新潮社原発批判記事の詐術~元資料見て検証してみた
- donadonasan
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jiji.comに掲載された、新潮社Foresightの記事がひどすぎる。これを書いた記者は本当にプロなのか?あまりにもひどいので反論してみる。 新潮社記事:「本当の原発発電原価」を公表しない経産省・電力業界の「詐術」」塩谷喜雄
2011-07-22 12:35:092ページ目( http://bit.ly/rk1Hel ):新潮社:「火力の燃料費増加分をそっくり料金に上乗せするというのは、全く論理性を欠いている。」(続く)
2011-07-22 12:36:142ページ目( http://bit.ly/rk1Hel ):新潮社:「もしそれが正当なコストの反映なのだとしたら、原発というのはいくら動かしても一銭もかからない存在で、コストはゼロだということになってしまう。」
2011-07-22 12:36:28反論:原発の発電コストに占める運転・保守コストはOECD各国でみても18~38%程度( http://bit.ly/rbiVkh )。しかも、運転・保守コストのうち原子炉停止で減るのはさらにそのうちの20%程度( http://bit.ly/rcoYJq )。
2011-07-22 12:37:01ということは、原発止まることによるコスト低下分は最大で見ても8%、中央値で見ると6%程度。原発の発電コスト( http://bit.ly/oWZ3yS )及び発電実績( http://bit.ly/ghdlnx )から、
2011-07-22 12:37:22全原発の稼動停止によるコスト低下分は火力燃料コスト増加分に対し数%であり誤差程度といえる。よって、新潮社の主張は「間違ってはいないが無視して良いところをつついて自己に都合がいいように誤解されるようにした」ものと言える。
2011-07-22 12:37:47次。3ページ目( http://bit.ly/nprAAf )。新潮社:「もしまっとうな批判能力があるなら、この試算が実は「原発は止められる」ということを、原子力利権ムラ自身が証明したものであることに、気づいたはずだ。」(続く)
2011-07-22 12:38:41反論:日本エネルギー経済研究所が、記事の元になった報告書を公開している( http://bit.ly/m4vwzt )。これを見ると、「石油火力:稼働率に上限をおかず、石炭火力およびLNG火力で発電した上、需要を満たすのに必要な分は全て石油火力が対応すると想定。」とある。
2011-07-22 12:39:11つまり、「試算できた」ことと「火力で賄える」ことは等しくないのだ。おそらく、「停電しちゃうのでコスト試算できませ~ん」という結果になるのを防ぐためこのような上限無しの計算をしているのだが、時事新聞の記者様はここを読んでいないらしい。
2011-07-22 12:39:28実際この報告書の「主要な結論」には「地域によっては設備能力の100%を超える石油火力の稼働が必要になる場合もあり、現実的には対応不可能となる可能性が高い。」と書かれている。普通ここぐらいは目を通すはずだが、新潮社の記者様は読み飛ばしたようだ。
2011-07-22 12:39:35以上より、3ページめの主張:火力で十分に代替できることを経産省が認めた は間違っていることが分かる。プロの記者なんだから、ちゃんと元資料を読んでもらいたいものだ。
2011-07-22 12:39:48次。同じく3ページ目( http://bit.ly/nprAAf )。新潮社:「これはモデルプラントという架空の原発が理想的に運転されたときの、空想の発電コストを示した「夢と幻」の産物である。」
2011-07-22 12:40:00反論:モデルプラントは架空の原発ではなく、ちゃんと実在する。モデルプラントは新潮社の記事でけなしている「モデル試算による各電源の発電コスト比較」( http://bit.ly/ouCBAG )に登場するのだが、例えば原子力なら柏崎や玄海の原発が選ばれている。
2011-07-22 12:40:15そのため、新潮社の記事の「現実の原発のコストを何も反映していないし、何も示していない。実体とは無関係だから、見せかけの原発のコストが下がるように、好き勝手な、恣意的な設定で計算している。」というのは前提から狂ってる大嘘である。
2011-07-22 12:40:26次。同じく3ページ目( http://bit.ly/nprAAf )。新潮社:「法定耐用年数が16年の原発も、15年の火力発電所も、40年間無傷のまま動かしたとして、コストを想像してしまった。」
2011-07-22 12:40:40大嘘である。やはり元資料( http://bit.ly/ouCBAG )3.2を見ると、それぞれの法定耐用年数での試算もちゃんと記載されている。
2011-07-22 12:41:03次。3~4ページ目。新潮社:「比較的原価見積もりが高い原発を列挙したが、1kWh当たりのコストが10円を切っている原発が2つだけある。大飯4号機の8.91円と、玄海2号機の6.86円である。それを考慮しても、どこをどうやったら、日本の原発の発電原価が5.3円などと言えるのか。」
2011-07-22 12:41:27反論:前述したとおり、元資料( http://bit.ly/ouCBAG )にはちゃんと耐用年数で計算したときの値が載っていて8円程度となっており大きくは外れていない。新潮社の記者は、都合が悪い数字は隠すらしい。
2011-07-22 12:41:39次。4ページ目( http://bit.ly/pcPG1v )。新潮社:「2003年のモデル試算には、核燃料サイクルのコストは全く反映されていない。」
2011-07-22 12:41:53これも大嘘。元資料( http://bit.ly/ouCBAG ) 2.3にちゃんと再処理コストを盛り込んでいることを明記している。目次にも「2.3 原子燃料サイクルコスト計算の諸元」「添付3. 原子燃料サイクルバックエンドの処理単価」等の記載があるのになぜ無視した?
2011-07-22 12:42:105ページ目( http://bit.ly/nbDx9Y )。新潮社:「モデル計算ではなく、公開されている電力会社の有価証券報告書から、これまでの原発の発電実績と費用をもとに、原発の発電原価を計算したのが、」(本人は悪く無いと思うので伏せ)「大学教授である。」
2011-07-22 12:42:48続き:新潮社:「現在の発電原価に1番近いと思われるその数字は、原子力8.64円、火力9.8円、水力7.08円で、原発は決して安くない。」
2011-07-22 12:43:02間違ってはいない。しかし、まるで元資料( http://bit.ly/ouCBAG )に記載されておらず、元資料が誤魔化しているような書き方はいただけない。ちゃんと4.1に書いてある。
2011-07-22 12:43:11