肘折希望大橋物語:独特の形状に隠された"希望"とは――
・肘折希望大橋 その日もグーグルマップの空撮画像を流し見していたところ、山形県の山奥にさしかかった時、目が点になった。なんだこの道は…無限の字かよ。俄然興味が湧いたので現地に行ってきました。肘折温泉にほど近い急崖にかかるぐんにゃぐにゃの橋である。どうしてこんな橋が作られたのか。 pic.twitter.com/kkkEWzJgW7
2017-10-10 21:07:35平成24年4月、肘折温泉へ通じるほぼ唯一の道、県道57号線が地滑りにより崩壊。急遽、冬季閉鎖中の道を整備して対応したが、幅員も狭く片側交互通行地帯もあった。肘折温泉はカルデラ地形の中にある小さな温泉街で、冬は4mを超える大雪を観測する場所。完全に孤立する危険さえあった。
2017-10-10 21:09:05国と県はこれを受け、半年後、冬が来るまでに新たな道を整備開通させることを決めた。当時、東日本大震災を受けて観光客の足が遠のいていた肘折温泉にとって、道の不通はまさに息の根が停まるような凶事であった。次の冬まで、何が何でも道を通さねばならない…。
2017-10-10 21:10:36しかし、たったの半年でどうやって崩壊した道を直すのか。Citiesじゃないんだぞ…と言いたくなるような現場であるが、そこで採用されたのが、「鋼製ラーメン桟道橋」であった。 なんじゃそら?というネーミングだが、この橋実はスゴイのである。
2017-10-10 21:12:42主なメリットとして ・特殊な部材を使うことなく工法も簡単 ・仮設状態であっても通行可能。短い期間で仮開通できる ・部材の運搬も施行も容易で基礎工事も不要 ・地形や植生への負担が最小限 半年間という僅かな期間内で絶対に開通させなければならないこの状況にはまさにメシアだったのである。
2017-10-10 21:14:40工事業者の24時間施工といった努力、地元の方々の理解のおかげで、橋の工事は順調に進み、平成24年4月の崩落からわずか8か月後の同年12月31日に見事仮供用を開始、翌25年の11月には完成を見たのであった。まさに、肘折温泉の希望の橋だったのである。
2017-10-10 21:19:39肘折希望橋の橋名板は肘折の子供たちが書いた字であり、欄干は地元名産のさくらんぼやトマト、出羽三山を表す鮮やかな朱色をしている。 ただの変なぐにゃぐにゃの橋ではないのである。やはり土木には人の夢が詰まってますわ…。 pic.twitter.com/16TfAAn76z
2017-10-10 21:23:47肘折希望大橋は崩落から8か月間で仮設工事を完了し仮供用が開始されたが、実際の工期はなんと8月から12月のたった4か月間で施工した。どれだけの不断の工事だったかが偲ばれる。
2017-10-10 21:29:30というわけで、肘折温泉と肘折希望大橋のお話はこれにて完。次は泊まるぞ…。泊まるぞ…。
2017-10-10 21:38:54追記
・肘折温泉 東北に点在する山里の温泉街の一つ。山形県の内陸部にあり、本当に山里すぎて冬は4mを超える積雪量もザラな陸の孤島と化す。東北の温泉地のご多聞に漏れず古くは湯治場で、今でも木造建築の3階建て旅館が狭い路地沿いに立ち並ぶ。ちょうど昭和と平成の間くらいの雰囲気を出している。 pic.twitter.com/0j5e2czcvC
2017-10-09 22:46:10・旧肘折郵便局 肘折温泉の通りに存在する近代建築。昭和12年築で、正面にこの時代の郵便局建築特有の郵政メダリオンをあしらう。平成7年に閉局されたが、地元の方の保存を願う声により、今尚お隣に住まわれている元局長の方(3枚目の後ろ姿の方)により大切に管理されている。内部は不定期開放。 pic.twitter.com/LkHDUvPs2y
2017-10-09 23:07:48