140ssログ9月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

夏の終わりに、とはじめた怪談は思ったよりも効果があって。いち兄一緒に寝よ。ぼ、僕も。安定、今日夜戦は。お前こそ。そこかしこで話されたあと、なぜか石切丸の部屋。石切丸も怖い話が苦手とは知らなかったよ。そういうことにしておくれ。なんだそれは、と思う間に腕の中。共寝の言い訳。(石かり)

2016-09-01 07:19:11
やまたに @mw_snc

いち兄の布団に入りきらなかったんだ。飄々とそんな嘘を吐いて薬研は愛しい人の布団に潜り込む。怪談なんて、ちっとも怖くないくせに、と素直には責めない。怖がりの子供には、子守唄でも歌いましょうか。そんな扱いすら、余裕で笑って。歌うなら、もっと色っぽく歌ってくれや、腕の中で。(薬宗)

2016-09-01 07:23:14
やまたに @mw_snc

悪趣味な柄だ。幽霊柄の浴衣に弟はそう唸る。それは同意だけれど、着せたのは弟だ。それで、この次は。促すと甘え慣れない弟は視線を逸らす。幽霊だよ、怖くないかい。そう問いかけてやっと。こ、怖いものを見て眠れないから、今夜は一緒に。とんだ茶番。教えた悪いこはどこの誰だろうね。(髭膝)

2016-09-01 13:59:28
やまたに @mw_snc

痛そうだねぇ、と自分より痛そうな顔を石切丸はする。可哀想に、血が滲んでいるよ。さも労るように口付ける。鉄の味のする唇を舐めて濡らす。これで大丈夫。乾燥から守ったとばかりの笑顔に青江は、うん、と返した。また乾いたら、ね。なんて。本当は、舐めた方が乾きやすいのだけれど。(石かり)

2016-09-03 17:28:04
やまたに @mw_snc

頬を撫でる。邪魔な手袋は畳の上だ。まだ、日も沈んでませんよ。くすくすと笑う宗三を口付けで黙らせた。薬の味がします。そういえば試していたと、安全だ、と言い訳する。そうじゃなくて。眼鏡は外された。次にこの味にあったら、思い出してしまいそう。咎める割りに彼は艶やかに微笑んだ。(薬宗)

2016-09-03 17:59:50
やまたに @mw_snc

無垢な瞳の強さたるや、と語ったのはどちらからか。御神刀も重宝も、人の肉を持てばそれなりに不出来な面も出るはずなのに。青江は私に欲望がないと思ってる。あのこは僕がただ怠けたいとは思ってくれない。言いつつも結局いつも受け入れるのだ。見栄っ張りだね、僕ら。情けないねぇ。(石かり+髭膝)

2016-09-03 20:32:35
やまたに @mw_snc

その力が欲しかった。取り戻したかった。神とされてみたかった。癒す力が欲しかった。だからね、僕はどうしても君に惹かれて、それでいてずるいと思うんだ。馬鹿だろう、と呟く横顔の美しいこと。青江、君だってずるいんだ。私は君の全部に惹かれているのに、君は私の心は見てくれない。(石かり)

2016-09-03 20:52:12
やまたに @mw_snc

兄者はすごい。その言葉で、疲れたとぼやきかけた口を閉じる。そんなことないよ。代わりに笑みを浮かべて返すと、さすが傲ることがない、と。何を言っても弟の中で正しい兄の姿にされるのだ。何度でも、彼が理想を手放すまで。そして、自分ごと手放されるのが怖くて今日も、髭切は理想を装う。(髭膝)

2016-09-03 20:58:52
やまたに @mw_snc

裾を直す回数が減ったなぁ。感慨深げに言うものだから、宗三ななにかと薬研を見た。夏の昼寝は、あんたよく足を晒して寝てたんだ。他の奴に見せたくなくてなぁ、その言葉は嘘ではないのだろうけれど。今度はめくる方が多くなりそうですね。違いない、と悪戯な手が伸びていく。(薬宗)

2016-09-05 07:07:02
やまたに @mw_snc

楽しいなぁ、と三日月は隣と顔を見合わせる。そうですね、と数珠丸は微笑んだ。君たち、ひとを酒の肴にしないでおくれっ。御神刀の悲鳴に天下五剣はなおも笑う。酔い潰れた大脇差は、愛しき男に抱きついて離れないし、甘えだす。ふたりの同派の目の前で。なあに、仲良きことは美しき、だ。(石かり)

2016-09-05 07:17:50
やまたに @mw_snc

青江、青江。手招きして呼ぶのは石切丸ではなく、その同派の太刀だ。菓子をやろう。彼は時折そうやって甘やかす。石切丸が妬くほどに。でも、僕だって妬けるのだ。青江や、石切と仲良くな。彼は結局、身内が可愛くて僕にそうするのだから。君が波風たてなきゃね。そうか、と彼は上機嫌だ。(石かり)

2016-09-08 07:21:46
やまたに @mw_snc

もぐ、石切丸が肉まんを頬張る。大きな口で、がぶり、むしゃり、もぐもぐ、ごくん。あっという間に一つ消えて、二つ目は餡まん。それも消えてなくなる前に、青江は自分の分を半分に割った。君のはなんだい。きらきらとした目に、答えるよりそれを唇に押し付けて。いっぱい食べる君が好きだ。(石かり)

2016-09-08 17:34:17
やまたに @mw_snc

同派といるとき、青江の背は真っ直ぐだ。いつもの誤解を生む話し方さえしはしない。理由は見栄と、矜持と、それから僅かな子供の顔。怒られたら嫌だなぁって。内緒だよ、と人差し指が私の唇をつついた。そんな勿体ないことはしないよ。そんな顔、私だけ知っていればいいからね。(石かり)

2016-09-08 17:48:54
やまたに @mw_snc

薬研はこれな、と問答無用で渡されたのは桃饅頭で。つまり中身は餡まんと等しくて。沢山の土産の中からそれを選んでるのは加州や乱くらいで。厚。おう。肉がいい。なら俺が食べるかなー、桃色の。にやにやとする兄弟に言いたいことはあるけれど、そう言われると、手放せなくて。食う。おうよ。(薬宗)

2016-09-08 18:02:30
やまたに @mw_snc

兄者の色だ、とカレーまんを弟は手に取った。今更なので何も言わず髭切は餡まんを選ぶ。ぱくり、食べた弟の顔が強張って、苦虫を噛んだようになって。ほら、こっちを食べなよ。交換した餡の甘さにほろり綻ぶ。よかった、と思いながら黄色のそれを食べて、眉を寄せた。すぱいすは、慣れない。(髭膝)

2016-09-08 18:44:22
やまたに @mw_snc

三日月、頬に付いてる。うむ。指が口許のそれを取って舌に乗せる。そんな仕草すら様になる、そう思っている間にまた一口。また付いてる。おお。食べても食べても付くのは、どうしてだろうか。ほら、また。ちらりと覗く瞳の月に溜息を付いて頬にがぶり。次は元凶の餡まんごと食うからな。(じじしし)

2016-09-08 18:54:49
やまたに @mw_snc

物音に小夜は薄く目を開ける。太陽はまだ中天にある。それで。ええ。聞こえる声の片方は自分に膝を貸している兄のものだ。応える声は短刀の。それじゃ、あとでな。楽しみにしてますよ。そんな逢瀬の約束に小夜は再び目を閉じる。聞いてないふりをしないと、邪魔したくなってしまう。(薬宗)

2016-09-09 21:38:04
やまたに @mw_snc

太い眉は力強く凛々しい。深い緑の髪は長く、動く度に柔らかく揺れて。瞳は蛇か獣か、宵の闇に捕食者の顔で光っていた。それでいて、口元は仮面を張り付けたように笑んでいる。男か女か、獣か人か。柳の下の幽霊のようにその正体は掴めなかった。 #文章書きさんのにっかり青江の顔立ちの描写が見たい

2016-09-14 14:59:09
やまたに @mw_snc

小夜、小夜。兄の甘い声が耳元でする。よかった、戻ってきた。二番目の兄は心配性だ。特に、離れ置いて行かれることに対しては。大丈夫だよ、兄様。立派に修行してきたよ。抱きしめる細腕を抱き返して。後ろにいる短刀を見やって唇だけで。僕は、強くなったよ。そんな束の間の優越感を。(薬宗+小夜)

2016-09-14 22:58:08
やまたに @mw_snc

@mw_snc 彼は知らないのだ。兄はひとの強さなんてどうでもいい。守られることも嫌いだ。ただ、あなたが守りたいと願うから、他でもないあなただから受け入れるだけなのだ。そう言っても譲れないだろうから言わないけれど。本当は、離れるより弱いままでいいから側にいてあげて。(薬宗+小夜)

2016-09-14 23:03:04
やまたに @mw_snc

安心してしまうのは、きっとひどいことなのだ。宗三はわかって、小夜の頭を撫でる。主のために生きることにしましたか。うん。それは良いことですね。兄のようなことを言いつつ、思うのは怨念の色。それを力にして取り殺されるまで。頑張りなさい、小夜。やはり死ぬときまで救われないのだ。(左文字)

2016-09-17 15:53:58
やまたに @mw_snc

雷雲は鵺の領分だ。叫べ、轟け、彼方まで。であれば、月は空からお役御免だなぁ、と三日月は楽しげに告げる。愛し子の回りから常々離れない雷獣は今どこにもいない。鵺の居ぬ間になにしようって。尋ねる声も笑っている。暗くなくては出来ないことだ。黒雲の代わりに襖を閉めた。(じじしし)

2016-09-20 17:44:55
やまたに @mw_snc

びしょ濡れですね。薬研の頭を手拭いでふく。虎が庭に逃げてなぁ。されるがままの姿はただの子供のようだ。大人ぶられても落ち着かないけれど、幼いだけはそれはそれで。薬研。おう。暖めてあげましょうか。どうやって、なんて説明しないとわからないとは言わないでしょう。(薬宗)

2016-09-20 17:49:45
やまたに @mw_snc

風が強い。前髪が左目まで隠して行く。濡れた装束が張り付いて鬱陶しい。こんな日に遠征だなんて最悪だと青江は肩を落とす。帰りたい。珍しい泣き言に反応したのは隣の男で。私を風避けにするといいよ。言って袖で囲うようにしてくるから、現金にも今日の遠征は、最悪から少し上昇するのだ。(石かり)

2016-09-20 17:57:52

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