【Google完敗】グーグルブックサーチ和解案が失敗に終わる
グーグルブックサーチの和解についての不承認決定、ざっと読んで見ました。グーグル側の完敗。クラス構成員への通知とプライバシーの論点以外は、全て和解案に問題ありとのことでした。様々な団体が出したAmicus Briefが大量に引用されており、USらしい決定だと思います。
2011-03-23 07:54:53裁判所が問題ありとした論点は、クラス代表者の代表の適切性、この和解案はFRCP23条の和解による救済の枠を超えており、立法で解決すべきという点、著作権者(とりわけOrphan作品)の権利をOpt-out手続で奪うという問題、グーグルを独占的立場にするという独禁法上の懸念、
2011-03-23 07:57:13そして、外国の著作権者も取り込んでしまいベルン条約等国際法上の問題も惹起するという点です。最後に、Opt-outの和解はやめてOpt-inにやるようにという促しがありました。こうしてグーグルがクラスアクション和解を利用した壮大な試みは失敗に終わりました。
2011-03-23 07:58:424月25日に今後の運営についての会議があるようです。上訴するのか、引き下がるのか。いずれにせよ今回の枠組みでの和解は、少なくとも当面はかなり厳しくなり、立法論で解決しようという動きが出てくるものと思われます。
2011-03-23 07:59:57グーグルブックの和解不承認決定ですが、決定まで一年以上かけたわりには、決定文は、各論点のポイントをさらっとすくっただけで、深く論じていはいません。深入りしたい方は、Amicus Briefや当事者のBriefを読んだ方がよいと思われます。
2011-03-23 08:05:39さて、今後の大きな問題ですが、この問題は著作権者団体によるグーグルに対する著作権侵害訴訟クラスアクションです。和解案が否定された以上、この侵害訴訟が続いて、グーグルが巨額の損害賠償義務を負う可能性があります。
2011-03-23 08:10:03つまりグーグルは既に大量(数百万レベル)の本をスキャンしていますが、これについて、Fair Useが認められない場合は、著作権法侵害となり、一つの侵害あたり、$750 から$30,000(悪意の場合それ以上も)の法定の損害額を支払うことになりかねません。
2011-03-23 08:11:49これまでの和解を主導してきたAuthors Guildは今回クラス代表者としての的確性に問題あると指摘されたので、いくつかのカテゴリーに分けた著作権者団体による著作権侵害のクラスアクションに分化されることになる可能性があります。
2011-03-23 08:13:26まだクラス承認がされていないので、原告側弁護士の主導でいくつかの団体がグーグルに対して侵害訴訟を提起してくる可能性はあるように思います。俄然、フェアユースの論点が重要になってきました。
2011-03-23 08:15:14グーグルブックサーチ和解のリソースですがニューヨークロースクール(NYUではない)のGrimmelmann教授の二つのサイトが秀逸です。http://laboratorium.net/ 最新トピック紹介 http://thepublicindex.org/ データベース
2011-03-23 09:03:37グーグルブックサーチ和解の学術的な文献については、著作権法の大家であるPamela Samuelson教授のHPに同教授の文献がいっぱいアップされております。今回の訴訟でも学者団体を代表してAmicus Briefを執筆されています。http://bit.ly/9nfQfu
2011-03-23 09:09:57グーグルブックサーチについて今回の決定を出したDenny Chin判事ですが、昨年のフェアネスヒアリングのときは連邦地裁判事だったが、昨年4月に上院で承認されて現在は第2巡回控訴審裁判所の判事。ウィキペディアによると現在活動中の唯一のアジアン・アメリカンの連邦高裁判事。
2011-03-23 10:04:42アジア系の連邦高裁判事として思い当たるのは、昨年オバマ大統領に指名されたGoodwin Liu・UCバークレー教授。しかし彼はリベラルすぎるという理由で反対が多く、まだ上院で承認されていない。
2011-03-23 10:08:31グーグルブックス訴訟。発端は全世界の1億5000万冊もの書籍をディジタル化するというグーグルの巨大電子図書館構想。巨費を投じ、すでに約10%のスキャンを達成とされる。 - Wall Street J http://on.wsj.com/ideseh
2011-03-23 10:03:14訴訟では、"絶版"本は権利者の許可なく配信できる2008年の和解案(=オプトアウト)に批判が集中。連邦判事も今回、権利者不明の「孤児作品」を含め、オプトアウト方式では競争者に対して圧倒的優位に立つ点を問題視して不承認決定。http://on.wsj.com/ideseh
2011-03-23 10:06:47事前に権利者の許諾を得る「オプトイン」への変更を示唆。出版社は再修正に応じる構えらしいが、さて巨大電子図書館のゆくえは。http://on.wsj.com/ideseh
2011-03-23 10:08:28そこにもありましたが、和解不承認ということはこれまでの大量スキャンを含めて判決に至る可能性がある。ユーチューブ巨額訴訟に続くグーグルの正念場。争点はフェアユース。そしてディジタル化の未来にとっての焦点は、「ではオプトインはワークするのか、膨大な孤児作品対策は?」
2011-03-23 10:14:20