茂木健一郎さんの「著作権」

脳科学者・茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの7月14日の連続ツイート。 レディ・ガガのYoutubeが削除されたことに関連して、著作権について
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茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(1)レディ・ガガさんが日本のテレビに出演した際のビデオが、日本の会社の申し立てによりyoutube上から削除されたという。この事件は、「著作権」というものに対する日本の社会、司法関係者の「時代遅れ」ぶりを照射するもの。この際、著作権について考えてみよう。

2011-07-14 14:29:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(2)そもそも、「著作権」という概念は日本人が考えたわけではない。外来の概念を、あたかも金科玉条のように守り続けるというのは辺境にはよく見られるメンタリティであるが、「著作権」の場合、それを杓子定規に考えることで、日本経済は世界の最先端から何周も遅れている。

2011-07-14 14:31:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(3)英米法の体系では、「fair use」(http://t.co/JAU1ebn)の条件を満たせば、引用、使用できる。何が「fair use」なのかは、時代とともに変わる。カモン・センスによって判断されるのであって、ウェブの登場によって当然その中身も変わった。

2011-07-14 14:34:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(4)Digital Millennium Copyright Act (DMCA) http://t.co/OCRw4NO は、youtubeなどの新しいウェブ上のサービスを保護している。DMCAは、ネット時代の新しい経済のインフラであり、触媒となった。

2011-07-14 14:36:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(5)著作権といっても、それは化石のように不変なものであるわけではなく、情報環境の変化とともに、公益性や著作者の利益などを総合的に考慮して法的に「デザイン」していくべきものである。「強欲地主」の言いがかりとは、基本的に性質が異なる概念なのである。

2011-07-14 14:38:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(6)日本の司法は、条文主義だから、著作権のような概念が「化石化」しやすい。日本からyoutubeのようなサービスが生まれなかった背景に、日本の司法の愚鈍、怠慢がある。「Winny」の第一審や、「まねきTV」事件にも見られるように、日本の司法は新時代の邪魔をする。

2011-07-14 14:42:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(7)そもそも、人間が「創造」するもので、他人の作品を参考にしていないものなど、一つもない。「著作権」などというが、みんなのお世話になって作品はできる。それを、あたかも自分がすべての権利をもっているように振る舞うこと自体が、錯誤もはなはだしい。科学的事実に反する。

2011-07-14 14:43:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(8)作品をつくって食べている人たちがどう生活するかは大問題である。だからこそ、コピー、流通が容易になったネット時代に、どんな制度設計をすればみんながハッピーになるかを模索すべき。「化石」となった「著作権」が、新しい時代の邪魔をするとすれば、こんな不幸はない。

2011-07-14 14:44:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちょ(9)日本のテレビ、芸能事務所が、基本的に「国内産業」であるということも今回の事件に関連している。小さなパイを争っていても仕方がない。思い切って開放した方が、市場が世界に広がる。レディ・ガガさんは世界市場への大切な道筋だったのに、見識の狭さでだいなしにしてしまった。

2011-07-14 14:47:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「著作権」についての連続ツイートでした。ほんとさ、つまらんことごちゃごちゃ言ってないで、世界を見ようよ、世界を。

2011-07-14 14:48:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

ちなみに、今日の連続ツイートでタイトルを「ちょ」としたのは、「著作権」なんて重厚な響きの言葉は、ネット時代にはそぐわん。せいぜい「ちょ」くらいでいい、それくらいの軽快さで見直ししていこうよ、という意味でありました。

2011-07-14 14:52:22