(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)
2016-08-24 20:32:10カガミ・ニンジャクラン。見聞きしたカラテやジツを即座に再現する、恐るべきニンジャクランである。開祖のカガミ・ニンジャともなれば、初めて相対した相手の記憶を探り、そのものが最も恐れるニンジャのワザマエを鏡写しに真似ることができたという。1
2016-08-24 20:33:05アブラクサスのソウルはそのクランのグレーター級だ。記憶にあるもの、それも真似が簡単な一部のものしか再現できない。だが、ナラク・ニンジャの記憶を手に入れた時、彼のカラテはある意味では太古のカガミ・ニンジャその人を凌駕した。無論、ニンジャスレイヤーがそこまで知っているわけではない。2
2016-08-24 20:36:02「勘の鋭い奴だ」アブラクサスは舌打ちしてカタナを構える。彼は、イクサの流れの変わり目を感じ取っていた。先程の一撃でニンジャスレイヤーの手を切断できなかった。その上、ニンジャスレイヤーが自分の手の内に気付いた。どちらも不吉だ。慎重に行かねばなるまい。3
2016-08-24 20:39:04ニンジャスレイヤーが動いた。「イヤーッ!」間合いの外からの奇襲的トビゲリ!アブラクサスは後ろに下がって回避!ニンジャスレイヤーはトビゲリの勢いのまま踏み込み、カラテストレートを放つ!「イヤーッ!」「イヤーッ!」カタナの切っ先がカラテを逸らす!4
2016-08-24 20:42:02ニンジャスレイヤーはなおも攻め立てる。アブラクサスは防御に徹し、ひたすらカラテを避け、受け、逸らす。「イヤーッ!」顔面への掌底、それを避けたが、ニンジャスレイヤーが獰猛な猛禽めいて捻られ、アブラクサスの目に指を突き入れようとする!5
2016-08-24 20:45:02だが、それは焦れたニンジャスレイヤーのウカツであった。指が眼球を抉る1mm手前で、アブラクサスは手首を掴んだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」デン・ジツ!先の一撃とは桁違いの電流!防御の間に溜め込んだカラテが、電流となってニンジャスレイヤーの神経を焼く!6
2016-08-24 20:48:01「イヤーッ!」反撃のヤリめいたサイドキックを、アブラクサスはひらりと躱した。「なぜお前の拳が当たらないか分かるか、ニンジャスレイヤー=サン」手首から放した己の左手をカタナに添える。「俺は流れに逆らわないからだ。イクサの流れがお前にある間、俺は守りを固めていた」7
2016-08-24 20:51:07ブレザーにカタナを弾かれ、斬れたはずの腕を斬れなかった時、アブラクサスはイクサの流れが相手に傾いたことを感じ取った。勝負を焦らず、反撃の機を待つ。それがアクシスまで上り詰めた彼の強さの源だった。「そして――流れは再び、俺の下に戻ってきた!」電光石火の突きを放つ!8
2016-08-24 20:54:05「イヤーッ!」「イヤーッ!」一瞬前とは打って変わった怒涛の攻め。ニンジャスレイヤーはこれをいなすが、反撃できない。「分かるか、ニンジャスレイヤー!リンゴが下に落ちるように、非ニンジャがニンジャに敵わぬように、物事には道理というものがある!」9
2016-08-24 20:57:12腕をかいくぐったカタナがニンジャスレイヤーの首を狙う!アブナイ!「イヤーッ!」首をよじり回避!マフラーの切れ端が宙を舞う!「道理は流れとなり、世を作る!それを捉えるのがカラテだ!流れを読めぬ貴様が俺に勝つことはできん!イヤーッ!」つま先への変則的斬撃!10
2016-08-24 21:00:16足を引いたニンジャスレイヤー、その僅かに崩れたバランスをアブラクサスは見逃さず、高速連続攻撃を叩き込む!「グワーッ!」避けきれなかったニンジャスレイヤーの右肩から、鮮血が噴き出した。アブラクサスはザンシンし、呼吸を整える。11
2016-08-24 21:03:05「……ナラク・ニンジャが屠ってきたニンジャたちは、決して弱者ではなかった」剣士が語る。ソウルの記憶を読み取った彼は、かつてのナラクが屠ったニンジャを識った。「だが彼らも滅びた。絶対無敵のニンジャが滅び、モータルの世も、今はアマクダリによりロウソク・ビフォア・ザ・ウインドだ」12
2016-08-24 21:06:02ナラクの記憶には様々な死が詰め込まれていた。モータルの死。ニンジャの死。個人の死。社会の死。だが、ナラクがその死を全て招いたわけではない。彼、あるいは彼女がもたらしたのは最後の破壊。その前から、既に記憶の中の世界は死んでいた。13
2016-08-24 21:09:04「世の流れはショッギョ・ムッジョ。全ては死へと向かっている」枯れたサクラがざわめく。人工池が波立つ。砂埃が舞う。「世は死へ向かう。貴様は流れに呑まれ、ジゴクまで流されていけ」アブラクサスは一際大きく息を吸い、駆けた!踏み込みで足元から地雷の爆発めいた土埃が舞う!14
2016-08-24 21:12:08これこそが、彼の極めたタイテン・イアイドの奥義であった。研ぎ澄まされたカラテは、一切のサイバネを使わずして彼の体を音速の領域へと押し上げる。残像すら残るスピードで回り込み、ニンジャスレイヤーの首を狙う!「死ね!ニンジャスレイヤー=サン!」15
2016-08-24 21:15:03「イヤーッ!」ガキィィィン!けたたましい音を立てて、アブラクサスのカタナが折れた。その事実を認識するのに、アブラクサスは一度瞬きをしなければならないほどであった。「バカな」「イヤーッ!」「グワーッ!?」ニンジャスレイヤーのカウンターを受け、アブラクサスの体が吹き飛ばされた!16
2016-08-24 21:18:01「何だ、一体!?」アブラクサスの顔に動揺が走った。避けられるはずのない最高最速のタイテン・イアイド。受ける相手は手負いのニンジャ。死の流れに呑まれたのに、避けられるはずがない!「有り得ん!」 「アブラクサス=サン。その程度の速さでは、止まったハエと変わらぬぞ」17
2016-08-24 21:21:02恐るべき暗黒イアイド、デス・キリと比べれば、アブラクサスの繰り出したカタナは余りに遅すぎた。だが、アブラクサスにそれを識るこはができない。かのワザはナラク・ニンジャではなく、フジキド・ケンジの記憶に刻まれているからだ。妻子の仇のワザという、憎悪と共に!18
2016-08-24 21:24:03「他人のカラテでオスモウを取ろうとするなど、笑止の極み。オヌシには、真のニンジャのイクサを見せてやろう」ニンジャスレイヤーの瞳に、殺意の炎が燃え上がった。「ニンジャ、殺すべし」「イ、イヤーッ!」アブラクサスの周囲にカラテミサイルが展開!ニンジャスレイヤー目掛け殺到する!19
2016-08-24 21:27:01「イイィィヤァァーー!」ニンジャスレイヤーはミサイルへ全力疾走!その僅かな隙間を前転で潜り抜ける!KABOOOM!追尾しようとしたカラテミサイル同士が衝突し、爆散!「イヤーッ!」「ヌウーッ!」ニンジャスレイヤーが振り下ろしたチョップを、アブラクサスは折れたカタナで受け止めた!20
2016-08-24 21:30:05カタナは紫色に輝いている。エンハンスメント・ジツだ。アブラクサスの体が、無意識のうちに防御を選んだのだ。「流れは未だ我にあり!イヤーッ!」「イヤーッ!」たちまち、凄まじい剣戟とチョップの応酬が繰り広げられる!突き出されたチョップを寸前で回避、アブラクサスの頬を血が流れる!21
2016-08-24 21:33:05アブラクサスはジツを更にカタナに注ぎ込む。高密度のカラテは折れた切っ先から先に集まり、紫色のカラテブレードを形成する!「イヤッ、イヤッ、イヤーッ!」フェイントを織り交ぜた三段突き!ニンジャスレイヤーは的確に見切り、反撃としてアッパーを放つ!「イヤーッ!」22
2016-08-24 21:36:01ムテキ・アティチュードは間に合わぬ。アブラクサスはブリッジ回避を選択!「イヤーッ!」更にバック転を繰り返し、ニンジャスレイヤーから離れようとする!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーも側転して追いかける!2つの車輪が枯れた芝生の上を激走する!23
2016-08-24 21:39:04