mktnの顔面にパイを投げたい

にらさき大爆発
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にらさき @hal_nirasaki

~mktnの顔面にパイを投げたい~

2011-06-28 00:12:03
にらさき @hal_nirasaki

南「パイ投げ?」 ラブ「そう!美希たんの顔に!全力でパイを投げるの!!」 南「意味が分からない。だって、君たちはキュアベリーの仲間じゃないのか?」 ブッキー「サウラーさんて意外と真面目なのね」 南「僕をからかってるのかい?なんで、わざわざ不幸になるようなことを」 ラブ「いいから」

2011-06-28 00:12:57
にらさき @hal_nirasaki

ラビリンス解体から数日経ったある日、僕は管理されない「幸せ」について考えていた。そしたら、キュアピーチから声をかけられた。二言目には「じゃあ、美希たんの顔に、パイ投げしよう!」だ。脈絡がない。僕の理解力が足りていないのか?しかも食べ物を粗末にするのは、プリキュアとしてどうなんだ。

2011-06-28 00:15:16
にらさき @hal_nirasaki

ブッキー「うちに賞味期限の切れたパイが沢山あって、何かに使えないかなーって考えてたの」 ラブ「テンション上がってきたー!パイ投げとか初めて。緊張するぅー!」 なんでだよ。初めてなのかよ。輝かしい初パイ投げに僕を誘うのかよ。テレビで覚えた脳内突っ込みをフル活用しながら、両手にパイ。

2011-06-28 00:16:43
にらさき @hal_nirasaki

夏。炎天下。下を向くと、僕の真っ黒な影が落ちる。人の顔面にパイを投げつけるのは初めてだ。「初めて」は、楽しい。しかし、なぜだか気が乗らないのは、人に物を投げつける、一方的な暴力行為が、無知だった過去の自分の過ちを思い出させるからだろう。ラブ「そういうのはいいから!」 よくないよ。

2011-06-28 00:18:19
にらさき @hal_nirasaki

こんなとき、あの馬鹿ならどうするのだろうか。いや、考えるまでもない。あいつは、絶対人に向けて、パイなんて投げれっこない。それどころか、投げる予定だったパイを一緒に食べ始めるかもしれない。それに引き換え、僕だったら・・・? 南「分かったよ、で、パイ投げっていうのはどうやるんだい?」

2011-06-28 00:19:56
にらさき @hal_nirasaki

ラブ「たぶん、迷わないことが大事だと思う!ここだっ!って思ったら全力で投げることかな」 ブッキー「それに、美希ちゃん、運動真剣がいいからタイミングがすごく難しいと思う」 南「へぇ…」 事前と口元が緩む。初めてのパイ投げ。「初めて」は、楽しい。ラブ「うわー、悪そうな顔してるよー!」

2011-06-28 00:20:54
にらさき @hal_nirasaki

デリートホールの吸い込まれるとき、キュアベリーは僕の手を引いて、まっすぐ目を見てくれた。一緒に笑い合いたいと言ってくれた。そんな彼女には恩があるし、パイ投げなんてとてもできない気もするけど、やっぱり、好奇心には勝てないよね。気づけば、僕は通り魔的パイ投げ事件の共犯者と化していた。

2011-06-28 00:23:00
にらさき @hal_nirasaki

ラブ「じゃあ、美希たん呼んでくるね!この公園までつれてくるから、あたしがせーの!って言ったら、二人は美希たんの顔面にパイを投げて!それまで二人は隠れてて」 ブッキー「おっけー!」 南「了解」。元気にかけていくキュアピーチ。親友に突然パイを投げつけるなんて、最近の子は理解できない。

2011-06-28 00:24:15
にらさき @hal_nirasaki

美希「もー、なんなの突然呼び出してー?」 ラブ「あははー、美希たんにどうしても話したいことがあってね」 今日の犠牲者が、のこのこと歩いていた。まだ中学生だが、その貫禄とスマートさは、OLといわれても気づかれないかもしれない、いや、そんなことはないか。両手のパイを横目に、様子を伺う

2011-06-28 00:25:23
にらさき @hal_nirasaki

美希「あ、ひょっとしてせつなの事?」 ラブ「うーん、それもあるんだけど」 キュアベリーが、僕らが隠れている場所に段々近づいてくる。こんな悪だくみをしている途中で、イースの名前を聞いて、少しだけだけ胸がチクリとした。蝉の声。手に汗が流れる。パイ投げの時は近い。

2011-06-28 00:27:52
にらさき @hal_nirasaki

ラブ「もうちょっとこっちー…。せーのっ!!」 合図を受けて、僕はパイを投げた。大きく振りかぶって。キュアベリーの顔面をめがけて。全力で。スローモーションになる世界のなか、キュアベリーと目があった。僕を、まっすぐ見つめる瞳。一瞬で血の気が引いた。パイを投げていたのは、僕だけだった。

2011-06-28 00:29:21
にらさき @hal_nirasaki

パイはキュアベリーの顔面にきれいに直撃した。パイ投げの勢いを受けて、後ろに大きくのけぞった後、彼女はしゃがみ込んでしまった。キュアピーチとキュアパインは腹を抱えて笑っていた。南「どういうことなんだよ…。おい!ちょっと、大丈夫か!?」 騙されてパイ投げをしてしまった事を、後悔した。

2011-06-28 00:31:41
にらさき @hal_nirasaki

キュアベリーは震えていた。泣かせてしまったのだろうか?失望させてしまっただろうか?ベリーが、顔に張り付いたパイの皿をゆっくりと外す。歌舞伎役者のような白い顔面が現れた。そのタイミングは完璧で、計算し尽されている様だった。南「(・・・いや、何を考えてるんだ僕は。笑っちゃダメだ)」

2011-06-28 00:35:24
にらさき @hal_nirasaki

ベリーは中腰になり、がに股でゆっくりと立ち上がった。顔に付いたクリームを両手で勢いよくぬぐう。飛び散るクリームが光る!僕は笑いそうになるのを必死で抑える。こんなときに、何を笑っているんだ僕は。深呼吸してから、ベリーに視線を戻すと、彼女は、なぜかすまし顔を取っていた。ちょっと吹いた

2011-06-28 00:38:52
にらさき @hal_nirasaki

美希「・・・・・・・・・・・・・・・・やってくれるじゃない!」 彼女は、キリッとした顔で言った。今、何故そんなに溜めたのだろうか。もはや、今の僕にとって、彼女の一挙一動が爆笑を呼ぶ。気づけば、僕はキュアピーチやパインと一緒に笑い転げていた。申し訳ないと思いながら、不思議な満足感。

2011-06-28 00:40:35
にらさき @hal_nirasaki

そのとき、キュアピーチが、突然ベリーの顔面にパイを投げた!ベリーはとっさに避けようと重心を低くしたが間に合わず、これまたきれいに直撃した。ベリーがなにかを言おうと口のあたりを動かしたが、クリームが邪魔で聞こえない。さらに、追い討ちでなげたパインのパイが、おお!きれいに直撃したww

2011-06-28 00:41:56
にらさき @hal_nirasaki

ベリーは、「題名のない音楽会」に出てくる佐渡裕のようにスタイリッシュに動きながら、無言で怒りを表現したが、それは、もはや前衛芸術にしか見えなかった。笑った、笑った。笑った。僕は、今まで抑圧していた感情が吹っ切れるかのように、いいかげん腹筋が痛くなっても、ずーっと笑い続けていた。

2011-06-28 00:43:42
にらさき @hal_nirasaki

・・・ ラブ「あはは、本当ゴメンね!美希たん、悪気はなかったんだけどさー」 美希「そっかー、悪気はなかったんだー」 ブッキー「ホント、ゴメンね!でも美希ちゃんなら許してくれるって、私、信じてる!」 美希「そりゃあ、あたし完璧だからねー」 美希。蒼乃美希。彼女を、もっと見ていたい。

2011-06-28 00:45:23
にらさき @hal_nirasaki

美希「それで、あたしの手の温もりで目覚めたはずのあなたが、どうしてパイ投げをしてるのかしら?」 南「どうしてだろうね?」 美希「どうしてなのよ」 南「でもこれだけは言える。僕は、君にパイ投げができて本当に、よかったと思っている。幸せになれた。これは本心だ!」 美希「あー・・・」

2011-06-28 00:47:29
にらさき @hal_nirasaki

南「いつかまた…どこかで、君の顔面にパイ投げをしたいよ」 美希「パイ投げくらいなら、いつでも歓迎よ・・・ってそんなワケないでしょ!」 知ってる。これはノリツッコミだ。でもテレビで見るよりも、断然面白い。君がいるだけで、僕は幸せになれそうだ。 ~mktnの顔面にパイを投げたい 完~

2011-06-28 00:51:00
アフロ宮 @afromiya

@hal_nirasaki 最後の「いいから」に全てが凝縮されてる感じでグッとくる

2011-06-28 00:15:54
たすく @task_machine

ビリー「パイ投げだって!?パイで野球でもやるのか!?いつからここはヤンキース・スタジアムになったんだ!?」

2011-06-28 00:25:55
ももいろ @yahooooogle

俺にらさきさんに一生ついていくわ

2011-06-28 00:27:20
ももいろ @yahooooogle

まさかのにらさきさんすぎる

2011-06-28 00:27:51
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