なぜ長期的に見て日本にずっといると危ないのか

「日本にずっといると長期的に見て危ない」とつぶやいたところ、「なぜそうなるのか」質問されたので、私の考えをまとめてみました。
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@kirameister

なぜ長期的に見て日本にずっといると危ないのか、説明してほしいと言われたので、以下に私の意見を連続投稿します。書いてたらかなり長くなりました。そもそも「誰にとって危ないのか」と言うと、これから働き盛りとなるであろう20代や30代前半以下の人たちを想定しています。

2011-05-05 05:24:00
@kirameister

これまで日本の経済的な繁栄を支えてきたのは何なのかを考えると、加工貿易だったということが分かります。つまり、価格の安い原料を輸入して、加工して、付加価値を加える事で高い価格で輸出することで富を得てきた。

2011-05-05 05:24:07
@kirameister

しかし、それを行えるのは、(他の国と比較して)安い労働力が使えるとか、その国が生産する製品に対して、世界的な需要があるなどの条件が必要です。

2011-05-05 05:24:14
@kirameister

第2次世界大戦が終わってすぐに、朝鮮戦争がありました。日本は高度経済成長と呼ばれる様な経済復興を遂げますが、そこには朝鮮戦争や冷戦という背景もありました。

2011-05-05 05:24:20
@kirameister

つまり、アジアにおける自由資本主義体制の防波堤として、日本は米国に必要とされている。日米安全保障条約ができた背景には冷戦構造がありました。

2011-05-05 05:24:27
@kirameister

日本は米国の「核の傘」で守られる一方、防衛費をGNPの1%に抑えるという政策の元、その他の社会資本に投資を行う事ができました。戦車を作る代わりに道路を作っていた訳です。ちなみに米国は3%以上(冷戦当時は更に高い)。北朝鮮は25%だそうです。 http://ow.ly/4Njwi

2011-05-05 05:24:43
@kirameister

冷戦構造下で、競争力のある工業製品を世界中に輸出することで、日本は世界1の経済大国となりました。日本の終身雇用と年功序列もこれには貢献しています。

2011-05-05 05:24:52
@kirameister

終身雇用と年功序列の特徴の1つとして、「若者の給与が安い」というのがあります。若いうちは安い賃金で我慢してもらって、経験をつんだら(年齢を重ねたら)ポストとともに賃金も高くなるという構図です。こうすることで、企業は人件費を抑えて研究費や設備費に投資する事ができます。

2011-05-05 05:24:58
@kirameister

しかし時代は変わりました。もはや冷戦という単語は過去の歴史の一部になりました。それでは、今までの状況から世界はどう変わったのでしょうか? 価値のシフトと、個人の力、二極化がキーワードだと私は考えています。

2011-05-05 05:25:09
@kirameister

価値のシフトとは、工業製品から情報サービスに、社会や世界の価値が移ったという意味です。世界の大企業の時価総額を見てみると、3位に iPhone を作っているアップルが名を連ねています。 http://ow.ly/4Njyq

2011-05-05 05:25:27
@kirameister

他にもエネルギーや鉱業、銀行などの業種にいる企業が名を連ねていますが、ここで問題にしたいのは、アップルが20年前には(時価総額的な意味で)他の企業に比べると取るに足らない存在だったということです。これはマイクロソフトでも同じ事です。どちらも今では世界に名だたる大企業です。

2011-05-05 05:25:33
@kirameister

それでは Apple は何を売っているのでしょうか? 勿論 iPhone や iPad を売っているのですが、普段 iPhone を使っている人のどれぐらいが、詳細なハードウェアスペックを知っているでしょうか?

2011-05-05 05:25:39
@kirameister

それよりも、iPhone や iPad に乗っかっているソフトウェアや、付随するサービスにユーザーはお金を払っています。ハードウェア的にはそれほど他と変わらないアップル製品ですが、iOS や iTunes ストアなどで差別化が行われています。

2011-05-05 05:25:45
@kirameister

次のキーワードである、個人の力とは何でしょうか? 冷戦によりインターネットが誕生しました。インターネットで重要になるのは、端末の向こう側にいる「相手(ユーザーやサービス)」で、どのプロバイダーを使用しているかなどは(回線スピード以外に)あまり重要ではありません。

2011-05-05 05:25:51
@kirameister

これまでは、発信する能力のある限られた個人や組織しか、大多数にリーチすることができませんでした。現在は、個々人が別の個々人へリーチすることができます。それだけ個人の力や裁量が大きくなったと言うことができると思います。

2011-05-05 05:25:57
@kirameister

相対的に見ると、それだけ組織や国家の力が弱くなったということです。一部の個人が、思う様に生きる事ができるようになった反面、そうすることができない人たちは、それまで通り組織や国家に頼る事になります。結果として二極化が起こります。

2011-05-05 05:26:02
@kirameister

価値のシフト、個人の力、二極化というのは、時間軸に対して離散的なものではなく、現在進行形で起こっている事だとも考えています。つまり、10年後は、今よりも個々人間の二極化は進んでいると考えています。

2011-05-05 05:26:10
@kirameister

それでは、(前置きがかなり長くなりましたが)質問に回答していきます。ちなみに質問内容は「なぜ長期的に見て日本にずっといると危ないのか」でした。一言で言ってしまえば「価値のシフトに対応できないから」です。

2011-05-05 05:26:17
@kirameister

日本の時価総額が高い企業(つまり市場が価値があると認めた企業)を見てみましょう。トップがトヨタで、NTTドコモ、本田技研がそれにつづきます。どれもインフラや加工製品を手がけている企業です。11位に任天堂が入っています。 http://ow.ly/4NjAV

2011-05-05 05:26:28
@kirameister

それではこれらインフラや、ハードウェア業界に未来はあるのでしょうか? その前に、「これから殆どの企業は、市場が小さくなる国内よりも、海外に出て行かなければならない」という前提にたつ必要があります。

2011-05-05 05:26:38
@kirameister

収益を上げられないと企業は倒産するしか無く、(介護などを除いて)市場規模が小さくなっていくなかで、生き残る為には積極的に海外に活路を見出さないとジリ貧になってしまう。パナソニックが海外採用を増やしたというのは、民間企業が生き残る為に取った当然の選択だと私は考えています。

2011-05-05 05:26:42
@kirameister

つまり、ハードウェア業界でも、これまで以上に日本国外の市場を意識する必要が出てくるということです。実際の市場調査をして、必要とされているものを見極めるということ。

2011-05-05 05:26:48
@kirameister

その為には、数年間から10年以上、現地に入って、現地人らしい生活をする必要も出てくるでしょうし、グローバリゼーションの中で、自分(の組織)が立つ位置を認識し、最適な戦略を考える必要も出てくるでしょう。

2011-05-05 05:26:54
@kirameister

それではどのような日本人が、これから企業や社会に求められるのでしょうか? いくつかあると思いますが、私はその中でも語学と業務内容が理解できていて、日本国外や他文化の日本語を母語としない人たちとコミュニケーションを取る事ができることが(今まで以上に)重要になると考えています。

2011-05-05 05:27:00
@kirameister

上の「日本国外の人とコミュニケーションを取る」能力ですが、日本国内にいても、あまり習得するはできないものだと思います。日本というのは、かなり均一性を好む場が多いからです。他文化を知るとういことは、均一の外にある世界に身を置くということです。

2011-05-05 05:27:05