向日葵 第二部

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あみ @ami_qitt25

135 向日葵第2部 幼い頃の記憶 背の高い沢山のひまわり その中で… 何で泣いとるん? パパもママも あたしが嫌いなんだって だから…1人なの そう言って泣きじゃくる 俺が居るやん 傍に居るから 守ったるから だから、泣くなや… #向日葵

2016-10-22 19:14:18
あみ @ami_qitt25

136 ほんと? ほんま 行こう… 繋いだ手をキュッと握って 離れないように 離さないように なんで…離したんやろ なんで…守れんかったんやろ なんで…俺を残して行ったん 今年も沢山のひまわりに あいつの姿を探して… #向日葵

2016-10-22 19:14:26
あみ @ami_qitt25

137 偶然出会った彼女は 俺の記憶の中のあの子と同じで ごめんなさい… が口癖 なんて寂しい口癖なんや… それだけでほっとかれんくなる 彼女の手の甲に俺の番号を 油性ペンで書いて… これで消えへんやろ? これが消えるまでは 俺の事、忘れへんやろ? #向日葵

2016-10-22 19:14:36
あみ @ami_qitt25

138 その後はいつ連絡が来てもええ様に 携帯は手放さなかった まさか、あんな時間に来るとは 思わへんかった シャワーを浴びて寝る前に 明日の準備をしてる時に ワンコールのみの着信… もしかして… 見慣れない番号 折り返し掛ければ やっぱり…あの子やった #向日葵

2016-10-22 19:14:49
あみ @ami_qitt25

139 電話の向こうからは 泣き声… 目に付いた物を聞いたら うちの近くやんか 直ぐに迎えに行ったら 昼間会った時と人が変わったみたい 家に連れて来て話を聞けば ありえへん状況やん それでも、この子がその人を 好きなら俺がとやかく 言える事や無いから… #向日葵

2016-10-22 19:14:58
あみ @ami_qitt25

140 でも、もし…助けが必要なら… 助けてやれなかったあいつみたいに どっかで泣いてるなら 助けてやりたい… 彼女をベッドに寝かせて ソファに丸まると 久しぶりに夢を見た 1面の向日葵畑 その中を手を繋いで走る俺とあの子 #向日葵

2016-10-22 19:15:06
あみ @ami_qitt25

141 遠くであの子を呼ぶ声 立ち止まると振り返り… 手が離れて…あの子が走り出す 何でもあん時離したんやろ 離さなきゃあの子と離れなくて 済んだんやろか? あの子の泣き声が夢の中で聞こえて 目が覚めた #向日葵 pic.twitter.com/b4O1ai67Gs

2016-10-22 19:15:14
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あみ @ami_qitt25

142 ベッドではまだ彼女が 寝息を立てて居た そっと、傍に行って… 彼女の頬に付いた涙の後を 指で辿った メモを残して部屋を出た 出来れば帰って来た時に 居てほしい…そう思いながら 仕事が終わり 部屋に戻るとソファにもたれて 彼女が寝て居た #向日葵

2016-10-22 19:15:19
あみ @ami_qitt25

143 まるで猫みたいに丸くなって 彼女の顔に掛かった髪を手で避けると身体がビクッと小さく跳ねた 「ごめんなさい…」 寝言なのか小さな声で ほんまにこんな口癖… 嫌になるわ こんな事言わせてる奴が おるかと思うと… 彼女がゆっくりと目を開けて 俺を確認する #向日葵

2016-10-22 19:15:25
あみ @ami_qitt25

144 彼女の髪を一筋取ると 激しく動揺してるのが解る いったいどんな事されてるん 『大丈夫…なんもせいへんから』 「ごめんなさい…」 『あのな、謝るなや… お前はなんもしてへんやん』 #向日葵

2016-10-22 19:15:31
あみ @ami_qitt25

145 そう言ってから 『飯食いに行かへん?それから送って 行くから…食べてへんやろ?』 やっと彼女の目の焦点が合って 俯いて何か考えてるかの様に 暫くして顔上げると 「あたしで良ければ、何か作ります… 大した物は出来ませんけど…」 #向日葵

2016-10-22 19:15:38
あみ @ami_qitt25

146 彼女の部屋で食事を取って 『何かあったら連絡して、 気にせんで連絡してな、』 そう告げて帰った… 彼女が泣いて無いことを祈りながら それから、彼女の事が頭から離れなかった 始めはあの子を重ねて… もしかしたらあの子かも知れへんと思い #向日葵

2016-10-22 19:15:43
あみ @ami_qitt25

147 俺はあの場所に… 2人が初めて会った向日葵畑のある場合に向かった 昔の事だから覚えてる人も少なかったけれど、 それでも何人かは当時の事を覚えてて あの子の両親が離婚して引き取り手が 無かったあの子はお婆ちゃんが住む この田舎にやって来たらしい #向日葵

2016-10-22 19:15:48
あみ @ami_qitt25

148 此処に居る間は多分幸せだったんだと思いたい お婆ちゃんが急に亡くなったのは 俺も知っていた そして親戚に引き取られたのも あの日、あの子が手を振りながら 「章ちゃん、また明日ね」 と言った言葉が時折蘇る #向日葵

2016-10-22 19:15:53
あみ @ami_qitt25

149 俺が手を離さなければ行かなくて済んだのだろうか… 一面の向日葵畑はあの日と何も変わって無くて 少し、切なくなった… #向日葵 pic.twitter.com/CUtssoI4xJ

2016-10-22 19:16:06
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あみ @ami_qitt25

150 その日たまたま見つけた空家を 借りる事にした 確信は無かった… でも、彼女とあの子が同じだと 思いたかった そうだとしたら、 幸せだったこの場所で… 向日葵の見えるこの場所で… #向日葵

2016-10-22 19:42:52
あみ @ami_qitt25

151 彼女とはその後何度連絡をしても 取れなかった 何度か部屋にも訪ねたが 帰った形跡が無い…多分彼氏だろ… そんなんが彼氏なんだと思うのも 腹立たしいんやけど 愛し方は人それぞれやし… 彼女がそれでええんなら… そう思う様にせなと…でも、限界やった #向日葵

2016-10-22 19:42:58
あみ @ami_qitt25

152 今度、逢えたら彼女を連れて あの場所に行こう やっと逢えた彼女は 初めて会った時よりやつれてて 笑う事さえ忘れてしまっていた 彼女を連れて…向日葵の中へ 「章ちゃん…?」 ああ、やっぱり… あの子やった やっと、逢えたね… #向日葵

2016-10-22 19:43:04
あみ @ami_qitt25

153 それから2人であの向日葵が見える 家に引越して 彼女はいつも何か…彼に怯えていた 痕跡は消してきた 何があっても守るつもりやった あの日まで 仕事で家を空ける時は特に 気を付ける様に言って出掛けた でも、 その日の夜から連絡が取れんくなった #向日葵

2016-10-22 19:43:10
あみ @ami_qitt25

154 どうしても仕事を抜けれ無くて 急いで戻って来た時には 彼女の姿は無かった もちろん、探し回った 何日も何日も… ある日、1人の男が訪ねてきた 《あいつは…戻っておらへんの?》 コイツが… 『お前が連れ出したんや無いの? …彼女、返したって』 #向日葵

2016-10-22 19:43:14
あみ @ami_qitt25

155 男はうなだれて 《此処にもおらへんか… 何処に行ってもうたんやろ…》 そう言って、崩れ落ちる様に 泣き伏した 『どういう事やねん、彼女がどうしたんや、な、泣いてたら分からへんやん』 男の肩を掴み揺すぶりながら 嗚咽を繰り返しながら何とか 話出した #向日葵

2016-10-22 19:43:19
あみ @ami_qitt25

156 《居なくなったんや ちょっと目を離した隙に… 湖の側やったから、まさかと思って、 でも、居らんかった…何処に行ったか 分からへんのや…》 『分からへんって…思い付くとこは? 探したんか?』 #向日葵 pic.twitter.com/Ww1ky6pZ4h

2016-10-22 19:43:26
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あみ @ami_qitt25

157 《もちろんや …でも、何処にもおらへん… 此処に戻ってるやないかと、…》 信じられへんかった… 逃げ出したんなら帰って来る筈やん 《生きてるんやろか…》 男の言葉が頭の中でこだました 向日葵第2部END #向日葵 pic.twitter.com/T0y8oHPleh

2016-10-22 19:43:30
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