虐待や暴力を経験した人を援助する際には、

31
@DSHtoshilancia

虐待や暴力を経験した人を援助する際には、援助する側が相手の外傷記憶を刺激しないことが大切である。つまり、自分が加害者とダブって認識されないように注意する必要がある。

2011-06-16 01:57:27
@DSHtoshilancia

権威的かつ管理的な態度、物事の判断を頭ごなしに決めつける態度は禁物である。もしもうかつにもそのような態度をとれば、「もうあの人には何も相談したくない」と援助関係が途切れてしまう。

2011-06-16 01:57:35
@DSHtoshilancia

また、彼らの多くが、幼少期より「自分はいらない子ども、余計な存在」という自己認識を持っており、そのせいで、援助希求性が乏しい。彼らは、「自分が相手に迷惑をかけているのではないか」、「嫌がられているのではないか」と、非常に猜疑的な態度で援助者の態度を「値踏み」している。

2011-06-16 01:57:51
@DSHtoshilancia

そして、援助者の些細な態度から「自分がダメ人間である」ことの証拠をむりに引き出し、「どうせ私なんか……」という自己中心的な被害者意識の殻に閉じこもってしまう。したがって、あまりに杓子定規な事務的態度も好ましくなく、むしろ援助希求行動や来談を積極的に支持する必要がある。

2011-06-16 01:58:09
@DSHtoshilancia

関係性ができてくると、相手の許容度を試したくなって、無理難題をいってくることもある。その際には、穏やかかつ謙虚に、できないことはできないと、明確に伝える必要もある。

2011-06-16 01:58:24
@DSHtoshilancia

最もまずいパターンは、援助関係が支配/被支配のパワーゲーム、あるいは「綱引き」状態に陥ってしまうことである。この状態になると、援助者が加害者とダブってしまい、攻撃的な交代人格の出現を誘発してしまう。「綱引き」状態になっていると気づいたら、いったん引いてみる柔軟さが求められる

2011-06-16 01:59:09
@DSHtoshilancia

援助場面に容易に過剰適応して、援助者が喜びそうな「good news」ばかり語り、自分の本音や不満を語れなくなってしまうことも、よく見られる現象である。

2011-06-16 01:59:41
@DSHtoshilancia

彼らの多くが、適応的な方法で自分の「怒り」を伝えることができないが、その一方で、ため込んだ感情が一気に爆発すると、他害的暴力や自傷行為につながってしまう。したがって、援助者の方から、「たまにbad newsも聞かせてよ。いろいろあるでしょ?」と尋ねるような工夫が必要かもしれない。

2011-06-16 02:00:20
@DSHtoshilancia

最後に、実際に交代人格が出現した場合の対応について述べておきたい。大切なのは、次の4つのポイントである。

2011-06-16 02:00:34
@DSHtoshilancia

第一に、援助者自身は、存在理由のない交代人格は存在しないということを理解し、そもそも交代人格は、耐えがたい強烈な苦痛による自殺を回避するために出現したことを忘れてはならない。

2011-06-16 02:00:48
@DSHtoshilancia

第二に、人格統合や外傷記憶の除反応を強引に行わない。

2011-06-16 02:01:12
@DSHtoshilancia

第三に、治療者はつねに、診療場面に登場しない他の交代人格が聞いている――実際に聞いている場合が少なくない――可能性を念頭に置き、決して特定の人格を依怙贔屓せずに公平に接する。

2011-06-16 02:01:26
@DSHtoshilancia

そして最後に、患者の前では、交代人格のことを「人格」とは呼ばずに「部分」とか「存在」という表現で呼ぶように努める。このことは、「全体としてのあなたは一つ」というメッセージを送り、行動に関する責任の所在を明確するように努めることである。

2011-06-16 02:01:40