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『ゴジラ(54`)』と『シン・ゴジラ(16`)』のヒット要因の類似性

アジア各国で公開されたものの、不評で打ち切られるという話のある『シン・ゴジラ』。日本において、怪獣映画としては『キングコング対ゴジラ(62`)』以来の大ヒットと思われる本作だが、その要因を第1作と照らし合わせることで考えてみた。
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先日以来、ちょっとした話題になっている『シン・ゴジラ』関連のツイートがこれ。

羊飼われ @hitujikaware

タイ人友人がシンゴジラで分からないと言っていた部分抜粋。 ①:なんであんなに会議をする。 ②:なんで何回も総理に確認する。 ③:なんで逃げ遅れた人がいたくらいで攻撃が中止される。 ④:なんでヒーローがいない。 ⑤:なんでゴジラが来てるのに逃げないで仕事してる。 等々。

2016-09-16 12:21:25
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

タイは戦場になったことはあっても、日本が経験した絨毯爆撃による大都市破壊などは未体験なので、都市が徹底的に破壊され尽くす恐怖と損害の大きさが想像できないのかもしれない。RT twitter.com/Rogue_Monk/sta…

2016-09-16 17:11:50
Rogue Monk @Rogue_Monk

ちょっと意地の悪いことを言うならテロなどの際に、タイ人は逃げ遅れ・人質を気にせずに攻撃するし都市の完全破壊も躊躇しないということだなぁ。 twitter.com/hitujikaware/s… twitter.com/hitujikaware/s…

2016-09-16 17:04:41
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

ヒット作というのはなべて時代の映し鏡である。ゆえに多くの人が共感することが出来、だからヒット作になり得るのだ。『ゴジラ(54`)』は水爆大怪獣映画であり当時のマスコミからは「ゲテモノ映画」と蔑まれたが、公開と同時に大入り満員の大ヒットになった。なぜか。あの徹底的な敗戦からわずか

2016-09-17 12:25:33
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

九年、観客の多くは空襲を経験しており。劇中で展開する都市破壊と逃げ惑う市民、なにより襲撃翌日の避難所の有様(私は、実はこのシーンこそ真のクライマックスではないか?と考えている)に、容易に感情移入出来たであろうからだ。ゴジラ襲撃が引き起こした破壊や人死にが、当時の観客には

2016-09-17 12:29:00
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

全くの絵空事ではなく、かつて自分や親族、親しい友人たちが体験した「戦災」に重ねられるほどに近い出来事と思えたからに違いない。今回の『シン・ゴジラ』も同様だ。近くは熊本地震と東日本大震災、遠くは阪神淡路大震災が、『ゴジラ』における「太平洋戦争」に相当する

2016-09-17 12:33:46
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

「共通する実体験としての災厄」だったに違いなく。これに異を唱える人はいないだろう。だから『シン・ゴジラ』の中で繰り広げられる破壊と死に、観客は容易に感情移入することが出来る。誰もがコミュニケーション不可能な災厄に出逢ったとき、人がどう反応するのか皮膚感覚で理解しているからだ。

2016-09-17 12:36:57
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

逆に言えば、こうした「人の意思が介在しない災厄」を経験したことがほとんどない他国人だと『シン・ゴジラ』への感情移入は難しいだろう。初代ゴジラは米国で公開されてヒットしたが、それは日本版に色濃く漂っていた「ゴジラ=戦災」というイメージを払拭した再編集版だった。戦勝国且つ独立戦争以来

2016-09-17 12:41:13
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

本土に直接攻撃をほぼ受けたことがない米国人に「共通体験としての戦争がもたらした災厄」を求めることは難しい。ゆえに主人公に「偶然東京を訪れたためにゴジラ襲撃に出くわしたアメリカ人記者」を設定し直したことは、興行上の判断としては極めて正しいと言える。オリジナルの『ゴジラ』が

2016-09-17 12:45:38
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

自分たちが接していた物とは異なると海外のマニアは知っていたが、欧米で公開されたのはおよそ半世紀を経てからの話だ。海外の多くのファンにとって、ゴジラとは強敵怪獣と戦い勝利する「怪獣王」だったのである。ゆえにギャレゴジもそのラインに沿って製作され、見事にヒットした。

2016-09-17 12:48:58
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

しかしとりあえずアジア各国では『シン・ゴジラ』は不評であるという。さもありなん。「人間などに見向きせず、ただ存在するだけで圧倒的な破壊と甚大な損害をもたらす災厄、自然現象としてのゴジラ」に慣れ親しんでいたのは、実のところ日本人だけだったのだ。アジア各国も幾たびか戦火に

2016-09-17 12:52:26
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

塗れたことはあっても、せいぜいが通常兵器による火力戦である。日本の様に絨毯爆撃を経験したのはベトナムくらいだろう。しかし彼らとて国内の主要都市すべてが灰燼と化した経験はない。翻って面白いのは米国である。かって米国人は「なにも悪いことしていないのに、なんで日本は怪獣に何度も

2016-09-17 12:56:43
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

襲われるのか?」と疑問を抱いたという。しかし国民の意思が明確に介在しないところで戦争が起き、やがて手の届かない高空から爆弾が振ってくるとい事態を経験し、それが民族の記憶と化していた日本人にとっては「自分たちの悪意があろうがなかろうが、災厄というものはやってくるのだ」との考えが

2016-09-17 12:59:36
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

根付いていたのだろう、あまりこの点は問題にならなかった(というか、実は東宝怪獣に限ると、ちゃんとアンサーを劇中に忍びこませている)。米国人も3.11を経験して以降は日本人と同様に「災厄は突然襲いかかってくる」ことを理解したと言われている。ゆえにアジア各国では不評で終わりつつある

2016-09-17 13:03:11
囚人番号6 @F4EJ2Phantom

『シン・ゴジラ』だが、米国ではもしかしてウケるのではないか?と考えている。出来ることなら限定上映ではなく、あっちこっちの映画館で上映して欲しいものだ。

2016-09-17 13:04:56