茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート「判断の保留」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月15日の連続ツイート。 飯館村・村長と話をして考えた、ネット上での「判断の保留」の大切さを語っています。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(1)昨日、飯舘村長の菅野典雄さんとお話していて、本当に大変なのだなと痛感した。全村が計画避難という経験したことのない事態を前に、考えなければならないこと、やらなければならないことが山積。本当にお身体に気をつけていただきたい。

2011-05-15 09:35:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(2)心を痛めたのが、村長さんに心ないメールが来ているとのこと。現地の実情を直接知る人だったらいい。ネットで集めた情報をそのまま信じて、たとえ本人にしてみれば善意だとしても、確信のない言葉の凶器を投げつけるのはできればやめていただけたらと思う。

2011-05-15 09:37:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(3)ネットは、「つながる」メディア、「助け合う」メディアであると同時に、「決めつける」メディア、「切り捨てる」メディアにもなり得る。ネットのような空間的、時間的距離の遠い事象を結びつけるメディアには、誤解や誤送達の脆弱性が常にあることを、心に留めたい。

2011-05-15 09:38:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(4)飯舘村のことでもそうだけれども、自分があるチャンネルから得た情報を、そのまま正しいとして、自分から見て齟齬のある発言、行動を、糾弾し、批判し、一方で自分は正しいことを信じて疑わない人は、メディアの脆弱性のど真ん中にとらわれてしまっている。

2011-05-15 09:40:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(5)行動することは大切である。考えることも必要である。一方で、情報伝達に必ず内在する恣意性、脆弱性に鑑みて、「判断を保留すること」もとても大切である。自分で見て、確かめるまでは信じない。人に押しつけない。一時的な確信も、いつか変わるかもしれないと身構える。

2011-05-15 09:42:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(6)ツイッターなどのインターネットメディアは、結びつける、選ぶ、語るなどの正の作用をもたらすと同時に、二次情報をもとに、自分が信じる正義を他人に押しつける人を大量に生み出した。そのことで深く傷付いている現場の人たちを、何人も知っている。

2011-05-15 09:43:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(7)メディアは道具であり、どのように使うかは、ユーザーの見識にゆだねられている。すばらしい可能性を持つツイッターを有効な場に保つためにも、二次情報に固有の脆弱性を認識し、自己や他者に対する判断を保留する、心の余裕を持ちたい。一生懸命行動しながら。

2011-05-15 09:45:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(8)飯舘村を歩き、村長の菅野典雄さんやみなさんの話をうかがい、その表情から何とも言えぬ覚悟と、悲しみと、生命力と、絆を読み取った。夜、避難されている方の多くいる温泉に入りながら、「ああ、伝わるというのは難しいことなのだな」と思った。

2011-05-15 09:47:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

はほ(9)飯舘村は、美しい里山の、陽光がきらきらとした、本当に素敵なところだった。これからの道のりは大変かもしれないけれども、いつか「ふるさと」が戻ってくることを信じたい。真実は、そこにしかないのだから。

2011-05-15 09:48:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「判断の保留」の大切さについての、連続ツイートでした。飯舘村のみなさん、福島のみなさん、どうぞお元気で。できる限りのことをして、応援してまいります!

2011-05-15 09:49:40