津田大介氏【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】TL

ジャーナリスト津田大介氏、日独シンポジウム 終了後 帰国直前にツイートした「環境政治学者Maximilian Kuhnさんに取材した話のエッセンスを箇条書き」をまとめました。
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津田大介 @tsuda

あとで原稿にまとめようと思ってますが、環境政治学者Maximilian Kuhnさんに取材した話のエッセンスを箇条書きでまとめておきます。

2011-07-09 23:13:30
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】1990年代から脱原発の機運は高まって、2000年代になってからは2020年までの脱原発が方針として決まった。それをメルケルは延長しようとしたが、福島の事故後反対の機運が高まったため、原発停止を決断した。

2011-07-09 23:16:06
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】脱原発の機運が高まったのは、特にチェルノブイリ事故以降。農作物なども大きな被害を受けた。反原発の世論が高まる一方で、経済界は原発エネルギーを手元に置こうとしていた。

2011-07-09 23:17:20
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】今のドイツ国民の原発に対する認識。ある世論調査では、78%の国民が原発反対の姿勢を示した。

2011-07-09 23:18:07
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】電力ネットワークはフランスともチェコともつながっており、両国と常にエネルギーのやりとりがある。

2011-07-09 23:20:20
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】今はフランスから一時的に買っているが、フランスはフランスで問題があり、常に電力を安定供給できているわけではない。この間、夏場に温度が上がって冷却水に問題が生じて原発が緊急停止した。その間はドイツから電力を買っていた。

2011-07-09 23:21:24
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】フランスが原発でも電力を安定的に供給できない理由はもう1つある。フランスは長期のバケーションを取ったり、作業員がストライキをするので、その間原発の停止期間が生じる←(津田註:日本じゃ考えられないねこれ……)

2011-07-09 23:24:31
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツも全てが再生可能エネルギーにできるわけじゃない。あくまでドイツは石炭火力発電+天然ガスが中心。脱原発で再生可能エネルギー増やしつつ中で普通の人が電気を節約する意識や、節電能力の高い家電で電力需要ピークを抑えるのが重要。

2011-07-09 23:26:39
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】脱原発を決断した背景には経済的理由もある。ドイツの経済は車産業が牽引している。だが、再生可能エネルギーの会社も伸びており、ここが伸びると原発以上に多くの人々を雇用できる市場性とポテンシャルを持っているからだ。

2011-07-09 23:28:55
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】天然ガスを買っているロシアとの関係。ロシアは確かに脱原発を決めたドイツに対して天然ガスを高く売りつけたいと思っているだろう。だが、それはうまくいかない可能性の方が高い。

2011-07-09 23:53:49
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツは60年代からロシアからガスを供給されており、両国は信頼のおけるパートナーシップがある。ドイツはガス発電への依存度も高い(ロシアからのガス輸入量はトップ)ため、一時は天然ガス市場において流通価格の2倍程度で買っていた。

2011-07-09 23:56:31
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】しかし、現在の天然ガス市場、経済状況を見るとロシアがドイツにこれ以上高い価格で売りつけるのは困難であると考える。それには3つの理由がある。

2011-07-09 23:57:36
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】天然ガス市場が活況でない理由(1)米国が天然ガスの輸入市場から撤退し、自分たちで掘削するようになった。これは近年天然ガスの掘削技術が著しい発展を遂げたから。

2011-07-09 23:58:57
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】天然ガス市場が活況でない理由(2)ガス発電には、天然ガスだけでなく、LNGによる発電もあり、そちらも伸びてきているから。

2011-07-09 23:59:30
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】天然ガス市場が活況でない理由(3)天然ガスの供給が需要に対して過剰な状態が続いている。2008年に大量にガスを確保することに成功したが、その分が2018年分まで残っている。掘削技術の発達で新しいガスも取れており供給過剰は続く。

2011-07-10 00:02:47
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】以上3つがロシアがドイツにガスを高く売れない理由。ドイツが市場価格の2倍近くでガスを買っていたのは市場を経由せずロシアから直接買っていから。技術革新で掘削コストも下がっている現状、今後天然ガスの値段が上がることは考えにくい。

2011-07-10 00:05:18
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツが脱原発を決めた背景にはドイツが核兵器を持っておらず、核エネルギーに対して興味が薄いということもある。それよりドイツが技術を持ってる再生可能エネルギー関連の会社を伸ばした方が国力につながるという経済的考え方も大きい。

2011-07-10 00:07:48
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】自然エネルギー関連では太陽光のQ-Cellsが注目。この会社は東ドイツの汚れていた町に太陽光発電を誘致して、町を変えた←(津田註:とはいえQ-Cellsの経営状況は現在はあまり芳しくない様子→http://p.tl/3mgC

2011-07-10 00:12:41
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】重要なのは再生可能エネルギーを産業市場として成長させ、再生可能エネルギーの会社が利益を生み出せる状態にすること。太陽光発電の売電モデルも元々ドイツで生み出されて50~70の国に輸出された。経済プログラムの輸出という視点も大事。

2011-07-10 00:16:09
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツ人がなぜ節電になれているのか。エコに関心が高い、脱原発の機運があるということもあるが大きいのは戦争に負けて不便な生活を強いられたということ。だから、電気料金が高くなれば市民が対策を売って積極的に使わないという選択をする。

2011-07-10 03:23:44
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツの原発の廃炉費用はどうなのか。解体にかかるお金は電力会社が支払わなければならない。その分は消費者にも負担されていく。原子力のコストは一見安いが、廃炉のコストが含まれてない。飛散した場合のことも考慮に入れられてない。

2011-07-10 03:25:02
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツ一国が脱原発しても隣接するチェコやフランスには原発がある。大事なのは他の国も共同で脱原発していくこと。ドイツは脱原発を進める中で、他国の見本となるでしょう。

2011-07-10 03:25:55
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】将来的には再生可能エネルギーが主流になるのは自明なこと。環境汚染、ウラン処理、廃炉費用」などなど、問題をたくさん抱えている中で目をつぶりながら使っていくのは将来的にいいことではない。

2011-07-10 03:27:11
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】ドイツにももちろん原発推進派はいた。だが、ドイツ国民はある程度反対の立場を取っていたし、事故後は彼らはほとんど物を言えるような状況ではなくなった。

2011-07-10 03:28:09
津田大介 @tsuda

【環境政治学者Maximilian Kuhnさんの話】メルケルは事故から数日後に「それでは私たちは原発をやめない」と言ったが、そのあと大規模デモが起こり、彼は態度を変えた。国民の声が反原発で統一されているのにそれに反して進めると政権にとどまれないという政治的判断が大きかった。

2011-07-10 03:29:11