ハードSF読書会 選択肢リレー小説 「吾輩はネコであった。」
@theodoorjp イヌである。ある朝、目が覚めたらそうなっていた。短毛種で、ビロードのような毛並みが自慢だったのに。
2016-10-29 23:03:11#improSF いまや、固い毛に覆われている。というのも、輩はいまや宇宙犬として銀河を無尽に旅するスペース・ドッグである。だが、名前はまだない。次の目的地は、
2016-10-29 23:11:00#improSF 次の目的地はブラックホール。なぜブラックホールなのか。それは飼い主が酔狂な科学者なのである。そもそもイヌになったのも「ネコにイヌの忠誠心が加われば人類にとって最高のペットになる」と思いつき、ネコであった私のDNAを改変するナノマシンを注入したからである。
2016-10-29 23:16:31#improSF なので厳密にはイヌとネコの遺伝子が6:4のイヌネコとなる。さて、私はブラックホールに向かっている。24世紀のライカ犬としてブラックホールに突入する最初の生物となるであろう。さしあたっての問題は
2016-10-29 23:19:53#improSF 運転席にいる飼い主が時折わけのわからないことを言い始めたのだ。致し方ないことではある。ブラックホールを探し宇宙へ旅立って早50年だ。私もなのだが、飼い主の身体にもDNA改変が行われた。身体は宇宙空間に耐え得るよう強化された。だが、精神はそうできなかったのだ。
2016-10-29 23:30:37#improSF 私は飼い主をカプセルで放出した。ブラックホールには私一人で行く。飼い主はゆっくりとコールドスリープしながら、50年かけて地球に戻れるだろう。だが、私の目の前には決して引き返せないブラックホールが広がっている。私はここに突入する。
2016-10-29 23:35:18#improSF ああ、なんて暗いんだろう。ブラックホールは。だが、その時、私の体の異変が大きくなって行く。ブラックホールの周囲に見られる時間逆行現象だ。イヌになったはずの私はネコに戻りつつあるのか!どうしよう!
2016-10-29 23:38:31#improSF 私は自分を録画することにした。これは全有機生命にとって貴重なブラックホール突入の記録である。結局人類は400年かけてブラックホールの秘密を解き明かすことができなかった。時間逆行現象がおきている事実はなんとしても地球に送らないといけないニャ…。
2016-10-29 23:43:22#improSF 時間が遡る!?あそこまで博士と打ち合わせたのに、なぜかが説明できなくなってきた。そうか強化された自分の知能も退化してきているんだニャ。
2016-10-29 23:46:30#improSF そして、なぜか眠くてたまらないのだ。このままでは寝落ちしてしまう。頭が回らない。。また、20時間眠りづづける生活になってしまうのか? なんとか言葉を書き留めようとしてPCを開くと、そこには博士からのメッセージが来ていた。
2016-10-29 23:50:16#improSF 「愛するニャーよ」博士からのメッセージはこう始まっていた。「もう時間がない。未来の地球から書いている。このメッセージをおまえが読むとき、おまえは時間の逆行の中にいて、おまえが自分が誰かわからないくなっている。」
2016-10-29 23:55:31#improSF 「おまえはイヌネコから、普通のネコに戻ろうとしている。時間の逆行は本人さえ気づかないのだ。いいか、ニャーよ。よく聴け。ブラックホールの中心に向かってまっすぐ牽引ビームをはなて。」
2016-10-29 23:57:19#improSF 「そのビームは螺旋を描く。その螺旋が見えたら。宇宙船から出て、螺旋に沿って進むのだ。」
2016-10-29 23:58:06#improSF ニャーは宇宙船を捨てた。博士の言われた通り、螺旋に沿って飛び続けた。やがてそれは螺旋の階段のようだった。天井が見えた。天井は厚い扉でできていたが、なんとか押し開けることができた。そこから光が漏れて来た。
2016-10-29 23:59:26