茂木健一郎さん@kenichiromogiによる「日本の誇るべき食文化「おまかせ」についての連続ツイート」

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、こんな日本ではありますが、この日本の良いところを取り上げさせていただきます! by 茂木健一郎 関連:http://togetter.com/li/157463
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茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、こんな日本ではありますが、この日本の良いところを取り上げさせていただきます!

2011-07-04 07:33:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(1)夕刻、行きつけの料理屋に入り、「とりあえずビール2、3本」と注文し、「適当に見繕ってよ」と言う。日本人にとってはあたりまえの「おまかせ」。そこには、サービスや料理店経営についての、日本人のすぐれた哲学があらわれている。

2011-07-04 07:34:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(2)これがパリのレストランだったら、メニューをいちいち見て、どれにしようと考え、注文しなければならない。「選択」する喜びもあることはあるが、面倒くさい。カウンターに座ったら、黙って出てくる日本の「おまかせ」が、今世界的に注目されている。

2011-07-04 07:35:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(3)脳はサプライズを好む。メニューから自分が選んだ料理だと、何が来るかあらかじめわかっているから、出てきた時のサプライズが減じる。「次は牛ヒレのステーキが出てくるんだよな」と思っていて出るのと、「わっ、牛ヒレだ、びっくりした!」では感激が違う。

2011-07-04 07:37:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(4)おまかせは、経営の視点から見ても合理的である。アラカルトだと、必ずしも旬ではない食材も客の注文にあわせて用意しなければならない。準備した食材が、ぜんぶ出るとは限らない。無駄が多い。おまかせなら、店主が吟味した旬の食材を、自慢の料理で出すことができる。

2011-07-04 07:38:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(5)おまかせならば、例えば前の客で食材が切れてしまったとしても、「いいのが入ったんですよ〜」と別の食材を出せばいい。どうせ客にわかりはしない。余った食材を「自慢の一品」として出すこともできる。客はハッピー、経営はスリム化。おまかせは実に素晴らしい智恵だ。

2011-07-04 07:40:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(6)サプライズのよろこび。「おまかせ」の視点からパワーポイントのプレゼンを考えれば、内容をプリントして配ってはいけない。「次にこれが来るのか」「何だよ、まだ30枚中8枚目か!」などとわかってしまう。スティーヴ・ジョブズがあらかじめスライドを配るか?!

2011-07-04 07:42:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(7)日本で「おまかせ」の文化が発達した理由。それは、日本が「ハイコンセンサス」社会だからである。これくらいの時間帯に、これくらいの年格好の人が店に来たら、こんなものを出せばよろこぶ。それがわかっているから、「おまかせ」というサービスのやり方が成立する。

2011-07-04 07:45:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(8)他人種、多様なバックグランドの人が集う場所では、「おまかせ」は成立しない。タブーの食材もあるし、それぞれの人の嗜好が異なれば、味付けから選んでもらわなければならない。あうんの呼吸の日本人どうしだからこそ、「おまかせ」の喜びを深掘りすることができた。

2011-07-04 07:46:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

おま(9)「おまかせ」は、日本に観光客を呼び込む上での最大の武器の一つ。しかし、日本人自身がその意義を十分に意識化しておらず、言語による説明も試みていない。「おまかせ」のような日本の暗黙知を明示化して、誰でも共有できるツールにしていくことが大切だろう。

2011-07-04 07:47:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、日本の誇るべき食文化「おまかせ」についての連続ツイートでした。

2011-07-04 07:48:18