震災から1ヶ月後に見た、本当の「希望」について。

音楽家/アートディレクターの佐藤純一さん。記者会見などの文字起こしなどのつぶやきで目にされた方も多いはず。震災に直面されて何を思い、どう考え行動したかを語られてます。
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佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

ちょっと連投します。震災から1ヶ月後に見た、本当の「希望」について。

2011-04-12 02:11:55
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

地震が起こってからちょうど1ヶ月。ぼくにとっては数年分の時間を一気に体験したような、本当に激動の1ヶ月だった。東京に住んでいるぼくですらそうなのだから、被災地の方々はもっと凄まじいのだろう。とにかくこの1ヶ月の間で、世の中の雰囲気もどんどん移り変わって行った。(1)

2011-04-12 02:12:25
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

311、地震直後は日本中の人々が一丸となって助け合い、励まし合った。大きな物語なきポストモダン社会において、今回の「悲劇の共有」こそが、失われた全体性や公共性を回復するチャンスなのかもしれないと、ぼくは絶望の中に希望を見いだしていた。(2)

2011-04-12 02:12:45
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

だがしばらくすると、次第に様子が変わって行く。無闇に安全だと叫ぶ安全厨と、無闇に危険だと叫ぶ危険厨たちの争い。反原発派と原発容認派。さらに絶対正しい情報が何処かにあると簡単に信じて何かに偏ってしまう人々。人々の情報リテラシーの欠如は思っていた以上に深刻だった。(3)

2011-04-12 02:15:13
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

それぞれの価値観で、何らかの危機意識を持続し「震災」の中を生きている人がいる一方で、多くの人々は日常に戻って行った。そしてそれでも変わらない投票率。地震直後は全体性を回復する希望を見ていたにも関わらず、現実は地震前よりもさらに人々の全体性は失われ、バラバラに分断されていた。(4)

2011-04-12 02:16:22
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

個人的な話をしよう。地震があった後、日本中が大変な混乱と不安に包まれていた。ぼくはすぐに、自分にも何か出来ることはないかと考えた。たぶん、多くの人がそう考えたと思う。まず曲を作ろうと思った。(5)

2011-04-12 02:16:58
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

曲の制作に思っていた以上に苦戦して時間がかかり、この試みは日本中に届けることは出来なかった。だけど、身近な人には安心を届けることが出来たようだった。その後、ototoyのチャリティコンピに曲を提供して、募金もした。でも、他にも何か出来ることがあるはずだと思った。(6)

2011-04-12 02:18:21
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

一方、津田大介さんたちは、地震の直後から、素早く、正確な情報を、24時間態勢で人々に届けていた。また東電や保安院の会見場には、Ustやニコ生配信の為に、岩上さんを始めとするフリージャーナリストたちが、こちらも24時間態勢張り付いていた。(7)

2011-04-12 02:19:01
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

地震発生から約1ヶ月経った今も尚、彼らは殆ど家にも帰らず情報発信を続けている。これらの様子を見て、ぼくは感動した。胸が熱くなった。地震の前から津田さん関連で仲良くなっていた @mutevox くんも、津田さん事務所に泊まり込みで手伝いをしていた。(8)

2011-04-12 02:19:40
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

ぼくは居ても立ってもいられず手伝いを始めた。会見の実況をして、情報を調べて伝えたり、とにかく出来る限りのことをやった。フォロワーが急増したということは、それだけ情報を欲してる人いるということだし、誰かの役には立てたんだと思う。被災地の人からも感謝のリプライが来たりもした。(9)

2011-04-12 02:20:56
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

だけど、しばらく時間が経ってみたら、親しいと思っていた知り合いに、フォローを外されていたり、身近な人たちの一部からも「この人何やってんだ?」という白い目で見られたりもしていた。日々送られて来る、批判的リプライなんかも、段々とボディブローのように心に重くのしかかって来る。(10)

2011-04-12 02:22:18
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

地震直後にもツイートし考えていたことだが、今回の震災によってオタク文化を始めとする、様々なカルチャーが立脚する前提たる「終わらない日常」が終わり、虚構と現実が入れ替わり、文脈が決定的に変わってしまった、というようなことについても、現実的な問題としてぼくの前に立ち現れた。(11)

2011-04-12 02:23:10
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

アニメを見たり本を読んだりしても、311以前とは同じように楽しめないのだ。遠く離れた桃源郷の出来事のように感じてしまう。震災を境に決定的に、何もかも変わってしまったんだと絶望的な気持ちになった。夢から醒め、ぼくたちは「現実」の中に放り出されてしまった。あの頃には戻れない。(12)

2011-04-12 02:25:14
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

そんな感じで、ここ最近かなり精神的にまいっていた。地震発生直後よりも、多くの人々が「日常」を取り戻し、なんとなく普通に生活し始めた今のほうが、むしろやり場のない息苦しさを感じていた。人によって震災や原発について意識が全然違うことも、全部頭ではわかっていてもストレスだった。(13)

2011-04-12 02:25:54
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

そんな中、先日、フラクタルのOP・ED曲を歌っている、AZUMA HITOMIのライブに行って来た。ライブは素晴らしかった。終演後、東浩紀さん @hazuma とお話したのだが、この震災で日本社会が元々抱えていた危機が一気に加速したという話をして頂き、非常に納得が行った。(14)

2011-04-12 02:27:19
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

東さんの今日のツイート。RT @hazuma 文学や思想の言葉、というのは、空元気に陥ることなく、絶望をどうしようもないものとして受け止めながら、しかしその絶望が言葉を生み出すこと、それそのものが希望なのだ、というアクロバティックな訴えができるものだと信じています。(15)

2011-04-12 02:28:33
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

この言葉にぼくは何故か救われた気持ちになった。やっぱり「全体性」なんてない。震災前も震災後も、ぼくたちは、終わってしまった世界に生きていた。今回の震災は日本社会にとって「分岐」ではなく「加速」だった。悲劇を切っ掛けにトゥルールートに分岐したかと思ったが、それは錯覚だった。(16)

2011-04-12 02:30:43
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

そういうことであれば、つまり311以降全てが「変わった」のではなく「加速」したということであれば、むしろ311以前から大事だと思っていたことにこそ、重要な意味がある。すなわち、「人々の無意識による新しい公共」を可能にすること。(17)

2011-04-12 05:12:01
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

もはや何があっても人々の意志は1つにまとまらないことは証明された。であれば、「人々が全く自由気儘に思考し行動することが、無意識に公共性を形作っていく」ことを可能にする、アーキテクチャの設計こそがやはり重要なのだろう。(18)

2011-04-12 05:12:35
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

「自由気ままに思考し、行動する」その為のアーキテクチャとして、例えばスマートグリッド化は有効だろう。また短期的な功利主義に捕らわれることなく、リダンダンシー(冗長性)をもつこと。そのような社会になれば、原発は静かに眠りにつき、次第にクリーンエネルギーが取って代わるだろう。(19)

2011-04-12 02:32:46
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

今回の震災は、日本社会が元々抱えていた危機を加速した。であるからこそ、元々考えていた思想こそが重要なんだ。さらに、震災から学んだ知恵も何かあるはずだ。こうして、311以前と311以後は、一本の線で繋がれた。このことに、ぼくは今度こそ希望を見る。だから、手遅れになる前に…!(20)

2011-04-12 02:33:51
佐藤純一【fhána】 @jsato_FLEET

連投終わりです。良ければぼくの曲を聴いてくれたら嬉しいです。今年始めに発売したアルバム「TRANSIT」から-ward。「TRANSIT」はまさに、時代や環境の変化・移行をテーマで作りました。【FLEET】-ward #sm12584789 http://t.co/H4c90My

2011-04-12 02:40:21