日本画家 石本正のエッセイ 「劉生の「愛情」」 『絵をかくよろこび』所収 (初出「アサヒグラフ別冊」1986年春号)
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劉生の絵がなぜ好きかといえば、絵に対する愛情です。麗子像をあれだけ一生懸命に描いている。人に見せる作品ではない。自分の娘に対するひたむきな愛情、私の劉生への想いはそれに尽きます。 日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」 sekisho-art-museum.jp
2016-09-29 16:04:53劉生の絵は、私に子どものころを思い出させてくれます。カスリの着物を着て小学校通ったころの懐かしさです。劉生の絵には、そうした時代へのノスタルジーがあります。 日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」『絵をかくよろこび』所収 sekisho-art-museum.jp
2016-09-29 16:09:19劉生の絵について、油絵だから、日本画だから、という区別はないと思うのです。劉生の油絵はすでに日本画的なのです。日本画家の日本画よりも日本画的だといってもよいでしょう。日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」『絵をかくよろこび』所収 sekisho-art-museum.jp
2016-09-29 16:16:55劉生が、中国の宗元画に魅かれてということは、劉生が辿りつく東洋画の精神からすれば当然の成り行きでしょう。日本画のウリやネズミを描いたのなどいい作品です。第一級の作品です。そして劉生の線は、宗元画の線のように重くない。軽くしゃれています。日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」
2016-09-29 16:23:20いまの時代は無駄をしなくなりました。馬鹿げたことはしません。しかし、絵は無駄なことをしないといけない。無駄が無駄にならないのです。劉生の絵はそれを教えてくれます。 日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」 『絵をかくよろこび』所収 sekisho-art-museum.jp
2016-09-29 16:25:46劉生は、ヨーロッパへ行くつもりで、行けなくて死んでしまった。略)劉生は、デューラーを印刷物で見ただけであれだけのものを作り上げた。行ったからどう、行かなかったらどう、ということではない。「あこがれ」が実際見たより素晴らしい作品にしているということがあります。石本正「劉生の「愛情」
2016-09-29 16:33:05絵を描くということは、感動することだと思います。私はいま感動することが多いから描いている。劉生だってそうだったと思う。 日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」『絵をかくよろこび』所収 sekisho-art-museum.jp
2016-09-29 16:41:03昨年の暮れから今年のお正月にかけて、中世美術を訪ねてヨーロッパの旅をして来ましたが、ああ美しいな、と思って写生をしていると、寒さとか暑さとか感じないで夢中になっています。日本画家 石本正 「劉生の「愛情」」『絵をかくよろこび』所収 sekisho-art-museum.jp
2016-09-29 16:43:17ヌードをやっていて、同じモデルでも日によって違います。同じ日の朝、昼、晩で違うし、昼の光、夜の光線で変わって見える。長い年数ヌードを描いているので、人はよくあきないものと思うかもしれませんが、ああ美しいな、と思うから続けられたので、それがなければとっくにやめています。石本正↓前掲
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