インドネシアの日本語教育の現状について:国際交流基金の調査より

国際交流基金の『海外の日本語教育の現状 ―日本ご教育機関調査2009』のインドネシア部分について、国際交流基金の麦谷真理子さん(ジャカルタ駐在)による解説・補足。日本語教育そのものだけでなく、この手の報告書の見方・読み方についても参考になると思います。 だれでも編集可にしておきますので、反響・リプライなどあれば自由に加えて下さい。
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Mariko Mugitani @mariko_mugitani

2009年海外日本語教育機関調査の報告書『海外の日本語教育の現状-日本語教育機関調査・2009年』が手元に。速報はすでにリリース済みですが、この報告書-概要(19頁)と本冊(254頁)で構成-も近日中にHPにアップされると思います。http://bit.ly/kbeR3L

2011-05-27 02:36:18
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

※ 『海外の日本語教育の現状-日本語教育機関調査・2009年』から、インドネシアの日本語教育について、ピックアップしていきます。日本語教育には特に関心のない方、ごめんなさい、飛ばしてください。

2011-05-27 02:37:03
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

世界全体の日本語教育の状況:133カ国において実施され、日本語学習者は約365万人。機関数は14,925機関、教師数は49,803名。ただし、この調査では、テレビ・ラジオ・インターネットで独習/個人教授についているなど、機関に所属していない学習者は捕捉できていないことに留意。

2011-05-27 03:27:05
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

インドネシアの概況(本冊56-57頁)☛ インドネシアの日本語学習者数:716,353名  <参考> 1位:韓国96万人、2位:中国83万人に次いで3位。以降は、4位:豪州28万人、5位:台湾25万人、6位:米国14万人、7位:タイ7.9万人、8位:ベトナム4.4万人

2011-05-27 03:30:42
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

日本語学習者数の9位以下20位までは、1~2万人台で、香港、カナダ、マレーシア、フィリピン、NZ、ブラジル、英国、インド、フランス、シンガポール、スリランカ、ドイツと続く。この上位20カ国で世界全体の9割以上を占める。

2011-05-27 03:30:56
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

インドネシアの日本語学習者の推移:54,016名(98年)→85,221年(03年)→272,719名(06年)→716,353名(09年)。3年ごとに1.5~3倍規模で増加

2011-05-27 03:31:20
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

インドネシアの日本語教育機関数の推移:413機関(98年)→608機関(03年)→1,084機関(06年)→1,988機関(09年)

2011-05-27 03:31:33
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

この増加は、インドネシアの中等教育カリキュラムの2006年改訂により、全普通高校と宗教高校の高校生が1~3年生の3学年継続して第二外国語または技術・家庭科のいずれか1科目を選択履修することが必須となったため。第二外国語として採用されているのは、日・中・仏・独・アラビアの5言語。

2011-05-27 03:31:55
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

教育段階別の数字(インドネシア):初等教育 16機関、教師22名/学習者3,353名。ちなみに初等教育の学習者数は世界全体で14万人、そのうち小学校でLOTE(英語以外の言語)が必修の豪州が12万人を占める。次いで米国8,600人、インドネシアは3位。(本冊96頁)

2011-05-27 03:34:15
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

教育段階別の数字(インドネシア):中等教育 1,701機関、教師2,575名/学習者679,662名。韓国(87万人)に次いで2位。中等教育の学習者数は世界全体で195万人、韓国とインドネシアで約8割を占める。(本冊97頁)

2011-05-27 03:34:33
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

教育段階別の数字(インドネシア):高等教育 133機関、教師889名/学習者17,976名。大学レベルになるとぐっと減って、順位は世界6位。学習者1位は断トツの中国53万人、次いで台湾12万人、韓国・米国が5万人台、タイ2.2万人、そしてインドネシア。(本冊111頁)

2011-05-27 03:35:24
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

教育段階別の数字(インドネシア):学校教育以外の教育機関(民間の語学学校など) 119機関、教師520名/学習者9,918名。順位は世界8位。上位は中国20万人、台湾4.8万人、韓国3.3万人、ベトナム2.6万人、香港2万人と続く。インドネシア、意外と少ない。(本冊123頁)

2011-05-27 03:37:33
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

成人学習者の日本語能力が高いのは必然なので、インドネシアの特徴(高校生中心で大学や民間語学学校で日本語を勉強する人が少ない、非漢字圏)を考えると、高度な日本語能力を持つ人材がまだ数では少ないのはある意味仕方がないかと、日本研究の担当者の立場では思ってみたり。

2011-05-27 03:41:27
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

学位授与機関数(インドネシア):日本語教育学、日本語学、応用言語学など、日本語を学ぶことで学位が取れるのは、インドネシアは学士号(学部レベル)46校で世界5位。中・韓・米の「御三家」は修士号や博士号まで取れる大学が多数。(本冊116頁)

2011-05-27 03:49:37
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

日本語教師養成課程のある高等教育機関数:インドネシアは20機関で第4位。上位はやはり、韓国、中国、米国。(本冊118頁)

2011-05-27 03:49:53
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

日本語母語教師の割合:インドネシアは3.6%(4,089名中147名)で、上位20カ国のなかでは断トツの低さ。中等教育レベルに限ると1.3%、高等教育レベルでも8.7%。(本冊13・101・117頁)

2011-05-27 03:51:53
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

物価水準がだいぶ違うので、日本人がインドネシアで日本語教師の給与だけで生活するのは大変だし、それに高校生が学習者の大票田だと、教員免許のない外国人がメインで教壇に立つのも難しいだろうしと、それらしき理由は思い浮かぶが、それにしても、日本語母語(≒日本人)の教師がいかに希少か!

2011-05-27 03:54:53
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

以上、長々とお読みくださり、ありがとうございました。 『海外の日本語教育の現状-日本語教育機関調査・2009年』から、インドネシアの日本語教育について、ピックアップでした。(終わり)

2011-05-27 03:55:58
Mariko Mugitani @mariko_mugitani

<おまけ> 「2010年第2回 日本語能力試験」(2010年12月実施)の結果概要 http://bit.ly/efBOk7 インドネシアは7都市合計で応募者数8,244名/受験者数7,384名。学習者世界第3位(約72万人)を考えると少ない数字。高校生受けないからな~。

2011-05-27 03:58:49