小説家知念実希人さんの「作家を目指すことに向いている人いない人」って話
@MIKITO_777 知念実希人さんの『作家の仕事はそんなにつらいのか』という話。ざっとまとめるでござる。同種の話はぼくもよくしていますが、ぼくがいうより知念さんの話のほうが説得力はあると思うんで。
2018-12-31 06:21:08先ほど『作家の仕事は地味だ』と呟いたら、『将来作家になりたいけどどう思うか? 仕事はそんなにつらいのか?』といった質問を数名の方から頂きました。 最近よく訊かれるので、個人的に思っていることを述べてみようかと思います。 (あくまで個人的な意見ですので、参考程度にお願いいたします)
2018-12-30 20:07:54(承前)まず作家を目指す方は自分が『作家という肩書が欲しい』のか、それとも『小説をひたすら書く生活をしたい』のか、どちらかをよく考えた方がよいかと思います。 そしてもし前者だとしたら、作家を目指すのはあまりご本人のためにならないのではないかと思います。
2018-12-30 20:10:02(承前)何故なら作家の仕事というのは、多くの人が想像するよりもはるかに地味で、華やかさからは程遠いからです。 基本的に作家の仕事はひたすら原稿を書くことです。 毎日毎日、一人でパソコンに向かい、少しでも面白いストーリーを求めてコツコツとタイプし続けます。
2018-12-30 20:10:30(承前)書きあがったからといって、出版されるとは限りません。編集さんに指示されて大きく改稿する必要があったり、場合によっては全ボツを食らう可能性すらあるのです。 しかし、そうなっても、めげずに執筆を続けなければいけません。 しかも、デビュー後はある程度の量産が求められます。
2018-12-30 20:10:53(承前)そうなると、平均で原稿用紙10枚ほど、それを一年間ほぼ毎日続けるような生活が強いられます。 そのうえでさらに原稿の改稿・推敲、ゲラの修正、プロットの構築なども並行して行う必要が出てきます。 地味で華やかさからは程遠いといった理由が、分かっていただけるかなと思います。
2018-12-30 20:11:49(承前)さらに、もし作家として専業でやっていくつもりなら前述のような生活を数十年続ける覚悟も必要になると思います。 作家には会社と違い固定給などないので、執筆しなければ(過去作が売れ続ける大御所の先生方を除いて)収入が途絶えます。 そんなわけでかなりストレスフルな日常になります。
2018-12-30 20:12:21(承前)しかも、現在、出版不況は加速しており、以前に比べて新人作家が生き残るのは難しい状況になってきています。 げんに新人賞を受賞してデビューした新人作家の大部分が、数年以内に(様々な理由で)筆を折っているのが現状です。 なんだか書いてて寂しくなってきたけど、これが文壇の現実です。
2018-12-30 20:12:51(承前)このように、プロの作家として生計を立てていくには、延々と地道な努力が必要不可欠であり、しかもそれをしても絶対に成功できるとは限らないというわけです。 そのため『作家という肩書が欲しい』方は、もしデビューしても作家でい続けるのに大きな苦痛を味わうことになると思います。
2018-12-30 20:13:16(承前)では逆にどんな人が作家に向いているかというと、『小説を書くことが楽しくてしかたない』、『小説を書くことに全く苦痛を感じない』といった人たちです。 そのような人にとっては、延々と物語を考え、綴っていくことが求められる作家という職業がまさに天職ではないと思います。
2018-12-30 20:13:40(承前)以上より、個人的には『作家という肩書が欲しい人』は作家には向かず、『小説を書きたくて仕方がない人』は作家に向いているのではないかと思っています。 ただ後者のような方にも、前述のように出版業界の状況は極めて厳しいので、軽々に「作家を目指すべき」などとは言えないのが残念です。
2018-12-30 20:14:04(承前)何となく否定的なことばかり書いてしまいましたが、自分が考えた物語を多くの人に楽しんで貰えるというのはとても幸せなことです。 作家の現状をよく調べたうえで「それでも作家になりたい!」と思う方を、(まだ駆け出しの分際で偉そうですが)私は心から応援しております。
2018-12-30 20:14:38(承前)以上が頂いたご質問への回答です。 あくまでまだキャリア数年の、駆け出し作家の個人的な意見ですので、色々と知識不足や偏見等も含まれてると思います。 ちょっとした参考程度に考えて頂けましたら幸いです。 質問してくださった皆様の疑問にうまく答えられていたら嬉しいです。
2018-12-30 20:15:02ぼくの意見としては「小説家という肩書が欲しいから小説を書く」という動機もOKかな、とは思います。「作家の仕事がどんなに地味で過酷か」ってのは経験しないとわからないし、想像もつかないものですしね。
2018-12-31 06:27:27「自分が作家に向いているかどうか」を知る目安としては、「とりあえず新人賞に向けて12万文字の作品を『ネットで公開せずに』(ここ重要)書いてみるといいでしょう。
2018-12-31 06:31:12なぜ『ネットで公開せずに』かというと、「反応があると書けてしまうから」ですね。「誰にも読まれるあてのない原稿を書き続けられるかどうか」はとても重要です。
2018-12-31 06:34:24「作家の肩書がほしいだけ」という人が、いざプロになったら「書くのが楽しくて」となる例も多数あるので、結局のところ、「向いているか向いていないかは書きあげるまではわからない」ってことではあります。
2018-12-31 06:38:30「固定給がない」「リテイクがある」「一定数の量産が要る」のは、作家に限らず、ほぼすべての自営業であります。自営業としてはきわめて不安定ですが、そのかわりに銀行の融資がなくても開業できるという面もあります。
2018-12-31 06:47:32「仕事が地味で孤独」ってことは、「他の仕事にくらべて格段に人間関係がラク(ゼロではない)でコミュニケーション能力が低く(ゼロではない)てもなんとかなる、ってことでもある。
2018-12-31 06:44:08「作家になるのはそんなにつらいのか」ということについては、 「つらくない仕事は存在しない。辛いところが我慢できるかどうか」 というのがぼくの答え。
2018-12-31 06:41:34まあ、作家を目指すのであれば「将来」って言ってないで、いますぐ原稿に着手しましょう。とりあえず書きあげることができれば、あとはわりとなんとかなるものではあります。
2018-12-31 06:53:23