普天間移設及び海兵隊のグアム移転に係る国務省公電の暴露について

朝日新聞の5/4朝刊のスクープ。普天間移設及び海兵隊のグアム移転に関わる内容を含む日米関連の米国務省公電をウィキリークス(WL)から提供されたという。それについてのまとめ。
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fj197099 @fj197099

朝日新聞が5/4朝刊で1月にウィキリークスから提供を受けたという米国務省公電の分析を通じて普天間問題の鳩山政権期の動きについてのスクープを行っている(http://bit.ly/kz2Nej)。ビンラディン殺害もさることながら、こちらも言及に値する重大な問題であることは確かだ。

2011-05-04 13:32:03
fj197099 @fj197099

ウィキリークスの公電を巡っては日本関連のものがかなりの程度含まれることから、民主党政権誕生以降の普天間関連の経緯が明らかになるのではと関係者はやや気を揉んでいた傾向がある。これまでは特に重大な公電が暴露されたという訳ではなかったが、今回はその「本命」たる普天間関連の公電のようだ。

2011-05-04 13:35:25
fj197099 @fj197099

幾つかの主要記事へのリンク。米軍グアム移転費水増し 日本の負担軽減装う 流出公電(http://bit.ly/iiYSFh)、沖縄知事に「空手形」〈米公電分析〉自公政権時代(http://bit.ly/ifuC5H)、

2011-05-04 13:40:26
fj197099 @fj197099

日米、米軍グアム移転で暫定合意 米公電訳(http://bit.ly/jdriOI)、日本の災害対応を米懸念「官僚縦割り」 流出の米公電(http://bit.ly/k1l4vF)、「官僚制、縦割り」日本の社会基盤と危機対応 米公電訳(http://bit.ly/k15sEA)。

2011-05-04 13:41:15
fj197099 @fj197099

日本関係6963本、大半は06年以降〈米公電分析〉(http://bit.ly/ljL8ix)…政権交代をはさみ、2010年2月という直近の時期の公電まであるということが普天間問題への言及がどうなっているかを興味深くしている。

2011-05-04 13:45:09
fj197099 @fj197099

WL公電の公開についての朝日新聞の立場(http://bit.ly/laV7sR)、(解説)浮かび上がる相互不信の構図〈米公電分析〉(http://bit.ly/moerQc)…この解説については独りよがりな解釈が目立つと思うが、まあ他にも記事がいろいろ出ることを待ちたい。

2011-05-04 14:18:31
fj197099 @fj197099

今回の朝日スクープのまず興味深いところは、2009年2月に締結された沖縄海兵隊8000人のグアム移転に係る日米協定の合意に至る裏話が暴露されている点だ。これは2006年5月の日米「再編のためのロードマップ」合意に基づき普天間基地の辺野古沿岸への移設合意に基づき策定されたものだ。

2011-05-04 14:21:46
fj197099 @fj197099

協定についてはこれ(http://bit.ly/cPNj30)を参照されたい。今回のスクープはこの協定締結前の2008年12月19日に在日米国大使館から国務省に打電された公電(http://bit.ly/jdriOI)(http://bit.ly/kR0RrS)が元になっている。

2011-05-04 14:24:08
fj197099 @fj197099

それによれば当初グアム移転経費の総額は約92億ドルとされておりその中で日本側の負担経費約60.9万ドルの分担率は約66%となっていたところ、日本側がこれに本来米国が求めていなかった10億ドルのグアムにおける軍用道路整備の費用を含めて分母を102.7億ドルとすることを求めたという。

2011-05-04 14:29:25
fj197099 @fj197099

これによって日本側の分担率は約59.3%となり、見かけ上の分担率が六割を切ることになった訳である。当時、厳しい交渉の結果、日本側の分担率が六割を切ったということが日本側成果として政治利用されていた背景があったから、これは当時の日本政府にとって政治的に必要な措置だったのだろう。

2011-05-04 14:31:26
fj197099 @fj197099

また公電はグアムに移転する海兵隊8000人とその家族9000人という数字がどうして生まれたのかについても言及しておりここが最も興味深いところである。すなわち8000人という数字は「合意済み履行計画の中でグアムに移転すると指定された部隊の予算措置としての上限人数」を示すものと言う。

2011-05-04 14:34:31
fj197099 @fj197099

ここで移転予定の部隊とはすなわちロードマップで言う「移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む」という記述を指す(http://bit.ly/7uc01o)。

2011-05-04 14:35:32
fj197099 @fj197099

これらの部隊の予算上の上限人員を足し合わせると8000人になるのだろう。9000人の家族は定員一杯に充足された部隊の移動に伴い移動する家族の数ということになる。しかし公電はその数字は「日本での政治的価値を最大化するために意図的に大きく見積もられた」と赤裸々に語っている。

2011-05-04 14:37:11
fj197099 @fj197099

以下、公電引用。「双方ともこうした数字は実際に沖縄に駐留する海兵隊員の数やその家族たちの数とは大幅に異なることは知っていた。その差を明確にするため、合意済み履行計画の中では、海兵隊員1万人が沖縄に残ると確認し、その1万人の海兵隊員に関係する部隊のリストを挙げた。」

2011-05-04 14:38:31
fj197099 @fj197099

「2004年から2006年にかけて、ロードマップが交渉されていた際、沖縄に駐留する部隊に所属する海兵隊員の数は1万3千人の規模に達していたが、予算上の最大定員1万8千人は大幅に下回っていた。同様にして、沖縄にいる家族の総数も9千人を下回っていた。」

2011-05-04 14:39:02
fj197099 @fj197099

すなわち普天間移設がうまくいった結果、グアムに移転する海兵隊の数は合意通りに8000人とその家族9000人とはならないということである。沖縄に1万人の海兵隊が残るとすれば、実際に移転する海兵隊の数は3000人程度に留まる可能性がある。公電のパート2はさらに興味深い話を続ける。

2011-05-04 14:41:53
fj197099 @fj197099

なんと沖縄に残る部隊の数も1万人以下になる可能性があるというのだ。結局、その数字は詳細に決まっている訳ではないらしい。「両国は実数か概念的数字かの問題や、整理統合と土地返還への含みについて、近くより大きな焦点とする必要があるという点で合意した」と公電は記述している。

2011-05-04 14:44:00
fj197099 @fj197099

他の公電は2009年末から昨年初めにかけて、当時の鳩山政権幹部らが普天間基地の辺野古への移設という現行案以外の代替案を模索しつつ、受け入れられなければ現行案に回帰すると米国に伝えていたことについて述べている模様だ(http://bit.ly/kz2Nej)。

2011-05-04 14:46:50
fj197099 @fj197099

2009年12月9日の極秘指定・外国人閲覧不可の公電は「民主党の5閣僚―鳩山由紀夫首相、平野博文官房長官、岡田克也外相(いずれも当時)、北沢俊美防衛相と前原氏―は12月8日夕に会談し、普天間代替施設で前進を得られなかったのは連立相手の社民党のせいだと一致した」と述べているそうだ。

2011-05-04 14:47:59
fj197099 @fj197099

前原氏はそこで「もし、現行案以外のあらゆる代替案に米国が賛成しなければ、民主党は現行の再編計画を進め、必要ならばゴールデンウイーク後に連立を解消する用意がある」と語ったそうである。2009年末の段階で民主党の主要閣僚は最終的には現行案回帰しかないと考えていたことの現れであろう。

2011-05-04 14:50:11
fj197099 @fj197099

2009年12月21日の藪中外務次官とルース大使の昼食会を扱った極秘公電では藪中次官が「政府による見直し作業で辺野古移設に代わる実現可能な案が見つからなければ06年の再編合意(現行案)に立ち返る、と鳩山氏は確認した」と語った。米側にいずれは現行案回帰とのシグナルを送っていた訳だ。

2011-05-04 14:52:59
fj197099 @fj197099

朝日新聞としては「県外・国外を十分検討もせず最終的な落とし所について先に米側に伝達するのはけしからん」となるのだろうが、こんな極秘/秘公電に頼らずとも、当時から識者の間では最終的には現行案回帰しかないことはほぼコンセンサスだった。民主党の閣僚でさえその認識を共有していただけだ。

2011-05-04 14:55:24
fj197099 @fj197099

最後に、米側が日本の災害対応は「官僚縦割り」のせいで混乱するかもしれないとする興味深い公電がある(http://bit.ly/k1l4vF)。2008年3月18日の秘公電(http://bit.ly/k15sEA)はなかなかストレートに日本社会の問題について語っている。

2011-05-04 14:58:16
fj197099 @fj197099

すなわち、「官僚制の中での縦割りと目先のリスク回避の気風が、例えばパンデミック(感染症の大流行)のような、それほど準備が整っていない脅威に対する日本の脆弱性を大きくする可能性がある。…日本での破滅的できごとが及ぼす影響は重大なものになる可能性がある」、と言う。

2011-05-04 14:59:09
fj197099 @fj197099

この指摘は震災後の福島原発の事故を考えると誠にもって慧眼であるというべきものだが、しかし公電中に原発事故への言及はあるものの津波の被害への言及はない。また、この公電で興味深いのは日米サイバーセキュリティ協力についての言及が含まれていることだが、米国側の関心事項がわかり興味深い。

2011-05-04 15:01:50