アセイルド・ドージョー #1

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リンク note(ノート) 第5話【アセイルド・ドージョー】 | ダイハードテイルズ | note 「ボロブドゥール」「企業のポータルを使う」「あれは……何者だ……!」「駄目だ、ナラク!」「王様です」「ヨグヤカルタに来ている。ちょっとしたビジネス」「決済できました」「血を抜くにはやはりボトルネックカットチョップが最も新鮮です」「Wasshoi!」「あれはサツバツナイト。太古の暗殺術、チャドーの使い手よ」「スゥーッ……フゥーッ」「二度触れた者……!」(怒りが、おれとナラク・ニンジャを繋いでいる)「こんな事をしたところで、きりがないんだぞ」「義を見てせざるは勇無きなりです」「奴がかつてのニンジャスレイヤーだ
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「ボロブドゥール」◆「企業のポータルを使う」◆「あれは……何者だ……!」◆「駄目だ、ナラク!」◆「王様です」◆「ヨグヤカルタに来ている。ちょっとしたビジネス」◆「決済できました」◆「血を抜くにはやはりボトルネックカットチョップが最も新鮮です」◆「Wasshoi!」◆

2016-11-30 22:09:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

◆「あれはサツバツナイト。太古の暗殺術、チャドーの使い手よ」◆「スゥーッ……フゥーッ」◆「二度触れた者……!」◆(怒りが、おれとナラク・ニンジャを繋いでいる)◆「こんな事をしたところで、きりがないんだぞ」「義を見てせざるは勇無きなりです」◆「奴がかつてのニンジャスレイヤーだ」◆

2016-11-30 22:12:18
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タタタタタ……タタタタタ。銃声は毎夜の事だ。エンドロが恐れているのは銃声ではない。あの赤い目。だが、それでも心配だった。少年は唾を呑み、深呼吸をした。恐る恐る、あばら家の戸口を覗き込んだ。「……いない」ザッ。背後で足音。振り返り、目を丸くする。「……いた」 1

2016-11-30 22:18:54
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「どうした」フジキドは尋ねた。エンドロは答える。「どこ行ってたんだよ、病人が」「オヌシこそ、何の用だ」「何の用だはねえぞ。心配してンだから」「赤の他人の旅行者に……」「ヘヘッ」エンドロは照れ笑いをした。「カラテカなんだろ、アンタ。だから病気が治ったらさ……」 2

2016-11-30 22:23:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ともあれ、丁度良い。エンドロ=サン」フジキドは言い、苦しげに唸った。エンドロが手を差し伸べるが、辞し、肩に手を置いた。「例のウィッチドクターを呼んできてくれ」「わ……わかったよ」「頼んだぞ」「わかった!」少年が走り去るのを見届け、暗い屋内へ倒れ込むように入った。 3

2016-11-30 22:26:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スウーッ……ハアーッ……」壁に背をつけて座り、深い呼吸を繰り返す。「スウーッ……ハアーッ」呼吸にあわせ、瞳の赤が明滅する。(カラテカか)フジキドは少し寂しげに笑った。意識が混濁し、視界が闇に落ちると、彼が見ているのは現在ではなく過去であり、ヨグヤカルタではなく岡山県であった。4

2016-11-30 22:31:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「ウシロアシ!」「イヤーッ!」「ヒノクルマ!」「イヤーッ!」「モウイポン!」「イヤーッ!」繰り返される屋外のカラテ・シャウトに耳を傾けながら、フジキドは赤いキモノを着たたおやかな美女と向かい合って座っていた。手入れされたタタミが敷き詰められた、ごく狭い茶室である。 5

2016-11-30 22:35:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーゾ」泡立てたチャで満たされた器を美女が差し出すと、フジキドは頭を二度下げ、器を受け取った。そのしぐさはいかにも素朴で、美女の奥ゆかしい優雅さからは程遠い。彼は茶器をまわし、啜った。「ケッコウナ・オテマエデ」「ドーモ」美女が頭を下げ、微笑んだ。「茶菓子を」「いただきます」6

2016-11-30 22:40:16
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「サンセイ!」「イヤーッ!」「セッカ!」「イヤーッ!」フジキドは外へ視線を向けた。敷き詰められた白砂よりもなお白いニュービー装束に身を包んだ若者たちが、号令にあわせてカラテをふるっている。彼らニュービーニンジャはリアルニンジャのタマゴであり、ソウル憑依者と比較すれば余程弱い。 7

2016-11-30 22:42:55
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「フジキド。今は何を?」美女は静かで優しい笑みを浮かべ、問うた。フジキドは首を振った。「かわりはなく」「旅ですか」赤い目を覗き込む。「ともあれ健康そうで何より」彼女の名はユカノ。岡山県の人里離れた険しい山の頂付近に弟子達と暮らす、神秘的な「ドラゴン・ドージョー」のセンセイだ。 8

2016-11-30 22:48:29
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「少し、増えたか」フジキドはチャを啜り、ニュービーニンジャ達を眺める。「そうですね、何人か。貴方がここを最後に訪れたのは何年前でした?」「およそ二年」「早いものです」「彼は?タイセン=サンか」号令をかける青年を示す。「ええ。立派になったものでしょう。後で見てやってください」9

2016-11-30 22:52:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドは穏やかに固辞する。「俺はセンセイではない。ユカノ」「だがそなたのカラテはなかなかのものであろう、サツバツナイト=サン」ユカノは厳かに言い、それからウインクした。そのバストは豊満である。「タイセンはよくやっていますが、己の力を過信させてはなりません。わからせてやって」10

2016-11-30 22:58:17
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やがてフジキドは白砂の上に降り、ニュービーニンジャが落ち着かなげに視線をかわす中、タイセンと向かい合う。青年は欠けた歯を見せて笑い、フジキドに力強くアイサツした。その頬には十字の傷がある。「あれから一日だってカラテ鍛錬を欠かしてません。オレ、だいぶ貴方に並びました」「そうか」11

2016-11-30 23:04:15
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数度の打ち合いを経て、タイセンは白砂に突っ伏していた。ニュービーニンジャが「おお」と声をあげた。フジキドはタイセンを手招きする。「言葉通り、オヌシのカラテの充実が伝わってくるぞ」「ちょっとスリップしただけです」タイセンは口を拭い、スプリング・ジャンプで起き上がった。12

2016-11-30 23:09:15
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更に数度の打ち合い。再び突っ伏したタイセンは果敢に起き上がり、フジキドに再び挑んだ。木人拳めいたワン・インチ距離の連打がかわされる。フジキドは感銘を受けた。実際、タイセンは二年前よりよほど強くなった。ユカノはよいドージョーを作っている……。「イヤーッ!」「グワーッ!」 13

2016-11-30 23:11:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フジキドのポン・パンチが、いい入り方をした。タイセンは背中から叩きつけられ、バウンドして、仰向けに倒れた。「……!」悔し気に呻き、起き上がろうとして、果たせず、倒れた。フジキドは歩み寄り、手を差し伸べた。タイセンは手を取った。「オレはもっと強いんです、本当は」「うむ」14

2016-11-30 23:13:25
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「ほほう、成る程、峻厳極まる崖を上った果てに、このような!」ドージョーの人間の声ではなかった。フジキドとタイセンは振り返り、ニュービーニンジャ達と共に、声の飛んできた正門方向を見た。両手をひろげて見せたのは、彼らの知らぬニンジャであった。然り。一目でニンジャとわかった。 15

2016-11-30 23:19:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」すぐさま、茶室のエンガワから風めいてユカノが飛び来たり、フジキドの前に立って、その者を見据えた。キモノであったユカノの装いは、今やドラゴンの刺繍を施した赤いニンジャ装束である。フジキドはすぐに察し、ユカノと並び立った。16

2016-11-30 23:22:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「あれは……?」タイセンが目をすがめた。ユカノは青年を見た。「タイセン。皆を率い、さがりなさい」「ですが……」「すぐにせよ!お前が守るのだ!」「ハイ!」危急を察し、緊張した面持ちで頷くと、どよめくニュービーを連れて奥へ去っていった。「ンンン、剣呑ではないか」ニンジャが嘲った。17

2016-11-30 23:25:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まだ何も目的を告げてはおらぬというのに。仮に我々がチャを所望しに参っただけだとすれば大変なシツレイだぞ、ドラゴン・ニンジャ=サン」グルグルと喉を鳴らして笑った。ニンジャの目には異様な迫力があった。「ああそう、我々だ」彼は強調した。「気のおけぬ仲間がおって……」 18

2016-11-30 23:29:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャの周囲に立ち込めていた靄が不意に集まり、赤いプレートメイルニンジャ装束に身を包んだ不穏なニンジャの姿を取った。波打つ黒髪を肩まで伸ばし、その瞳はほとんど白目と見分けがつかぬ明るい灰色。ユカノの緊張が倍化する。フジキドは既に橙の火を宿す黒のニンジャ装束姿となっている。19

2016-11-30 23:32:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

さらに、メキメキと地面が音を立てると、亀裂の中から不気味な姿が這い出した。「アバー……」怪物……ムカデ……否……一応は人間の姿をしていた。どこの国の衣装ともしれぬ装いであったが、魔術・妖術の類の文化を強く感じさせる服装だった。最初のニンジャは咳払いした。「然り、この三人だ」 20

2016-11-30 23:35:16