『古書の来歴』と資料保存

小説『古書の来歴』における資料保存関連記述をshiryouhozon氏が紹介。
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(株)資料保存器材 @shiryouhozon

他人に紹介したのに読みさしで。今日、完読。そうですよね、イジチクの種。うふふ。 RT @kyszk: イチジクの種が気になります。 RT @shiryouhozon 古書好き、製本好きならば舌なめずりするほど面白い『古書の来歴』 http://amzn.to/gWAKeU

2011-03-05 20:46:23
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

読みさしだったのを今日、完読。いやー、ホント、いろんな意味で面白かったわ。つい、原本も買っちゃったよ、iPadで読めるKindle 版。 RT @shiryouhozon 古書好き、製本好きならば舌なめずりするほど面白い『古書の来歴』 http://amzn.to/gWAKeU

2011-03-05 21:05:31
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

歴史ミステリー『古書の来歴』http://amzn.to/gWAKeU。いろんな意味で面白かったというのは、ヒロインのハンナとほぼ同じ仕事を私がしてることも。作者のブルックスは元ジャーナリストらしく、きちんと取材し、修復ではなくコンサベーションでなければとキッパリ(p.29)。

2011-03-05 21:19:49
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:過去に「修復」されてしまった一冊の超貴重書のコンサベーションをまかされたハンナは、そもそも修復となにが違うか、なぜかを縷々説明する(p.31)。ここは国際図書館連盟 IFLA の貴重書の保存修復の原則とほぼ重なる。http://bit.ly/eCuEid

2011-03-05 21:34:33
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:ハンナ曰く「古書が支障なく取り扱えて、研究できる程度に修復することが自分に課せられた使命」、「修復は必要最低限にすべきだと」。必要最低限云々は、私どもの分野では minimum intervention と言います。http://bit.ly/gcuJJ7

2011-03-05 21:56:41
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:そのはずで、作者が「書物のコンサベーションの現在」の取材相手になったのはハーバード大図書館のパメラ・スピッツ・ミューラーら(作者あとがき)。80年代央からの修復からコンサベーションへの転換を推進した人たちです。http://bit.ly/eUpJLl

2011-03-05 21:46:20
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:ということで、ハンナは現代のブック・コンサーバターとして申し分のない力量で、この数奇な運命を辿った書写本に取り組む。彼女はオーストラリアの人ですが、この仕事は1996年の「戦時」のボスニアはサラエボで。書物に偶然挟まれたモノの分析から来歴を辿り行き着く真実は…。

2011-03-05 22:08:25
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:ミステリーとしても読み応えのある内容ですので古書好き、製本好きの方にはお勧めを。わたしはつい調子にのって原本の電子本も買ってしまいましたよ f^_^;) http://amzn.to/gWAKeU

2011-03-05 22:12:01
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き: 森嶋マリさんの訳はとても丁寧で感心しました。ただ、これは決して森嶋さんのせいではなく、そもそも日本語の製本用語が曖昧なのが原因なのですが、うむ、というところが。表紙の芯材の board を「厚紙」訳してますが、これはそのまんま木製の板のこと。

2011-03-05 22:18:26
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:ここは謎の解明のキモになっている表紙の留め具跡に関わるところなので、紙の芯材ではなくて木製の板でないと。また、ハンナは一度全体を解体あうるのですが、綴じ糸を外して「一葉」を持ち上げるというのも、少し違うかと。原本も leaf ではなくて quire と正確。

2011-03-05 22:27:46
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:あと、Bookbinding を装丁と訳すと製本との混同が。ハンナは製本そのものと、過去に2回手を加えられて捨てられてしまったオリジナルの表装(革製の)への手当てを分けて仕事を。ただ、これも訳者のせいではないのですが。

2011-03-05 22:34:28
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:おそらく芯材の木製の板は15世紀のオリジナルで、そこに被せた表装が替えられていったのだと思います。もちろん、ハンナは、そも「改変」自体を変えないことを原則にするのですが。

2011-03-05 22:39:53
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:最後に、おや? ということが。原本の献辞は for the librarians なのですが、訳は「すべての学芸員に」。また、archivist も同じく「学芸員」に。すでに美術品として申し分のない価値を持つ本ですが…。なにか訳者の思いがあったのかもしれませんね。

2011-03-05 22:49:30
(株)資料保存器材 @shiryouhozon

『来歴』続き:以上、終わり。あ、今度、Kindle版のを読んで面白いことに気づきました。電子テキストって引用する時に、ページ指定できないじゃないですか、印刷本みたいには。Kindleだと、なんとパラグラフに連番がついてました。なるほどねえと。

2011-03-05 22:55:12