【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」】

横山光輝「三国志」武将かるた_bot @yms_karuta

【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」01】 第109話でございます。 舞台は許都。この時点での漢の首都です。単福の計略にまんまとやられた曹仁らがボロボロの状態で帰還してきました。3万だった兵力がわずかな人数に。その知らせは曹操のところにも届きました。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」02】 曹操はこの回からヒゲを生やしております。まだ、ヒゲの姿に慣れないところがあります。初々しいお髭です。さて、この曹操。新野の劉備玄徳軍が二、三千の兵しかおらず、曹仁3万が敗れたことが信じられない様子です。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」03】 ともかく事情を聞こうと、曹仁を呼ぶことに。周りの側近達は、曹仁の惨敗を受けてこのままでは収まるまい、責任を取らされて打ち首じゃのうと噂話をします。そこに曹仁と李典がやってきました。会わせる顔がないと二人は跪き頭を下げます。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」04】 曹操は、玄徳に敗れたことを怒るわけでもなく、なぜ十倍の兵力を持ちながら敗れたのか、その理由を知りたいと言います。曹仁は、敵に単福という軍師がついていたと話します。呂曠・呂翔は敵の中に誘い込まれ分断され倒されたと。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」05】 その後、全軍をもって新野に向かい、八荒の陣を持って対峙したものの、弱点をつかれあっという間に打ち破られたと。さらに夜襲も見破られ、火殺の罠により惨敗したと、事の顛末を報告します。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」06】 曹仁は責任を感じて、どのような責も負うと、覚悟を決めていましたが、曹操は勝敗は兵家の常だ、気にするなと罪にはとわないと言い、家に帰って疲れを癒せと、お咎めなしの温情裁定を下します。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」07】 側近たちはこの決定に驚きますが、あるものはここが曹操様のすぐれたところよ、勝敗は兵家の常、そのようなことでいちいちとがめはしない、としたり顔で言います。 曹操は、敗戦したことよりも、相手の単福という軍師に興味を持ったようです。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」08】 誰か知っている者はいるか、と周りに聞くと、一人の男が、自分が知っていると名乗り出ます。後で名前が出てきますが、これが程昱です。曹操が何故知っているのかと尋ねると、程昱と単福は同じ土地の出身だからと答えます。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」09】 すぐれた男なのか？という曹操の問に対し、程昱は自分など足元にも及ばぬすぐれた人物だと答えます。ますます興味を持った曹操は、単福について詳しく話せと促すと、程昱は単福の素性について語り始めます。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」10】 程昱は単福の素性を語ります。 単福は世を忍ぶ仮の名。本名は徐庶、字は元直。潁川（えいせん・安徽省穎上）では名の通った人物です。 なぜ偽名を使っていたのかという曹操の疑問はもっとも。それに答える程昱の語りが始まります。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」11】 回想シーンのコマはギザギザ罫線で囲まれていますね。 程昱曰く、徐庶は非常に義理堅い人物。ある日、親友から仇討ちの助太刀を頼まれ、快く手を貸します。仇討ちは見事成功したものの、それがために役人に追われる身となります。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」12】 助太刀と言うか、絵で見る限り、徐庶が主犯格で殺ってしまっております。徐庶は役人の目を逃れるために、顔に炭の粉を塗り、わざと髪の毛を乱し、狂人の真似をして過ごしていましたが、ある日とうとう捕まってしまいました。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」13】 役人の取り調べに黙秘を貫く徐庶。しょうがないので、役人は市中引き回しをして、知っている者がいないかと問いただしていたのですが、誰一人奉行所に訴え出る者はいませんでした。人望があったんでしょうね。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」14】 その後、徐庶の親友たちが奉行所に忍び込み、徐庶を助け出し遠くへ逃してしまいます。それ以来、徐庶は名を単福と名乗り諸国を歩き、司馬徽の門をたたき、学問に身を打ち込んでいると聞いた、と程昱は話します。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」15】 曹操は、そんな人物がまだ野にいたとは、と言い、自分が知っていれば高禄で召し抱えたものを、と悔しがります。これから戦わなくてはならぬ玄徳の軍師となっているとは残念だと。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」16】 しかし、程昱は、まだ曹操陣営に召し抱える方法はあると言います。驚く曹操。実は、徐庶には年老いた母親がいて、徐庶は若い頃から親孝行でも評判の人物だったと言うのです。母親を通じて徐庶を呼び寄せては、という程昱の案に曹操は乗ります。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」17】 さっそく、徐庶の母が許都に迎えられることとなりました。 後日、丁重に迎え入れられた徐庶の母。程昱が先導してきたようです。程昱は丞相＝曹操を呼んでくると言います。徐庶の母は落ち着かない様子です。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」18】 曹操が現れると、平伏する徐庶の母。曹操は、「おう、お母さん、そう固くならなくともよい」と言ってから、早速話を切り出します。徐庶が玄徳に仕えていることを知っているか、なぜそのような男に仕えているのか、それに同意しているのか、と。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」19】 玄徳はいずれ征伐される運命にある逆臣、もしお母さんが同意して玄徳に仕えさせたのなら、それは手中の珠を泥の中に落としたようなもの。徐庶に手紙を書いて、都に呼び寄せたらどうかと持ちかけます。徐庶ならすぐに身分の高い職につけると。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」20】 ひととおり聞いた徐庶の母は、自分は田舎者で世の中のことはよくわからないが、劉玄徳と言う人は民のために生まれたまことの仁君だという噂を百姓でも知っているといいます。これには曹操笑い飛ばすしかありません。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」21】 曹操は、玄徳という男は、昔は沓（くつ）を売り、筵（むしろ）を織って暮らしていた男。たまたま乱れに乗じ、無名の旗をかざし気取っているだけ、とこきおろします。根はそのいらを流れ歩く流賊とどこも変わらんと。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」22】 世の中の英雄は君と余だ、と言っていたあの頃の評価とは真逆な言い草ですが、とりあえず、徐庶の母の気を引くために玄徳をこき下ろしています。しかし、徐庶の母は、それは自分が聞いた噂とたいそう遠すぎると信じません。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」23】 玄徳は帝のために命を投げ出す忠臣と聞いていると徐庶の母が言えば、曹操はそんなものは芝居にすぎんと一蹴。徐庶に都にくるように手紙を書きなさいと言う曹操に、徐庶の母はそれは出来ませぬと返します。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」24】 わが子の出世のため、自分の老後のためではないか、という曹操の言葉に、わが子のためだから書けませぬと答える徐庶の母。この後、徐庶の母が強烈な一言を繰り出します。

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【横山光輝「三国志」講座109「単福の素性」25】 「この田舎者の婆でも順逆の道くらいは知ってございますだ。漢の逆臣は玄徳様ではなく、丞相様、あなた自身でございますだ」 「母親として、なんで我が子を誤った道に歩めさせられますだ」 と。これには曹操怒り心頭です。