大貫剛さん(@ohnuki_tsuyoshi )による、原発を止めると電力不足になる理由

「原発を止めても電力は足りる」とする主張が考慮していない、巨大社会インフラ運用の実際を、元東京都水道局の大貫さんが水道システムを例に説明しました。
413
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

「原発を全部止めても、残りの発電所で足りる」という楽観論を聞くと、水道局時代の設備のやり繰りを思い出す。そんなのは現場を知らない奴が言うことだと。

2011-04-19 22:38:46
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

僕がやってた時は、浄水場の公称能力の合計に対して、夏のピーク時の水需要は8割ぐらい。ということは2割ぐらいの浄水場が被災しても大丈夫、と思ったら大間違い。実際には、8割でもカツカツで苦労してた。

2011-04-19 22:41:22
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

8割の能力しか出ない理由。まず、公称能力一杯を使おうとすると水質が悪化するため、実運用上の上限を抑えている設備があった。老朽化して施設更新中のため、能力低下しているところがあった。管路工事のため、能力一杯の水を送り出せないことがあった。などなど。

2011-04-19 22:45:12
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

なので、運用のための調整会議が随時開かれて、能力に影響する全ての工事計画を並べる。そして数年先まで毎月の予測需要量を満足するよう、供給能力を調整する。不足する場合は工事計画をずらす。

2011-04-19 22:48:29
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

もし、震災で一部浄水場が長期間停止したらどうだろう。たぶん、能力上限を引き上げたり、予定していた工事を取りやめたり、解体を始めていた設備を応急復旧したりして無理矢理調整するだろう。当然、数年先までの更新計画は白紙に戻る。

2011-04-19 22:50:55
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

なので、原発が止まったままで「ほら、足りるじゃん」と言われるのがどれほど辛い状況かは、インフラ屋としては痛いほどわかるわけです。その状況は長続きしませんよ、と。

2011-04-19 22:53:50
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

「東電が夏の発電能力を小出しにしてる」と言う人がいたけど、さっきの話でわかると思う。全ての施設に「どんな対応が可能か検討してくれ!」と依頼して、回答があり次第積み上げて行く。これしかやりようがない。

2011-04-19 22:59:28
大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

3月に計画停電が発生した理由も簡単だ。毎月の需要予測をもとに工事計画を立ててるから、需要が少ない冬季は工事てんこ盛りになり、意外に能力がカツカツになっている。そこでいきなり大量の供給能力が消えたら、調整が間に合わない。みんな慌てて施設を復旧したのだろう。

2011-04-19 23:03:03