Carlos Rodrigues(@fever7777)からの提言「原発事故~インフォームド・コンセントとセカンド・オピニオン~」
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1. 近年の医療現場ではインフォームド・コンセントという考え方が一般化してきてた。医療行為(投薬・手術・検査など)や治験などの対象者(患者や被験者)が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け理解した上で (informed) 、方針に合意する (consent) こと。
2011-03-23 15:07:002. かつては日本では、癌の告知の際、家族にのみ病名を告げるというのが古くからの慣習であった。しかし近年では、インフォームド・コンセントが普及し、癌の告知率は大きく上昇した。現代では、ほぼ全ての医療機関が、患者本人に正しい病名を告知することを原則とするようになった。
2011-03-23 15:07:403. 患者の立場にとってみれば、重要なのは予後のQOL(Quality of Life)すなわち、生活の質である。現在の医療では、QOLを重要視するためには、患者に対して正確な情報を与え、医師と患者の合意を得たうえでの治療を行うことが望ましいという考え方が主流である。
2011-03-23 15:08:094. 患者と医師の関での情報の開示は、患者の生命に直接関わることだけに非常に重要な問題である。さて今回の東日本大震災中の福島第一原発事故では、政府および東京電力の情報開示の姿勢に関して、多くの人々が疑問に思った筈である。
2011-03-23 15:08:395. 原発事故は、国民の健康や生命に直結する問題である。ここで迅速かつ正確に情報を開示しなければ、被曝者が増加するかもしれない。情報開示による無用なパニックを避けると言う考え方もあろうが、現実的に情報がなかったために被害が拡大することもありうるのだ。
2011-03-23 15:09:036. もちろんインフォームド・コンセントが前提の医療現場でも、その運用は簡単ではない。末期癌の場合は病名を告知して欲しくないと考える患者が今でも多く、実際に本人の望まない告知によって、精神的苦痛を与えられたとして訴訟まで至った例まである。非常に難しい問題ではある。
2011-03-23 15:09:337. 国家には当然、重要な国家機密が存在する。機密が明らかになると、国民が精神的苦痛を受けてしまうケースもあろう。だから政府は、情報開示に消極的にならざるを得ないと言うかもしれない。しかし、国民の健康と生命に関わる情報については、やはり開示しなければならない。
2011-03-23 15:10:038. 政府の情報開示に対しては、本来ならマスメディアが厳しく監視するべきである。しかし日本の記者クラブメディアは、権力の監視の役目を果たしていない。医療であれば、患者はセカンド・オピニオンを聞くことができる。それに対し、政府発表情報についてはセカンド・オピニオンがない。
2011-03-23 15:10:339. 欧州にはオンブズマン制度が浸透している。オンブズマンとは行政機関に対する調査権を持ち、任命権者から独立的、または中立的に職務を行う者を言う。日本にも、行政相談委員などの苦情処理要員はいるが、欧州型オンブズマンとは本来的な役割が違う。
2011-03-23 15:11:0210. 日本文化では公的に任命されたオンブズマンが、任命権者に異を唱えることは難しかろう。したがって民間もしくは公益性が高い団体が、中立の立場から、政府の情報開示を監視するような体制が望ましいと考える。
2011-03-23 15:11:2911. 例えば民間のシンクタンクは、勿論営利団体ではあるが、高い公共性がある。様々なデータベースや専門家を揃え、日々情報収集と提言活動を行っている。しかしながら、既存のシンクタンクは金融などの系列企業の影響を受けている分、中立性の確保は難しいであろう。
2011-03-23 15:11:5912. やはり、監視活動には、様々な業界・団体・大学・国民から出資を広く募ったシンクタンクが望ましい。セカンドオピニオンとは本来ならマスメディアが担うべき役割なのだが、その役割がまったく機能していないということが問題なのだ。
2011-03-23 15:12:2913. シンクタンクで、政府の監視を行うことにはメリットもデメリットもある。デメリットは、①設立や維持管理に費用がかかる。②やはり出資者の意向が入ってしまう可能性がある。したがってこの辺りは、収入減確保と出資構成に知恵を絞らねばなるまい。
2011-03-23 15:13:0414. その反面メリットは、①マスメディアなどのような記者だけの目線に偏ることなく、広く専門家や市民の視線から、政府の発表を監視できる。②専門的なナレッジやデータを集めやすい。③学者や有識者などを集めやすい。などがある。
2011-03-23 15:13:2915. シンクタンクの役割は、これまでは政府や企業に対する提言活動が主体であった。しかし近年は、インキュベーションと呼ばれるベンチャー支援、新産業創造などの機能が強化されてきた。最近はインキュベーションに関する売上も増加してきている。
2011-03-23 15:13:5716. したがってやりようによっては、充分にシンクタンクの運営コストは、インキュベーション収入で賄うことができる。その収入を活動費に充てながら、ネットやCS放送などの媒体をフル活用して、徹底的に政府の発表や政策について監視してゆくべきである。
2011-03-23 15:14:2317. さらにシンクタンクは、政府の政策に対して代案を示し提言することもできる。批判のための批判では意味がない。きちんとした提言能力がなければ、批判や監視活動について説得力を持たせることができないと思われるのだ。
2011-03-23 15:14:5418. いつの時代でも、日本では国民の生命に関わる重要な情報は隠蔽されがちである。必要なのはインフォームド・コンセントとセカンド・オピニオンである。それが保証され初めて、国民のQOLは保証されて行くことになろう。(終了)
2011-03-23 15:15:24