@hirougaya氏の語る、『ひとはなぜ陰謀論に惹かれるのか』・・・記者の怠慢、企業の怠慢 ほか

20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

新聞そのほか旧メディアは「50年間同じ仕事をずっと続けているだけ」です。彼らは何かを報道規制したり、されたりしている自覚はまったくないでしょう。インターネットという「情報の迂回路」ができたので、上関原発や沖縄の高江そのほか「メディアが何を報じなかったのか」を人々が知ってしまった。

2011-02-24 04:05:28
烏賀陽 弘道 @hirougaya

高江も上関原発も「ローカルニュースに矮小化して、ナショナルな報道をしない。ナショナルな関心、ナショナルな議論を提起する」ということを、旧メディアはしませんでした。それは今まで戦後ずっと彼らがやってきたワークフローそのままでした。

2011-02-24 04:07:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

想像してみてください。インターネットがなければ、上関、祝島の漁師さんの声や、高江のヘリの轟音は、新聞やテレビ、雑誌の記者が現地に行って取材しない限り、知られないまま=存在しないものとして葬られてきたのです。

2011-02-24 04:09:35
烏賀陽 弘道 @hirougaya

おそらく、そうやって「存在しないもの」として葬られ、ナショナルな関心を生まないまま建設が強行された施設(原発、基地、高速道路、空港など)がたくさんあったはずです。

2011-02-24 04:11:12
烏賀陽 弘道 @hirougaya

旧メディアの記者たちは、50年以上(おそらく1945〜)続いているワークフローに従っているだけなので、その外側で起きたインターネットという「情報の迂回路」の作用が理解できず「俺たちはずっと同じ仕事をしているのに、なんで旧に非難されるようになったの!?」とびっくりしているでしょう。

2011-02-24 04:13:01
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私も三重県で記者をしていました。「芦浜原発」の立地予定地がありました。20年ももめていたので、記者は「おれがここにいる2〜3年の間には大きな動きは無い」(行政手続きは予定が見える)と強い関心を抱いていませんでした。(広瀬隆ファンの記者が例外でした)

2011-02-24 04:14:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

こうやってインターネットという情報回路ができて「知る」ことさえできれば、旧メディアや行政が「ローカルな問題」に矮小化してきた原発や米軍基地の問題がナショナルな関心、議論を呼ぶことが証明されたわけです。

2011-02-24 04:16:20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私が高江や上関に注目しているのは、もちろんSLAPP訴訟が起きていることが第一ですが、もうひとつは、インターネットによってナショナルなイシューになった初めての原発新規立地、米軍基地問題だからです。これがどう行方を左右するのか。

2011-02-24 04:18:02
烏賀陽 弘道 @hirougaya

もちろん、推進する側は「インターネットが登場したからといって、原発や基地が頓挫しては困る」と思っているので、「悪しき前例」を残さないよう、必死になるでしょう。だからSLAPP訴訟まで起こすのです。

2011-02-24 04:18:57
烏賀陽 弘道 @hirougaya

ちなみに「ナショナル」national=全国的な。ローカルの反対。

2011-02-24 04:21:18
烏賀陽 弘道 @hirougaya

反対運動の側も、実はインターネットが加わっただけで、運動の形態や中身は案外旧時代のままです。このへんはどちらも変化が遅い。

2011-02-24 04:22:55
烏賀陽 弘道 @hirougaya

問題が「地元」「県庁所在地」「東京」などばらばらに分断されてきた反対運動側は、特に東京でのレプリゼンテーションがほとんどいません。東京のメディア、政治家、企業などに働きかける機能がないのです。なので脆弱です。

2011-02-24 04:25:09
烏賀陽 弘道 @hirougaya

上関、高江の反対運動が、東京のメディア、政治家、企業に働きかける常駐の専従者を一人でも東京に持っていれば、状況はずいぶん違ったはずです。環境NPOでこうした「東京対策」を専門にする人たちがいてもいいでしょう。

2011-02-24 04:28:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

わたしたち日本人は1955〜2009年の疑似開発独裁で「疑似民主主義」を真剣に問わずにきました。いまあまりに私たちの権利がおろそかにされているのを見てびっくりするのも無理はありません。

2011-02-24 04:44:18
烏賀陽 弘道 @hirougaya

三重県で記者をしていてとき、芦浜原発の立地に関心があるのは、経済担当の先輩記者だけで、私は自分の持ち場である警察の取材(抜いた抜かれて含め)に必死で、あらたな関心を勉強する余裕はありませんでした。

2011-02-24 04:46:00
烏賀陽 弘道 @hirougaya

また、関心があったとしても、経済担当の先輩をさしおいて、芦浜に行って(車で片道2時間)取材して記事にしても、支局の上司や先輩に煙たがられるだけです。だから「やらなくていいこと」になります。「担当制度」の弊害とはこういうことです。

2011-02-24 04:47:06
烏賀陽 弘道 @hirougaya

三重県津市、伊勢市、尾鷲市などに8人くらいは記者がいたはずですが、芦浜原発を「担当」するのは2人くらいです。名古屋市の中電本社(経済)担当もいますが、三重県では見ませんでした。

2011-02-24 04:49:31
烏賀陽 弘道 @hirougaya

また、津市から芦浜まで往復4時間、取材時間を入れると丸一日、夜の取材もこなすなら2日がかりの取材をして津市を離れるには、休日をつぶすしかありません。「持ち場」の警察から離れている間に大事件があって対応できなかったら、責任を問われるからです。

2011-02-24 04:51:20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

というわけで、「地元記者」も芦浜原発をほとんど取材しないという内幕。

2011-02-24 04:54:01
烏賀陽 弘道 @hirougaya

Bill Kovachが"Elements of Journalism"の中で「記者がどうしてその問題に関心を抱き、またどうやって取材したのか、できるだけ明らかにすること」を「透明性」=transparency としてネット時代の報道の必須条件にあげていた。納得できます。

2011-02-24 04:56:20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

たとえやる気のある記者が休日をつぶして取材しても、出てくる記事は当事者にすれば「何年か前に見たような」という記事になることがほとんどです。

2011-02-24 05:00:21
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「なぜこのニュースは流れないのか」をあきらかにすることも、透明性の確保には重要です。みなさnあまり気づかないけど、もうひとつの大ニュースは「流れないニュース」なのです。

2011-02-24 05:03:20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

夜更かしの人は悲観的で、早起きの人は楽観的なような気がするが気のせいだろう。笑 起きたばかりで元気いっぱいなのですね。

2011-02-24 05:08:51
烏賀陽 弘道 @hirougaya

現実は「何か陰謀があってこのニュースは流れないのだ」というような話はめったになく、がっかりするほど間抜けで怠惰なことがほとんどです。昔からみなさん陰謀説が好きですが。

2011-02-24 05:19:02