編集部イチオシ

ウォルトはどうしていつもミッキーの手を握り続けるのか

60
uroak_miku @Uroak_Miku

ミッキーマウスはハミルトニアンである - Togetterまとめ togetter.com/li/1037325 @togetter_jpさんから これの続きです。

2016-10-16 13:56:32
uroak_miku @Uroak_Miku

1)ミッキーが「キャラクター」として自律をはじめ、もはや従来の「翻案」の枠を超えていくなか、ウォルトは頑なにミッキーを自分のものと主張した。ミッキーとの記念写真ではきまって手を握っているかしていますよね。「おれのだ!」というアピールです。 pic.twitter.com/ka6tGeSMzl

2016-10-16 14:01:59
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

2)ただミッキーマウスは変化自在。置時計でもノートでもまんがでも何にでもなれるし出没する。

2016-10-16 14:03:06
uroak_miku @Uroak_Miku

3)著作権法には「複製権」や「翻案権」といった概念が用意されています。もし私がミッキーマウスの公式イラスト集を無断複製して売り出したら「複製権」の侵害だとしてさし止め請求されるでしょうし、ミッキーマウスのオペラを無断で上演したら「翻案権」の侵害だといわれるでしょう。

2016-10-16 14:05:10
uroak_miku @Uroak_Miku

4)ところがノートにミッキーマウスの絵を無断で使って売り出した場合、どうなるか。実は著作権法を盾にしての差し止めは難しいのです。 pic.twitter.com/gVVgWlfl13

2016-10-16 14:07:24
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

5)ミッキーマウスの絵を無断複製したんだから「複製権」の侵害じゃないか、とはいかない。

2016-10-16 14:08:34
uroak_miku @Uroak_Miku

6)例えば『ドラえもん』のあるコマに描かれた土管をそのまま複製してノートの表紙にのせて売り出したとして、それは複製権の侵害と呼べるのか。 pic.twitter.com/t5fV2qKXsu

2016-10-16 14:12:24
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

7)ドラえもんやのび太の部分を複製してノート化して売り出したら複製権の侵害で、土管ならそうではないというのは、何かおかしいわけです。

2016-10-16 14:13:17
uroak_miku @Uroak_Miku

8)このコマごとノートの表紙に印刷して売り出した場合、もう確実に複製権の侵害として裁判では負けるでしょう。

2016-10-16 14:14:11
uroak_miku @Uroak_Miku

9)けれどもその一部品にすぎないものまでを複製権侵害として差し止めはできない。複製権の概念を逸脱すると考えられます。

2016-10-16 14:15:12
uroak_miku @Uroak_Miku

10)じゃあ翻案を無断で行ったと訴えればとおるのでしょうか。うーん翻案というのは小説をドラマにするとか人気アニメをまんがにするとかのことです。まんがのあるコマのごく一部分を取り出して転用するのは「翻案」とは呼べないでしょう。

2016-10-16 14:16:35
uroak_miku @Uroak_Miku

11)面白いとは思いませんか。私たちの感覚では「ドラえもんはドラえもんなんだから、それを勝手に使ってはいけないでしょ」と納得がいくのに、法律はその感覚をうまく肯定できないのです。

2016-10-16 14:18:13
uroak_miku @Uroak_Miku

12)いえ、今の私たちは「ドラを無断で商品化したらだめでしょ」と感じるけれど、60年前だったら「えーどうしていけないの?」とほとんどのひとが感じたはずです。60年前にドラえもんはなかったというツッコミはしないでね。今は思考実験をしているのだから。

2016-10-16 14:19:59
uroak_miku @Uroak_Miku

13)ミッキーマウスはアニメ作品の主役にとどまらず、あらゆる商品に変貌して増殖していった。旧来の法律の考え方ではミッキーを把握できなくなった。

2016-10-16 14:21:42
uroak_miku @Uroak_Miku

14)そこでウォルト(というかそのブレインたち)はこう理論武装した。「キャラクター」とは三つの集合が重なるところに存在するものなのだ、と。 pic.twitter.com/UxVfXGL9zw

2016-10-16 14:23:26
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

15)ミッキーはいつも同じ格好をしているわけではなくて、ときにはこんな服だって着ます。それでも「意味」と「内面」は同一性が保持されているからミッキーマウスに変わりはありませんよ、と。 pic.twitter.com/ibh77yyUTT

2016-10-16 14:26:39
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

16)この三つの輪っか絵は『キャラクターとは何か』(小田切博)からの引用です。キャラクターとはこういうものなんだ、内在的にこうなっているんだと論じています。元ネタはおそらくパースの記号論でしょう。 pic.twitter.com/NalYAchzak

2016-10-16 14:30:09
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

17)小田切はきっと「分析」したつもりだったのでしょうが、私は違う考えです。ウォルトがどこまで明確に理論化していたかはわかりませんが、ミッキーマウスを今でいう知的財産として守るために、この三つの集合を思いついたのです。 pic.twitter.com/qxNvbuHBO7

2016-10-16 14:33:22
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

18)自然にこうなったのではなく戦略的にこう考えていったというべきです。

2016-10-16 14:33:53
uroak_miku @Uroak_Miku

19)これなら架空の存在にして変化自在のミッキーマウス相手でも、その手をしっかり握り続けられる、と。 pic.twitter.com/6qLx6uxLX6

2016-10-16 14:37:00
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

20)ただ「意味」「内面」「図像」は抽象的な概念で、法律のことばにうまく置き換えにくい。 pic.twitter.com/Ond7F7L5PW

2016-10-16 14:39:06
拡大
uroak_miku @Uroak_Miku

21)事実1970年代にアメリカであるアングラまんが家がミッキーマウスとミニーマウスのHな絵を描いたまんがを売り出してディズニー社がかんかんになって裁判を起こしたものの、そのまんが家にこう逆襲された。

2016-10-16 14:40:34
uroak_miku @Uroak_Miku

22)「どのディズニー公式作品からの模写でも複製でもないぞ。この体位は俺のオリジナルの絵だ。つまり複製したわけではないし翻案でもない。だから無罪だ」

2016-10-16 14:41:45
uroak_miku @Uroak_Miku

23)詭弁もいいところですが法理論としては成り立っています。それで原告のディズニー社がかえって追い詰められた。最終的には連邦最高裁が「理屈こねてんじゃねえ!誰が見たってミッキーとミニーじゃないか」と判断して落着したのですが。

2016-10-16 14:43:14
uroak_miku @Uroak_Miku

24)最高裁も厳格な法理論の構築を放棄したのです。「がたがたいってんじゃねえミッキーにしか見えないんだからミッキーにきまってんじゃないか!」で押し切ってしまった。

2016-10-16 14:45:04