近鉄・駅員飛び降り事件と夏目漱石とのつながり、「永日小説」から「人間」の一部を抜粋。

なんか似てると思ったこと。
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private_tom @private_tom4523

今回の電車の乗務員の事件で、夏目漱石思い出しちまった。

2016-09-22 20:25:17
private_tom @private_tom4523

1 夏目漱石「人間」から抜粋。

2016-09-22 20:10:20
private_tom @private_tom4523

2 真中に印袢天を着た男が、立つとも坐るとも片俯かずに、のらくらしている。今までも泥の中へ何度も倒れたとみえて、ただでさえ色の変わった袢天がびたびたに濡れて寒く光っている。巡査が御前は何だと云うと、呂律の回らない舌で、お、おれは人間だと威張っている。

2016-09-22 20:13:07
private_tom @private_tom4523

3 そのたんびに、みんなが、どっと笑う。御作さんも旦那の顔を見て笑った。すると酔っ払いは承知しない。怖い眼をして、あたりを見廻しながら、な、なにが可笑しい。己が人間なのが、何処が可笑しい。こう見えたって、と云って、だらりと首を垂れてしまうかと思うと、

2016-09-22 20:15:28
private_tom @private_tom4523

4 突然思い出した様に、人間だいと大きな声を出す。  ところへ又印袢天を着た背の高い黒い顔をした男が荷車を引いて何処からか、遣って来た。人を押し分けて巡査に何か小さな声で云っていたが、やがて、酔っ払いの方を向いて、さあ、野郎連れて行って遣るから、この上へ乗れと云った。

2016-09-22 20:18:25
private_tom @private_tom4523

5 酔払いは嬉しそうな顔をして、有難てえと云いながら荷車の上に、どさりと仰向けに寝た。明るい空を見て、しょぼしょぼした眼を、二三度ぱちつかせたが、箆棒め、こう見えたって人間でえと云った。うん人間だ。人間だから大人しくしているんだよと、背の高い男は藁の縄で酔払いを荷車の上へ

2016-09-22 20:21:15
private_tom @private_tom4523

6 緊かり縛り附けた。そうして屠られた豚の様に、がらがらと大通りを引いて行った。御作さんはやっぱりまわしの羽根を捕まえたまま、注目飾りの間を、向うへ押されて行く荷車の影を見送った。そうして、これから美いちゃんの所へ行って、美いちゃんに話す種が一つ殖えたのを喜んだ。 了

2016-09-22 20:24:29

まず、巡査が酔っ払いに、「お前はだ」と聞いてるところから人間扱いされていない。
だから、「俺は人間だ」と言うと観衆がどっと笑う。
「人間で何が悪い」と言っても、考えを改めることはなかった。

そして、荷車がやってきて「人間だ(だから歩いていく)」という男を屠殺された豚のように縛りつけて連れ去ってしまう。
それを見た御作さんは、話のネタができたと喜んだ。

なんか、焼き増ししたみたいな一件だなと思った。