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暮しの手帖社の創立前後の出版業界について【とと姉ちゃん放映終了に寄せて】

NHKドラマ「とと姉ちゃん」のモデルとなった「暮しの手帖社」の創設前後の出版業界事情と、雑誌「暮しの手帖」についての出版社大全からの抜粋です。 とと姉ちゃんの関連本により、暮しの手帖は色々と掘り下げられていると思いますが、当時の出版業界事情については少ないようなので、まとめてみました。
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じーさん @GAS474

と、思いましたが、ドラマ放映完了記念として「暮しの手帖社」について、いくつかツイートしていきます。 【お断り】 1)私は中の人ではありません。 10年20年前の伝聞や資料でもあり、現状とは異なる可能性があります。 2)ドラマそのものは半分も視ておりません。 twitter.com/GAS474/status/…

2016-10-18 20:39:41
じーさん @GAS474

トゥギャトピに取り上げていただきました。 ありがとうございます。 重ねて、世間に知られずにいる小規模出版について、ツイートまとめを作成していこうと思います。 twitter.com/tg_editor/stat…

2016-10-18 20:34:54
じーさん @GAS474

出版社「暮しの手帖社」が設立された1946年については、 「全期を通じて出版が無秩序に上昇の一途をたどったことである。」『出版年鑑』より 戦時中は年間の設立数が10社にも満たない状況から、100社近くの出版社が設立されます。この設立ラッシュは1950年ほどまで続きます。

2016-10-18 20:51:00
じーさん @GAS474

が、良いことばかりでなく 「しかしこの発行上昇は、必ずしも必ずしも読者が要求するものでなく低俗な迎合的読物が群を抜いて多かったことと識者の間では目を背ける程度のものまで続出して終戦後の文化国家再建には縁の遠いものが多いため、 (続く)

2016-10-18 20:53:55
じーさん @GAS474

(続き) 勢い販売の混迷を伴って有名出版物の大都市偏在を生ずるに至った。」<出版年鑑>より とあり、カストリ雑誌に代表される粗製乱造の出版物を生むこととなります。

2016-10-18 20:56:08
じーさん @GAS474

このような中、「女性に役立つ出版をしたい」という花森安治氏に相談した大橋鎮子氏が社長に就任する形で前進「衣装研究所」が設立されました。 創業時 社長 大森鎮子 編集長 花森安治 社員 横山啓一(花森の知人)、大橋晴子、大橋芳子、中野家子(大橋の旧友) <出版社大全 塩澤実信著>

2016-10-18 21:04:18
じーさん @GAS474

創業最初に刊行された雑誌「スタイルブック」です。 東大で美学を学び『衣装の美学的考察』と題された卒論を著した花森がデザインし、鎮子が裁ち、中野家子が縫い、鎮子が着てモデルとなったそうです。 ここら辺は、今のコスプレ同人誌に通じるものがあるかもしれません。

2016-10-18 21:11:32
じーさん @GAS474

雑誌「暮しの手帖」が創刊された1948年の出版業界は、 年当初の1月に政府は公職追放として出版社78社、出版関係者217名、執筆関係者335名を公表しました。 業界に大きな動揺が走ったことと思います。

2016-10-18 21:13:42
じーさん @GAS474

更には 「昨年末頃から起こった返品洪水は、本年に入り益々激増の一途をたどり ~ 倒産するもの続出」 <日本読書新聞>より 2000社近い出版社のうち、1500社近くが倒産したそうです。

2016-10-18 21:15:45
じーさん @GAS474

また当時の書店からの配本希望雑誌として、 リーダーズ・ダイジェスト 世界 主婦之友 人間 中央公論 改造 婦人俱楽部 カトリック・ダイジェスト 文藝春秋 婦人之友 がベストテンに挙げられています。<日配時代史>より

2016-10-18 21:19:09
じーさん @GAS474

家庭向け生活雑誌が既に3誌あるなかに創刊した「暮しの手帖」の並々ならぬ意気込みが感じられます。

2016-10-18 21:20:33
じーさん @GAS474

また、1948年は出版業界にとり、新しく始まった制度として 国立国会図書館法の公布施行により「納本」制度化されました。 戦前のような検閲のための納本でなく、記録保存のための中立的な納本です。 「納本制度」について togetter.com/li/1038071

2016-10-18 21:23:34
じーさん @GAS474

納本制度と開始と同時期には、GHQによる新聞社や通信社への事前検閲が事後検閲になったことと合わせて、表現の自由が進んだ年でもあります。 とは言うものの、作家「永井荷風」が著書「四畳半襖の下張」の摘発を受けるなど、現代の表現の自由とは今だ隔たりがある世の中でした。

2016-10-18 21:29:22
じーさん @GAS474

以上、出版社「暮しの手帖社」の創設前後の出版業界についてです。 ここからは、雑誌「暮しの手帖」について、『出版社大全』<塩澤実信著>より抜粋していきます。

2016-10-18 21:32:38
じーさん @GAS474

「暮しの手帖」は、戦後スタートした生活実益型婦人誌では後発だった。昭和二十三年(一九四八)の秋、季刊誌の形で登場するが、創刊の意図は現在も表紙二面に掲載されているマニフェストに明らかにされている。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:34:24
じーさん @GAS474

これは あなたの手帖です いろいろのことがここに書きつけてある この中の どれか せめて 一つ二つは すぐ今日 あなたの暮しに役立ち せめて どれか もう一つ二つは すぐには役に立たないように見えても 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:35:50
じーさん @GAS474

やがて こころの底ふかく沈んで いつか あなたの暮し方を変えてしまう そんなふうな これは あなたの暮しの手帖です 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:36:45
じーさん @GAS474

花森編集長は、この編集方法について次のように述べていた。 「この雑誌には、むつかしい議論や、もったいぶったエッセイは、のせないつもりです。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:38:54
じーさん @GAS474

それが決して、いけないと言うのではなくて、そうしたものは、それぞれのものが、もう、いく種類も出ているからです。 (中略) 年四回の季刊にしたのも、その方が、いくらかでも頁数をおおくすることができるからでした」 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:40:19
じーさん @GAS474

創刊号は一万部刷ったが、日配では五千部しか取り扱ってくれないので、残った五千部は社員六人が、行商部隊となって売り歩いた。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:41:20
じーさん @GAS474

「暮しの手帖」の存在価値の第一は、「商品テスト」にあった。 ~ 生涯現役編集長だった花森安治が、 ~ スタートさせたビッグ企画だった。 彼が「商品テスト」を、自らの全生涯を賭けた「暮しの手帖」に掲載し始めたそもそもは、次のような理由からだった。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:48:25
じーさん @GAS474

「戦前には軍部あるいは官憲という合理的ではないものが、いわれなき権威があったわけですが、戦争でいっせいに潰れたわけです。しかし、それに代わって出て来たのが経済界といいますか、『金』が立ちはだかるわけです。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:49:46
じーさん @GAS474

広告で押しまくられている状況の中で、自分の目で商品を見るというためにはどうすればよいか。ぼくらの答えを鮮明な形で打ち出したのが商品テストの始まりと言えましょう。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:51:16
じーさん @GAS474

各商品テストの結果を読んでもらえば、広告でよいとされたものが、かならずしもそうでないことがわかり、それを続けていけば、大会社の製品がかならずしも高性能ではないという常識が出てくるでしょう。 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:53:51
じーさん @GAS474

-ぼくは、権威に対してのチェックが民間にない社会は不健全な社会であると常に考えています。ぼくらは商品批評という形で始めているが、そのほかの点でもこの姿勢は崩すまいと思っている」 『出版社大全』<塩澤実信著>より

2016-10-18 21:55:03