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芹子総士でおねショタにならねーかなーという妄想からの産物。
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べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 最終話から10年、「対話」能力を高めた日野美和を中心とした竜宮島の奪還、アルタイルの封印を目的とした作戦が実行、成功するも、その際に島のコアである皆城織姫は再び再生の眠りについてしまう。 作戦に参加した、真壁総士(12)は、湖底に沈むマークツヴォルフを発見する。

2016-06-24 16:02:46
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 総士先輩?と彼女は言った。「僕は皆城総士ではない。」自身が皆城総士の転生体であること、真壁総士であること、アルタイルの封印は終わったこと、それから皆城織姫が完全に眠りに就いたことを告げた。「状況の把握を急ぐこともないだろう。長く寝ていたんだ。救護班もすぐ来る。」

2016-06-28 13:17:27
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「だから、もう少しだけ休むといい。」それから―、 ―目が覚めるといつもの医療区画だった。長く時間が経ったみたいだったから全く同じって訳じゃないんだろうけど…。立上芹は後悔していた。乙姫ちゃん、織姫ちゃん、島を守るだなんて言っておきながら、結局、私が守られただけ。

2016-07-12 10:47:49
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 織姫ちゃんに会いたい―思考がそこに達した時、メディカルルームの扉が開いた。「目が覚めましたか?顔色も随分良くなりましたね。」先ほど出会った少年、真壁総士である。問いかけへの解答より先に白衣を着ていることに目が行った。彼は視線に気づき「ああ、これですか。」と呟くと、

2016-07-19 16:51:47
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「端的に言うと立上先輩の担当医は僕ということです。」えっ!と芹は驚いた。流石、総士先輩。あれ?記憶の継承が?遠見先生と剣司先輩は?やっぱり総士先輩なの?矢継ぎ早に疑問が浮かんで来るが回答へは至らない。総士はその様子を確認すると、現在の竜宮島について説明を始めた。

2016-07-20 18:06:07
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「13年前、我々は第3アルヴィスへの入植を開始。現在は第2竜宮島と呼称し、生活基盤はそちらに完全に移行されました。」「じゅ、じゅうさn」「今回の作戦で戦力を二分したため、単純に人員が足りていません。」「・・・な、なるほど。」「人員不足には後ふたつ理由があります。」

2016-07-28 16:57:24
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「・・・立上先輩には悪いニュースになります。」一息にされていた説明が途切れ、総士は芹から視線を外す。体感時間では数日前、人類軍本部から戻った皆城総士が見せたあの目である。正直、気持ちの整理はまだついていない。待ってと声を上げそうになるが、それでは前に進めない。

2016-07-28 17:15:09
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 経験で既に知っているのだ。「続けて頂戴。」頷き、総士は説明を続ける。「第2竜宮島にはコアが存在しません。」理解した。結果を。「竜宮島でコアを通して、ミールが働きかけていた生命維持機能が第2竜宮島には無いのです。」「入植から5年で第1世代の9割が亡くなりました。」

2016-07-28 17:29:35
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 息ができない。だがそれも一瞬のこと、すぐに呼吸を整え、思考を巡らせる。島を離れれば長くない、それは島民全員が知っていたことだ。人類軍からの爆撃を受けた時、フェストゥムの侵攻で空を奪われた時。つまりは、自分で投げ出したことなのだ。それよりも大切だったのだ。あの時は。

2016-07-30 09:29:14
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「怒らないんですね。」と少年は言った。「僕がコアになる道もあったと聞いています。」そんなこと。「それを選ぶ人間は島には居ないわ。」そもそも、乙姫がコアになったことにしても実験中の事故が原因であった。新たな人柱を、それも皆城家に連なる人間から選べるわけがない。

2016-07-30 10:49:59
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「参りましたね。」少し笑みが零れてしまう。訝しげな芹に聞いた通りの方だったのでと答える。芹はふーんと不服そうに呟くと、「それなら、私がしたいことも分かってるんじゃないの?」肯定しながら「もう一つの理由は、歩きながら話しましょう。」と少年は右手を少女に差し出した。

2016-07-30 11:27:20
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 通いなれた道を二人で歩く。手を取り合って。今度来るときは掃除道具持ってこないとなぁ。岩戸への通路は10余年の海底生活でかなり腐食が進んでいるようであった。「これは・・・。」総士が呟く。「・・・清掃が必要ですね。」ふふっと今度は芹が笑う番だ。「ごめんね。いきなり。」

2016-07-30 20:29:11
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「大きな弟ができたみたいで、つい。」総士の反応は、そうですか、とあっさりしたものである。「美和ちゃんがいるからお姉さんはいらなかったかな?」 少し残念。そういう風を装いからかってみるが、反ってきた言葉は、「美和姉さんがというより、島には目上の方ばかりですからね。」

2016-07-30 20:45:25
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran というものであった。ぎくり、とした。「それって、、、」二の句が継げずにいると、「そうです。それがもう一つの理由です。」と総士が続ける。「シュリーナガルからの移民、人類軍勢力圏からの離脱者を含めると厳密にはそうではありません。しかし、元竜宮島住人に限ってしまえば、」

2016-07-30 20:59:52
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「ここ12年での出生数は、0です。」歩みが止まる。「第3アルヴィスの人工子宮コアギュラは、かなり酷く破壊されていました。復旧に努めてはいたそうなのですが、スタッフが減少する速度に作業効率が追い付かず、遂には、技術の失伝を防ぐのがやっとだったと聞いています。」

2016-07-30 21:27:52
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「控えめに言ってかなり危険な状況だったわけね。」ええ、と肯定する。「今回の作戦が失敗していたら詰みでしたね。」作戦が失敗していたらどうなっていただろうか。自分が倒れ、古兵が倒れ、父親が倒れ、志願兵が倒れ、無差別に適合因子を打ち込み、少年兵まで作り上げるのだろうか。

2016-07-31 00:26:39
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran そこまでファフナーが持たないか。少しだけ遠くなった未来から思考を切り離し、再び歩みを進める。コアの座まであと数分の距離である。ところで、と芹が話を振る。「この理由を聞いてもいい?」繋いだ手を指しながら言い、織姫ちゃんの時と同じなんだろうとは思うんだけど、と続けた。

2016-08-01 11:51:10
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「失念していました。」続く総士の謝罪の言葉を「いいから、いいから。」と芹は笑顔で遮る。「それで、治るのかな?これ。」張り付いた笑顔に影が少し落ちる。「はい。通常の生活に戻れるかという意味でも、症状が出ない元の状態に戻れるかという意味でも肯定できます。」即答である。

2016-08-06 13:59:19
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「本当?」芹の表情に明るさが戻る。「良かったわ。このままじゃ復旧作業も手伝えないし、家にも帰れそうにないし。」結構、困っていたのよね、という芹の台詞に総士は申し訳なさそうな顔をする。「ただ、ですね。近年の研究で、立上先輩の症状はファフナーからの同化現象ではなく、

2016-08-06 16:47:02
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran ミールによるパイロットの身体能力の強化ではないかとの見解が出ていまして。」「つまり?」「つまり、治療をしてしまうと、ファフナー搭乗時に発現するSDP効果が弱体化してしまうのではないかと推測されています。」そっかー。少し残念だが、確かにその選択は無いなと芹は思った。

2016-08-06 17:04:51
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「誤解しないで欲しいのは、治療をしない=現状維持ではないということです。」ネガティブな思考を遮る様に総士の言葉が続く。「要は同化現象をコントロールしてしまえばいいんですよ。」「コントロールって・・・」それができないからこうなんだけどなぁ。芹は呆気にとられてしまう。

2016-08-16 18:45:06
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 芹の様子を見ても総士の言葉は澱まない。「立上先輩の同化現象はファフナー搭乗時にはコントロールできていますし、非搭乗時でも同化耐性が極めて高い生体、もしくは物体に接触することで発現を防ぐことができると考えられます。」「今みたいに、ですね。」と繋いだ手を指して言った。

2016-08-16 18:55:58
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「そこで、同化耐性の高い物質の精製を…と研究を進めているところなのですが、如何せん時間が足りなくてですね。」もう少しだけ時間をください、と総士が頭を下げる。「総士君が謝ることじゃないでしょう?寧ろこっちがお礼を言わなきゃいけない立場だわ。」患者の方は事も無げだ。

2016-08-19 18:35:58
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran 「未来に希望があるって事さえ分かれば、頑張れるんだから。」「ありがとう総士君。」芹は目を伏せ、謝意を伝える。「…コアの望みでもありましたので。」ぷいっと総士の顔を背ける仕草に織姫の姿が重なった。二人、いや四人の絆に暖かさを思い出す。やさしい気持ちに満たされていく。

2016-08-19 19:32:51
べいひでお(なんかしあわせ) @Veyhideo

@ayuran ほぼ、初対面なのにどうしてこう見透かしたように…、いや、実際見透かされているのだ。フェストゥムの読心のような不快感はない。釈然としない気持ち、気恥ずかしさ、そしてその奥に確かにある喜び。意外と自分で考えていたより承認欲求が高かったのだな、と総士は自己評価を改める。

2016-08-24 00:43:58