経済分析第191号(特別編集号) 持続的成長に向けての人的資本政策の役割 川口大司(東京大学大学院経済学研究科教授)のまとめ

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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

[PDF] 経済分析第191号(特別編集号) 持続的成長に向けての人的資本政策の役割 川口大司(東京大学大学院経済学研究科教授) / esri.go.jp/jp/archive/bun…

2016-12-04 23:21:02
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(。 ・ω・))フムフム ライフサイクルの各段階において人的資本形成が行われ、その蓄積には家庭環境などの社会経済的背景が大きく影響し、人的資本蓄積機会の不平等が人的資本量の違いを通じて所得不平等につながることも明らかになった。さらに大卒高卒間の賃金格差の決定要因の分析を通じて、

2016-12-04 23:22:03
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人的資本量の分布が人的資本の価格を変えることで所得不平等に影響を与えることも明らかになった。これらの結果はライフサイクルのあらゆる段階で人的資本蓄積機会の不平等は発生しており、いわゆる「機会の平等」を政策的に担保することは現実的には難しいことを明らかにしているといえる。

2016-12-04 23:22:19
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また、人的資本水準の決定式を推定した際の決定係数が一般的に低いことは、観察不能な決定要因が人的資本水準の決定に当たっては大きな役割を果たしており、特定の政策介入が各個人の人的資本水準に与える影響が限定的であることをも意味している。もちろん機会の不平等の発生原因を探り、

2016-12-04 23:22:37
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それを解消するための政策的介入の努力は評価されるべきであるが、親の属性が生み出す機会の不平等が大きいという現実や研究者にとっては説明不能な要因が人的資本水準を決定することを目の当たりにすれば、機会の平等を担保するために政策ができることは限定的であるといわざるを得ない。

2016-12-04 23:22:55
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機会の平等を政策的に担保することが難しい以上、「機会の平等か、結果の平等か」という疑問の立て方は、実質的な政策形成に当たっては重要な対立軸とはなりえない。機会の平等の担保に向けての政策介入の重要性はさることながら、政策は結果の平等をも追及せざるを得ないといえる。

2016-12-04 23:23:38
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格差是正に関する政策論議はどの程度の結果の不平等を社会的に許容できるものとして容認するのかというオーソドックスな議論に収斂させるのが政策論としては現実的であることを、これらの実証分析の結果は示しているものといえる。【終】

2016-12-04 23:24:26
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経済学における研究も進んでおり、出生時体重が学歴達成や労働市場における就業状態の決定に影響を与えていることが明らかになっている(Almond and Cu㎡e,2011)。

2016-12-04 23:25:38
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新生児の出生時体重は標準的には3000g前後であるが、これらの研究は2500g以下の低体重出生、中でもとりわけ1500g以下の出生がその後の疾病罹患確率を上げたり、学歴達成を下げたり、就業率や賃金の低下をもたらしたりすることを明らかにしている。

2016-12-04 23:26:08
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新生児の両親の社会経済的属性、出生体重別 pic.twitter.com/RN9Y3mfYaO

2016-12-04 23:26:51
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2001年に生まれた全国おおよそ約4万7千人を追跡した新生児のパネルを分析した結果、母親の喫煙、出産1年前の母親のフルタイム就業が低体重出産をもたらすことが明らかになった。図表3には新生児の体重の分布が示されている。平均体重は3037gであり、低体重出生といわれる

2016-12-04 23:31:41
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2500g以下で生まれるものが8.3%ほどいることが図表4の記述統計量を見るとわかる。低体重出生の帰結についてであるが、2500g未満で生まれることは2歳半時点での発達を遅らせていることが明らかになった。その一方で6歳半時点での発達指標に対する影響は統計的には認められなかった。

2016-12-04 23:32:08
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両親の社会経済的背景による出生体重の決定と低体重出生の決定 pic.twitter.com/XSPuUj5M2H

2016-12-04 23:32:47
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母親の高年齢化は出生児体重の平均値には影響を与えないものの、ばらつきを増やすことを示している。また母親が高学歴であると出生体重の平均値には統計的に影響を与えないものの、ばらつきを減少させることを示している。

2016-12-04 23:33:14
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これは学歴が高い女性ほど出産前の医師による指導などに従い3000g前後での出産を目指すように行動するためであるといえるかもしれない。また、母親の喫煙は出生児体重を下げることが明らかになっている。これは欧米で広く知られた結果が日本でも確認できることを示している。

2016-12-04 23:33:31
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加えて母親が出産1年前にフルタイム就業やパートタイム就業していることが、出生時の体重を減少させていることについては注意が必要である。データでは観察できない世帯恒常所得の低さが母親の就業状態と相関を持つ可能性は排除できず、

2016-12-04 23:33:49
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直ちに因果推論を行うことには慎重でなければならないが、母親の就業が母体にストレスを与えたり、産前指導を受ける機会の減少をもたらしたりしている可能性もあり、今後、因果関係の識別に向けたさらなる研究が必要であることを示唆している。【終】

2016-12-04 23:34:13
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出生日は出生時に決まるがこれも人的資本の蓄積に影響を与え、その後の人生に影響を与えることが明らかになっている。日本をはじめとする多くの国において学校への入学タイミングは出生日によって定義されているため、

2016-12-04 23:34:51
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一つの学年の中で実年齢がほぼ1歳違う児童がともに学ぶことになる。義務教育である小学校が始まるのは6歳であるため、この1歳の違いが発達に与える影響は無視しえないほど大きく、この時期の学びの度合いの違いが生涯にわたって影響を及ぼすためである。

2016-12-04 23:35:15
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このような効果を相対年齢効果といい、各国でその大きさの推定が行われている(Bedard and Dhuey,2006など)

2016-12-04 23:35:35
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生まれつきと算数・教学のテストスコアの関係 pic.twitter.com/Tvdy8AYjt2

2016-12-04 23:35:57
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親の学歴や居任地域を制御したうえで、小学4年男児の1-3月生まれは4-6月生まれに比べて偏差値が1.86低いこと、女児に関しては2.22低いことを示している。また、中学2年男児で1-3月生まれは4-6月生まれに比べて偏差値が1.13低いこと、

2016-12-04 23:36:19
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

女児に関しては1.59低いことを示している。これらの結果はいわゆる早生まれの児童が同じ学年の中でハンディキャップを負っていることを示唆しており、学年が上がるにしたがってその不利は解消していくものの消失はしないことを示唆している。

2016-12-04 23:36:34
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生まれつきと最終学歴・就業・所得の関係 pic.twitter.com/5RRpZXXrTm

2016-12-04 23:37:02
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