ラノベ作家・笹本祐一氏「太陽発電衛星は駄目」
原発事故を受けてTL上でも代替エネルギー論議が盛んであるが、その中に太陽発電衛星、SPSSが入っていることがある。駄目、太陽発電衛星は今のところ見込みなし。なんでかって?地上の原子力あるいは火力発電所代わりになるような大電力を発生する衛星はそれだけでとてつもなく重いから。
2011-04-01 18:55:59てもとに70年代にアメリカで検討された大規模発電衛星の資料がある。5キロX10キロとか、アメリカらしい雄大な規模の発電衛星を低軌道で建設後静止軌道に上げるというコンセプト。総重量、規模や発電方法にもよるけれど5万トンから10万トン。
2011-04-01 18:57:51軽い方の5万トンとして、じゃあまず5万トンの建設資材を低衛星軌道に持ち上げることだけ考えてみよう。ヘビーリフターって呼ばれる重量物打ち上げロケットは現役のものはあんまりないけど、その昔のサターンⅤ型は低軌道に120トンの荷物を上げられる。これで5万トン上げようと思ったら、何発?
2011-04-01 19:01:27計算すれば解るが417発。アポロ計画の全盛期ですら三ヶ月に一回上げるのが精一杯だった大型ロケットが、400回以上打上げ必要。頑張って毎週打上げたとして、8年かかる。それも建設資材だけの話で、建設要員とか必要機材はなしで、の話だ。
2011-04-01 19:03:22んじゃ、同じものを日本で作ろうとしたら?5万トンの資材を、H2Bロケット、一回20トンで上げようとしたら打上げ総数2500発。毎週上げても50年。しかも、一発量産効果期待して100億としても、打上げ費用だけで25兆円。
2011-04-01 19:05:34アメリカが70年代に検討した太陽発電衛星は、大質量を軌道に打上げるための巨大ロケットのコンセプトも提示している。軌道投入重量500トン弱、打上げ重量1万トンの再利用型ロケットがそれで、打上げコストを二桁下げるのが目標だった。
2011-04-01 19:07:08しかしながら、今までのところ軌道投入コストを画期的に下げようという試みは成功していない。民間開発によるロケットのコストダウン効果は、じわじわとしか現われない。んじゃなんでJAXAでも太陽発電衛星の研究開発やってるのかって?いずれ必要な技術だから、だそうだ。
2011-04-01 19:09:05太陽発電衛星そのものを開発する技術はそれほど困難なものではない。しかし、それを軌道上に建設するコストのため、太陽発電衛星は今後数十年のスパンで見ても実用化にはほど遠い。我々が今使っているエネルギーを代替するための当てにはならない。
2011-04-01 19:11:38軌道エレベーターが実用化されるような時代になれば軌道投入コストも画期的に下がるだろうし、エレベーターの構造体を地上への送電線に使うようなオプションも出てくるだろう。でも、今、太陽発電衛星は代替エネルギーの候補にはならない。以上、説明終わり。
2011-04-01 19:13:07あと、太陽電池パネルって劣化します。最近のはずいぶん質が向上してるってえけれど、宇宙線の直撃を受ける高軌道上では10年で発電効率半分、ってくらい劣化します。だもんで、太陽電池による発電よりも太陽熱発電、蒸気作ってタービン廻す方が有利じゃないかなんて検討もあるくらい。
2011-04-01 19:15:58宇宙空間における太陽電池パネルの劣化を考えると、劣化しないシステムを考えるか、劣化した太陽電池パネルを交換するか、あるいは新しい太陽発電衛星を建設し続ける必要が出て来ます。そのためにまたロケット打上げ続けなければなりません。関連産業は喜ぶだろうな。
2011-04-01 19:18:25風力発電などにも言えるんだけれども、代替エネルギーあるいは再生可能エネルギーを考える時にはコストを厳密に計算しなければならない。風力発電を建設する場合、機械設備建設にかかる電気代を含むコストが、完成後に回収できるエネルギーをどれだけ下回ることが出来るか、よく考えなければならない。
2011-04-01 19:24:39たとえば、風車や発電機を作るのに使う電気が、経年劣化で廃棄されるまでに発電される電気より大きければ、風力発電は作らない方がエネルギーの節約になってしまう。
2011-04-01 19:28:17太陽発電衛星にしても、軌道上で発電する効率は昼夜や天候に左右される地上の10倍!って言われてるけど、だったら地上に10倍の面積の太陽発電所作る方が楽だし簡単でいいんじゃね?とか思うのよね。
2011-04-01 19:30:35おお、こいつは役に立つ RT @kzmakino 産総研のサイトにEPRについてのQ&Aが載ってたよー http://bit.ly/ccqix2
2011-04-01 20:10:30この手の議論に必要な、EPTとEPRの解説ページ。http://unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/supplement/EPTdefinition.html
2011-04-01 20:12:42