【サロブレーニャまで・完全版】福間健二 fukuma10f

一日一回ずつ10回完結でtweetされる、福間健二さんの詩tweetをまとめています。今回は【サロブレーニャまで】の完全版。 『人間は、どう放っておくかだ。勝手に大きくなって、エッチして、デブのおばさんになっていく。ヒコイワシの酢漬け。イカのリング揚げ。ジャガイモのオムレツ。』(サロブレーニャまで5より)
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福間健二 @acasaazul

大きな灰皿のようになったガレージ。眠たいだけかもしれない、さびしい目をした少年たち。何を運んできたのか。夜行で、バルセロナからグラナダまで。「だれもが理由を知っている」煙のなかに箱をおく。ガタガタ言うな。箱は箱らしくじっとしていろ。(サロブレーニャまで1)#fukuma10f

2011-06-28 08:25:53
福間健二 @acasaazul

トラック、倉庫、菜の花畑。壊されたくないなら、日本のヤクザみたいな影を引きずるな。パコはそう言って空手の型を見せてくれた。腰が入ってないよ。グラナダにも「岡山の娘」がいる。腰のあるうどんを打つ人。もう何もすることがないと彼女は言った。(サロブレーニャまで2)#fukuma10f

2011-06-29 09:25:46
福間健二 @acasaazul

おいしい水の湧く谷間の村。少しずつ受け入れてもらって、これ以上鈍感になりようがない「治める者たち」の悪口を一緒に。でも、最後はソロ。お湯がちゃんと出ない。たった一度だけ? どんなあやまちをした。血と夢で書かれた物語の破片を踏む。(サロブレーニャまで3)#fukuma10f

2011-06-30 06:20:05
福間健二 @acasaazul

昼間からバルで飲む。死体が隠されない国。この人たちはいつもなにか食べていて、うるさい。サッカーの結果。宝くじの数字。飽きると男たちは女性のおしりを見る。タオルで死体の顔を隠したりもしないのかな。アンダルシアの犬は死んだように寝ている。(サロブレーニャまで4)#fukuma10f

2011-07-01 07:40:55
福間健二 @acasaazul

人間は、どう放っておくかだ。勝手に大きくなって、エッチして、デブのおばさんになっていく。ヒコイワシの酢漬け。イカのリング揚げ。ジャガイモのオムレツ。ユーロの時代になっても変わらないきみたちの謎といたずら。ちょっと退屈だけど、おいしいよ。(サロブレーニャまで5)#fukuma10f

2011-07-02 12:16:41
福間健二 @acasaazul

遠いマルティニックからきた老人がフランス語でしゃべっている。相手をするのはアルジェ生まれのジャッキー。彼の、あらゆる中心を否定する、血のついた靴。ぼくはネグロがすいたくなって外に出た。〈きみの傷の見すてられた醜さにむかって〉歩くときだ。(サロブレーニャまで6)#fukuma10f

2011-07-03 06:06:38
福間健二 @acasaazul

きみの傷を眠らせる。見すてられた彼を眠らせる。彼女の醜さを眠らせる。103の大壜を飲み干して。でも、夜は終わらない。アラーマ・デ・グラナダ。二十年前にあどけない娘たちの写真を撮って通過した町。詩人の死。犬たち、この主題がまだ欲しいのか。(サロブレーニャまで7)#fukuma10f

2011-07-04 06:36:33
福間健二 @acasaazul

〈わたしは酔いつづけ、一枚の、ざらざらした茶色い紙にすりかえられた「体にぴったり張りついたスカートの女たち」の思い出を破る、傷口にさわる手に、半意識の状態をつくる、新しい部品は届かなかったのか?〉とぼくは書いた。届かなかったのか?(サロブレーニャまで8)#fukuma10f

2011-07-05 09:14:41
福間健二 @acasaazul

Te digo que no y no. だめったらだめ。アンダルシアも貧しいのよ。何の部品でも自分で届けなきゃ。禁酒中のバスク人のリタからの電話。世界は悪党だらけ。法律なんかどうとでもなる。彼女も一度深く傷つき、二度と傷つきたくない。(サロブレーニャまで9)#fukuma10f

2011-07-06 08:37:48
福間健二 @acasaazul

まだクラッシュがかかっているバル「暗い春」。不良のきみたちも変わらない。お金が欲しい。車が欲しい。母親の愛人を殺したい。フランコなんか知らないよ、か。退屈。それよりも、チン掻き爺さん、いまでもいるのかな。サロブレーニャ。白い村。暑い。(サロブレーニャまで10)#fukuma10f

2011-07-07 07:10:00