りも多いけどな。　6

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森は表向き猛獣が出る上に危険な地形も多い。地元の奴は裏を知らなくても近づかねぇし、結界で森を囲んで妖怪の脱走も防いでいる。だがあいにくどっちも限界があって、他所の奴が警告を無視して入ったり、強力な妖怪を放っとくと結界を破られる。その前に連中の反応を探って倒しに行くわけだ。　7

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次にツクヨミ部隊。他の隊より常勤が多く、２４時間・３交代制で１・２隊が防衛施設に常駐してる。森のデカさに対して人手が足りてねぇ様にも思えるが、森の手前ほど霊波反応は探りやすい。索敵は半ば機械任せだ。妖怪の急襲に対しては前衛、スサノオの出動時には全体の後衛担当だ。　8

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最後にアマテラス部隊。殆どが兼業で配達とかの町を巡回する仕事の人が多い。結界や自動索敵を掻い潜るような特殊な妖怪や、森以外の他の地域からやってくるのを倒す最終防衛ラインだ。実際、戦闘は一番少ないんで割と他２隊に人を貸す率が高い。本業が忙しい人達でもあるけどな。　9

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森の中については奥へ行きながら説明するが、何で焼き払うなりして妖怪を根絶やしにしねぇのかと思わねぇか？理由は２つある。第一に普通の生き物も住んでるし、果物やら山菜がわんさか取れる。年数十人程度の、しかも大半は警告を無視した奴の犠牲と天秤にかけるにゃ重いってこったな。　10

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そして二つ目。森の中心部の地下からは、日本中から集まった邪気が吹き出している。それが形を持って妖怪となる。山と森はそれに蓋をしているわけだ。その蓋を吹っ飛ばそうもんなら、日本中から無秩序に妖怪が溢れだして被害がかえって広がっちまう。面倒でも今の状態のほうがマシだ。　11

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蓋を強力にしても同じ結果になるだろうな。火山に蓋を出来るかどうか、蓋を出来たとしてどうなるか考えてみりゃ良い。なんで風科の森がこんなことになってるのかっつうと、そもそも平安京が出来た時に、そこから押しのけられた邪気が周辺で悪さをしたのが始まりらしい。迷惑な話だ。12

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伝承によると、邪気の流れが乱れて妖怪が活性化、そこらで無秩序に暴れだしたもんだから、それを一箇所に集約させようとしてこうなったらしい。つまり人為的なんだよな…。腹立つ話だが今更俺らにはどうにもならねぇ。せいぜい他所から支援を引き出せるだけ出させながら、妖怪共をぶっ倒すだけだ。13

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退治つっても、毎回奥の邪気噴出口まで行くわけじゃねぇ。ていうかあそこで動けるのはウチじゃあ藤宮先輩くらいしかいねぇ。森の奥には普通に妖怪どもがうろちょろしてる。連中の中でも一定以上の強さの奴、つまり結界を破れそうなのが、森の浅いところに来る前に中間地点辺りでぶっ倒すんだ。　14

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今日は結局、予定していた中央地区の点検を後回しにし霊波反応のあった東側へ行くそうだ。来月に予定していたチェックを入れ替え・前倒しする形で、可能な範囲で行いながら目的地へ向かう。敵の正体は不明。反応が弱い妖怪は、雑魚か反応を隠すのが上手い強敵の大抵どっちかなので油断は出来ねぇ。15

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時計を見ると、20:35。大隊長の作戦予定の説明の間に、その後ろで出発の儀の準備が整った。白い布で覆われた卓の後ろに神饌の台。この両側に篝火。儀式場の足元はそこだけ雪を綺麗に除雪してある。大隊長が挨拶し場所を空けると、儀式を行う鳥姫の巫女…瑠梨が入ってきた。　16

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フォビドゥンフォレスト１話後編２　終わり　後編3に続く