フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 #14 「新種」

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「フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 #13 「急変」」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1039101

2016-10-21 02:20:49
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(ようやく目的地の洞穴に着いた俺達は、ドローンの偵察で大量のバケグモと生存者、そして無数のバケグモが連結したムカデみてぇな不気味な新種を見つける。先輩は援軍が来るまでは探索を優先する様に指示したが、奴は生存者を襲おうとしてやがる。悪ぃ、俺は行くぜ!恵里!付いて来るなら頼む!)

2016-10-26 23:47:39
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奴の体は、俺達が入ってきた東の入口付近の岸壁に突き刺さった。クソ!近くにあった犠牲者の遺体が岩で押し潰れた。奴は体を引き抜き、こっちへ向き直る。不味いな…西の生存者の方へ合流してぇが、今の突撃がまた来たら巻き込んじまう。かと言って北側に逃げてもあっちに生存者がいねぇとも限らねぇ。

2016-10-26 23:48:48
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「お前ら…頼む!」 俺はノゾム達を西側へ飛ばした。知覚の鋭いエイジを先頭に3匹が飛んでいく。今なら奴が糸もクモも吹っ飛ばしたから安全に飛べる筈だ。打ち合わせる時間はなかったが、俺の考え通りなら「あっち」で役に立ってくれんだろう。残った俺達は3匹の進路を守るように構え直す。

2016-10-26 23:53:50
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「恵里…悪ぃ。暫くここで時間稼ぎだ」 俺は奴から目を離さずに告げた。 「…え、倒すんじゃないの?」 心底意外そうな声が返ってきた。多分、きょとんとした顔で9割本気で言ってやがるぞコイツ。 「…お前が平常運転で安心したぜ」 …とにかく今やれることをやるだけだ。

2016-10-26 23:56:19
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フォビドゥンフォレスト2話「バケグモ大進撃」 #14 「新種」 実況・感想タグ: #禁森実況

2016-10-26 23:58:45
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奴が岩から頭を抜き、こっちに向き直った。ようやく見えたその全長は、ざっと15メートル。18匹のバケグモが連なってやがる。奴を倒すのに一番の問題はどこが本体かってことだ。さっき奴は頭部を新調しやがったからな。 参考になるのは、さっき先輩が話題に出したミサキムカデの話だ。 1

2016-10-27 00:04:19
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コイツはこの新種と同じことを人間でやる。捕らえた人間を虫の頭として同化させて、時間が立つとその頭が次の頭を捕らえて、1つ前の節へとずれ込む。コイツの場合は全部潰さねぇと一節からでも復活しちまう。郡体と個体の良いとこ取りみてぇな連中だ。この新種も同じと思ったほうが良いだろうぜ。 2

2016-10-27 00:10:12
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「恵里、俺がサポートすっから頭から順に尻まで全部叩っ切れ」 「うん!」 「あと、鞘貸しとけ」 恵里は俺に鞘を投げ渡すと、足場3つを蹴って天井へ駆け上がる。片足分の出っ張りを見つけて着地して壁面の様子を見回す。そしてムカデ野郎目掛けて壁の上を走っていった。 3

2016-10-27 00:16:05
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「せりゃあ!」 頭部のヤリグモ狙いで側面から斬りかかる。奴は体を根本から捻って恵里に向き直り、口から何かを吐こうとする。そうはさせねぇ。俺は刃を動かす。恵里はその1枚を足場に、後ろ宙返りで攻撃をかわす。更に素早く足場2つを経由して、逆側面に回り込み頭をぶった斬った。 4

2016-10-27 00:20:36
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斜めに切り裂かれた頭がずり落ちていく。足と背で壁面に着地した恵里は、即座に追撃を見舞おうとして…止めた。残った下半分の頭が萎んでいきやがるからだ。いや、後ろのコガネバケグモ部分に中身を吸われてんだ。萎びた頭が切り離され、恵里目掛けて上向きに投げ捨てられる。 5

2016-10-27 00:25:07
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恵里は天井スレスレまで跳んで避ける。そこへ奴が新たな口から糸を吐き掛けた。口から吐くバケグモなんて殆どいねぇ筈だが、合体の影響か?毒液も混ざってるみてぇだ。何にせよ食らったらヤバい。恵里は8枚の刃を足場に、天井付近の狭い空中をジグザグに避ける。 6

2016-10-27 00:34:18
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「おい恵里ぃ!」 恵里の移動先に鞘をぶん投げる。足場を配置してんのは俺だから先読みは簡単だ。奴の注意を逸らすべく、俺本体と刃で陽動も仕掛けながら鞘を飛ばす。恵里が鞘を剣で受け止めと、電子音が響き渡る。 <グラビティ!ギガンティック!ガーディング!> 7

2016-10-27 00:48:16
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重量強化・剣を覆うオーラのハンマー化、局所バリアのコンボだ。 「うぉ、重!……せ…うぉりゃああ!」 恵里は慣れねぇ重さに苦労しながらも、20mの高さから超重力に位置エネルギーを乗せて、今出せる最大級の火力を振り下ろす。迎撃に吐かれた糸は一瞬生じたバリアが防ぐ。 8

2016-10-27 00:54:21
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俺も奴の動きを少しでも制限すべく、奴の真ん中辺りを刃で集中攻撃し、剣本体で根元の方の足を何本か奪い、即座に距離を取った。直後、恵里の一撃が命中する。コガネの頭部を含む5つの体節を真っ二つにして、6つ目の真ん中まで切れ込み、7、8番目にもヒビが入った。ほぼ半分以上をやった! 9

2016-10-27 00:59:54
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恵里は剣を覆うハンマー型の魔力を止め、肩で息をしながら落ちてくる。流石にキツかったか。これで残る体節は11。高さ8mの辺りにある、その内2つはヒビ入りで、デカい肉の重しがくっついた状態だ。俺は恵里を受け止めるべく走り出す。今は自力で着地出来ねぇだろうしな。…だがその時。 10

2016-10-27 01:07:54
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奴が自切した。使えなくなった体を切り捨てやがったんだ。そこまでは予想の範囲だ。さっき似たようなことをしたばかりだからな。だが千切れたのは先頭から3番目までだ。ヒビの見当たらねぇのも2つ紛れてる。やるにしても1個前までと思ってた俺達は完全に不意を突かれた。 11

2016-10-27 01:12:37
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残り8つの2番目の脚が何かを恵里に投げつけた。糸の塊だ。あの体節はトアミバケグモだ。カウボーイみてぇに糸で敵を引き寄せる奴だ! 「恵里!」 いつもより大きい技後硬直の恵里は、それでも剣を手放しつつ全力で真後ろに跳んだ。一歩遅ければ毒付きの糸に巻き込まれていた。 12

2016-10-27 01:17:52
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「畜生!」 俺は全力で跳んで恵里を受け止め、捨てられた体の横に滑り込むように着地した。撥ねた砂利が体に当たる。奴は投網を捨てて、先端部の断面を再生させてやがる。 「ごめん」 「こっちこそ悪ぃ。時間稼ぎっつったのに行けそうだと思って無理させちまった。怪我ねぇか?」 13

2016-10-27 01:21:37
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「平気平気。それに行けると思ったのは私もだし…ってうわ!ハル!近い!」 恵里は真っ赤になって俺の腕から跳び降りる。その勢いのまま背中から刀を抜き、横の無傷のバケグモパーツにぶっ刺した。次いでヒビ入りの手負いにも刺して抜く。俺も残り一匹をヒビを起点に3本の刃で仕留める。 14

2016-10-27 01:24:17
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仮にまた独立したクモとして動き出せたらやべぇからな。殺れる時に真横に降りられたのは不幸中の幸いだったぜ。その間に数秒で頭を再生させた奴が俺達に再度向き直る。投網が来るか、新しい頭のドクバリグモ部分が針を出すか、それとも他の節が仕掛けてくるか?警戒していると、奴が口を開いた。 15

2016-10-27 01:34:40
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『$%*&;:・&$%#@&!!!!!』 !!?…畜生…!何だこりゃぁ…っ!スゲェ甲高い、良く言えばガラスを引っかく音や黒板を引っかく音をかけ合わせたような…とにかく聞いてるだけでくたばりそうな超高音だ。それが洞穴中に反響していやがる。俺は吐いちまった。 16

2016-10-27 01:38:16
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「うわ!何これ!」 恵里は右手で刀を構えたまま、左手で右耳、肘裏で左耳を抑える。 俺にはそこまでの余裕はねぇ。浮かせてた刄は散り散りにその辺に刺したが、無理だったのはボロボロ落ちやがった。両耳を抑えてうずくまる。 「だ、大丈夫?」 「こんのボケぇっ!!」 17

2016-10-27 01:40:28
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「え!?え、あの…」 恵里が不安そうに見てくる。いや違う。お前に言ったわけじゃ無ぇ。そう告げる代わりに俺は気力を振り絞り、大量の刄を奴の顔面に放った。 「誰がそっちになんか行くか!くたばれ!」 苦し紛れなもんで悲惨な命中率だったが、発声器官に当たったのか音量が半減した。 18

2016-10-27 01:45:27