リキシャー・ディセント・アルゴリズム #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

第2部「キョート殺伐都市」より 「リキシャー・ディセント・アルゴリズム」#4

2011-06-25 22:59:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(あらすじ:偶然にもヨロシサン製薬の陰謀を収めたフロッピーを入手したリキシャー・ドライバーのアナカは、これを使って大金を得る方法は無いものかと私立探偵ガンドーの事務所に向かう。だがフロッピーには防衛プログラムが備わっており、ザイバツ・シャドーギルドのニンジャが接近していた……)

2011-06-25 23:07:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

カコーンというシシオドシ電子音が、暗い廊下に響いた。湿った月は高く、ウシミツアワーが近い。北東からの風が松の枝葉を揺らす。アナカ・ヨモコは夫の帰りを待ちながら、夜の庭を眺めていた。これらの映像は、全てがイミテイションである。彼らは地下階層都市アンダー・ガイオンに暮らしているのだ。

2011-06-25 23:13:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((あの人がこんな遅くまで帰ってこないなんて、珍しい……。そういえば、いつもとどこか様子が違っていた……)))ヨモコの脳裏に、不安がよぎる。夫が何か良からぬことに手を染めているのではないか、という第六感だ。その時、不意に電話が鳴り、ヨモコは小動物のように体を小さく揺らした。

2011-06-25 23:16:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

夫だろうか?そう考えながら、ヨモコはタヌキ電話に手を伸ばす。「ドーモ、アナカですが」「ドーモ、カナリハヤイ社の者ですが」「あ……夫がお世話になっております」「マコト=サンはお帰りですか?」「いいえ、帰ってきてからまたどこかへ……」「フロッピーめいた物を持って帰りませんでしたか?」

2011-06-25 23:22:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フロッピー?ちょっと分かりません」「帰ってきたら、すぐに電話をください。ではオタッシャデー!」ブツン、という音がヨモコの耳に突き刺さる。声の調子からも、先方はかなり焦っているようだ。不安を募らせたヨモコは、ショウジ戸を開けてシャッターの外を確認したが、通りにはだれもいなかった。

2011-06-25 23:25:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

右手にはオートマチック拳銃、左手にはフロッピーディスク。アナカ・マコトは、ガンドー探偵事務所電脳室の机の下で震えていた。突然、あの特徴的な叫び声と共に狂言強盗団が事務所を攻撃し、ガンドーと殺し合いを始めたからだ。彼は銃撃でショウジ戸に穿たれた丸い穴から、事務所の様子を窺っていた。

2011-06-25 23:29:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

チャブの上に乗ったガンドーは、49リボルバーに弾丸を再装填しながら、事務所の惨状を見渡し大声で毒づいている。アナカには、何が起こったのかさっぱりわからなかった。ガンドーが裏社会の知識や武道に精通していることは察していたが、彼が殺し合いを繰り広げる姿を見るのは初めてだったからだ。

2011-06-25 23:31:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

アナカに殺人の経験はない。薬物の運びが、彼がこれまでに犯した最も重い犯罪だ。そしてその程度の犯罪は、ここキョート・リパブリックではチャメシ・インデントである。ガンドーがこの一件から手を引けと言った理由が、今ならばよく分かる。でも自分にはこれしか能が無いんだ、とアナカは独りごちた。

2011-06-25 23:35:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

意を決したアナカがガンドーの目を盗み、素早く電脳部屋から出て事務所を突っ切ろうとしかけた、まさにその時……!ガンドー探偵事務所のノレンをくぐり、2人のニンジャが事務所に姿を現した!

2011-06-25 23:39:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」ガンドーは泡を食って、チャブの上から二丁拳銃の銃口をそれぞれのニンジャに向けて威圧した。彼が本物のニンジャを見るのはこれが初めてである。彼は個人的にザイバツの調査を進めていたが、まだそのエージェントと接触を果たすほどの深入りはしていなかったのだ。

2011-06-25 23:43:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「ドーモ」」2人のニンジャが同時にオジギをする。「シャドウウィーヴです」全身にクナイダート・ベルトを仕込んだ灰色装束のニンジャが先にアイサツした。「ブラックドラゴンです」次に、黒装束にウロコの模様を描かれたニンジャがアイサツした。彼の瞳に白目は無く、全てがオハギめいた黒だった。

2011-06-25 23:55:17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハ!俺に何の用だ?紹介者なしの依頼は受けないぜ?」ガンドーの額に汗が滲む。「フロッピーを返してもらおう」ブラックドラゴンが言った。「…ははあ、解ったぞ」ガンドーがごくりと唾を呑む「お前ら、ザイバツ・シャドーギルドだな?」言い終わるよりも早く、ガンドーは両のトリガーを引いていた!

2011-06-26 00:04:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!49マグナムが唸りをあげる!だが次の瞬間、ニンジャたちは素早いブリッジでこれを回避!コワイ!常人には不可能な反射速度だ!「オイオイオイ!冗談だろ?!」チャブを蹴り、ピストルカラテの構えで飛び掛るガンドー!ブラックドラゴンは体を起こして、ジュー・ジツを構えた!

2011-06-26 00:12:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「「イヤーッ!」」ガンドーとブラックドラゴンのカラテが激突する!シャドウウィーヴは側転して距離を取り、ガンドーの後方から戦闘の様子を観察した。実のところ、彼はニュービーである。ザイバツ・シテンノの1人であるブラックドラゴンと共に行動することで、インストラクションを受けているのだ。

2011-06-26 00:19:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

シャドウウィーヴは、チャブの上からマスターの戦いぶりを観察していた。ガンドーもブラックドラゴンも、ともに互いの手の内を探り合っているような状態だ。……ふと、前方のソファに薄汚い浮浪者のような男が座って寝息を立てているのが見えたが、シャドウウィーヴはそれに何ら重要性を感じなかった。

2011-06-26 00:29:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」49リボルバーを握ったガンドーのストレートが、ブラックドラゴンに対し繰り出される!打撃で心臓を一時的に止めてから、直後に発砲して止めを刺すという、おそるべきコンボだ!……だが、所詮は常人の技である。ブラックドラゴンはニンジャ反射神経により、敵のカラテを易々とかわす!

2011-06-26 00:41:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ガンドーの攻撃を回避したブラックドラゴンは、そのままガンドーの顔、胸、腹にキックを3連発で叩き込み、事務所の壁に向けて吹っ飛ばした!「グワーッ!」積み上げられたUNIX基盤が崩れ、埃が舞い上がる!「クソッタレめ!」ガンドーは唾を吐く。口の中が切れ、血が混じっていた。

2011-06-26 00:45:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(((驚いたな、こいつはマジでニンジャだ。まともにやって、勝てる気がしねえ)))ガンドーはズバリで覚醒したニューロン内で、冷静な戦力分析を行っていた。だが、相手がザイバツだとしたら、降伏は選択肢に入れられない。ザイバツの秘密に近づき過ぎてしまったものは、消されるに違いないからだ。

2011-06-26 00:58:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!イヤーッ!」ガンドーは不屈の意志を表明するようにピストルカラテの演舞を決め、敵を威圧した。そして突撃!「「イヤーッ!」」再び、人間とニンジャのカラテが激突する!やはりブラックドラゴンの動きからは、手加減が感じられた……ニュービーに手本を見せようとしているかのような。

2011-06-26 01:17:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シャドウウィーヴ!支援のプラクティスだ!」ブラックドラゴンは開脚ジャンプでガンドーの射撃を回避しながら、まっすぐ差し出した掌の指四本をクイクイと動かした。「ハイヨロコンデー!」シャドウウィーヴは両肩に備わったクナイを1本ずつ抜き、両腕をムチのようにしならせ投擲!「イヤーッ!」

2011-06-26 01:29:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

切れ味鋭いクナイ・ダートが、ガンドーめがけて飛ぶ!ナムサン!しかし2本ともガンドーの体にはかすりもせず、少し離れた床に突き刺さった!ニュービーゆえの過ちか?否!これこそが、シャドウウィーヴの持つ恐るべきカナシバリ・ジツだったのだ!見よ、影を縫われたガンドーは全く身動きが取れない!

2011-06-26 01:41:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「何だ?!」ガンドーは中腰でダブルパンチを繰り出した姿勢のまま、ローマ彫像のように凍り付いてしまった。「悪くない!」ブラックドラゴンはガンドーに接近し、顔、胸、腹へと連続キックを決め、反対側の壁に吹っ飛ばす!「グワーッ!」ガンドーはまるで動くモクジンのように弄ばれてしまっている!

2011-06-26 01:46:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

吐血するガンドー。ズバリのおかげで痛みは感じないが、アバラが何本かイカレているはずだ。「カナシバリ・ジツは解けただろう?もう数セット付き合ってもらおうか、カラテマン」ブラックドラゴンはガンドーを引きずり起こし、強制的にファイティングポーズを取らせた。

2011-06-26 01:50:13