尿中の放射性セシウムによる膀胱壁の被曝線量の計算

児玉龍彦教授の参考人発言で紹介された論文http://1.usa.gov/plcSao をもとに、尿中の放射性セシウムによる膀胱壁の被曝線量を概算する計算問題を考えてつぶやいたら、@MAKIRIN1230 さんからご回答と解説をいただきましたので、いきさつをまとめました。計算結果が出た後もさらに議論が続いたので、こちらもまとめに追加しました。その後原論文を改めて見直した結果、新しい問題点が浮かび上がり、意外な展開に。平均値の2倍以上の標準偏差ってあり? 9月に入り放射線医学総合研究所からも「尿中セシウムによる膀胱がんの発生について」http://bit.ly/pFSjAP という文書が出され、@MAKIRIN1230 さんが比較検討して下さいました。計算モデルが違うため放射性セシウムと放射性カリウムによる被曝線量の差の大きさが違いますが、放射性セシウム<放射性カリウムであることに変わりはありません。
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出題に至るまで

buvery @buvery

先日の児玉せんせの国会での発表、提案自体は後ほど書こうと思いますが、『セシウムは膀胱に集まるので、ホールボディカウンタで測っても意味はない』という発言は看過できないので、なぜ私がそれにひっかかるかを説明します。

2011-08-02 18:53:02
buvery @buvery

トナカイの肉の部位の名前 出典:Rangifer 10: 57 (1990) http://twitpic.com/5zrark

2011-08-02 18:55:25
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buvery @buvery

フィンランドでセシウム汚染されたトナカイの肉の汚染はどこでもだいたい同じ。出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrbk3

2011-08-02 18:57:22
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buvery @buvery

だから、牛の肉を検査する時でも、どこをとってもだいたい同じなんです。だから一カ所でよい。

2011-08-02 18:58:08
buvery @buvery

フィンランドでセシウム汚染されたトナカイ。骨は低い。500−1500程度。 出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrc7m

2011-08-02 18:59:10
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buvery @buvery

骨で高いように見えているところはすべて軟骨組織。 出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrd4e

2011-08-02 19:01:19
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buvery @buvery

トナカイの各臓器、高くても2倍程度。膀胱はほぼ筋肉と同じ。出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrduq

2011-08-02 19:03:16
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buvery @buvery

セシウムに汚染されたトナカイ、各臓器の数字を書き出したもの。膀胱には集まっていない。(参考:筋肉5000−6000)出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrep0

2011-08-02 19:05:24
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buvery @buvery

この数字を見ると、唾液腺、胸腺、腎臓、膵臓が若干高いが、それでも二倍程度。しばらく前から騒いでいた甲状腺は、脳と同じく低い。また、膀胱は平均的(=筋肉と同じ程度)。

2011-08-02 19:07:13
buvery @buvery

セシウム汚染されたトナカイ20頭で、肉の部位を測ったもの。どの部位でも同じ。出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrgd0

2011-08-02 19:09:38
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buvery @buvery

セシウム汚染されたトナカイの各臓器、20頭での平均値。(ここには膀胱はないが)結論は先ほどと同じ。出典:Rangifer 10:57 (1990) http://twitpic.com/5zrh1j

2011-08-02 19:11:27
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buvery @buvery

ベラルーシの少女のWBCの実測例。だいたい体の容積に比例してセシウムが検出されるが、脳の所が低く、膀胱のところは特に高くない。出典:Rad Prot Dosimetry 64:313 (1988) http://twitpic.com/5zrig6

2011-08-02 19:15:02
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(↑この論文は1996年に発表されたもので、こちらのツイートhttp://bit.ly/TcnscY で引用したのと同じです)

buvery @buvery

以上、野生のトナカイがセシウムに汚染された場合の、セシウムの臓器の集積を見ると、膀胱には集積しないし、筋肉組織のものはだいたい平均して同じ事がわかります。

2011-08-02 19:15:40
buvery @buvery

また、人間をホールボディカウンタで測っても、特に、膀胱に集積するということはなく、また、トナカイ同様、脳や骨に集積していないのは、頭部の値が低い事からも見て取れます。

2011-08-02 19:16:49
buvery @buvery

従って、ホールボディカウンタが、セシウムの体内被曝の測定に役に立たない、なぜならセシウムは膀胱に集積するからだ、と言っていた児玉せんせの発言は誤りだと思う。WBCはセシウムの全体の集積の測定に役に立ちます。以上が、膀胱とWBCとセシウムに関して。論文そのものについては後ほど。

2011-08-02 19:18:23
りせ @Lisse666

@parasite2006 ベラルーシの少女のWBC値、トイレに行ってから計測したので、膀胱には尿がほとんど無かったという可能性は? などとも思ってみました。カリウムのように尿から排泄されるとすれば、膀胱内に尿がある時には、膀胱壁はセシウムの放射線にさらされるのでは

2011-08-03 16:27:28
nao @parasite2006

@Lisse666 原報(Radiat Prot Dosimetry 64:313 (1996))を見ると、WBC測定時に尿が膀胱の中に残っていたかどうかは方法の項にとくに記載がないので、どちらかの状態に意識的に統一することは測定条件として考えられていなかったようです。

2011-08-04 12:00:10
nao @parasite2006

@Lisse666 ただし実際には尿の入った袋の壁である膀胱の組織全体にどれだけのセシウムがあるかよりは、膀胱の表面に並んで直接尿と接触している上皮細胞がどれだけの濃度のセシウムを含んだ尿にさらされているかが問題ですから、膀胱に尿がある状態でWBC測定を行うべきだったと思います。

2011-08-04 12:03:32
nao @parasite2006

@Lisse666 この点に関連して、児玉教授が参考人発言で引用した論文(英語)http://bit.ly/ntD6J6 のデータを引用するときに絶対忘れてはならないのは、この論文の研究対象が前立腺肥大で前立腺摘除手術を受けた男性(大部分がこちら)と慢性膀胱炎の女性で(続く)

2011-08-04 12:09:09
nao @parasite2006

@Lisse666 (続き)どちらも健康人に比べてより長い時間尿が膀胱にたまっている可能性が考えられる人たちだったことです。女性の場合、膀胱炎の原因としては(尿道が男性より短いため)肛門から尿道に入り込んだ細菌が膀胱まで遡ってきて感染を起こすことも確かにあるものの(続く)

2011-08-04 12:19:09
りせ @Lisse666

@parasite2006 女性の膀胱炎に関しては、膀胱内に尿が長時間貯留しやすいというのもあるでしょうが、膀胱壁に炎症があるところに放射線が照射されるという影響もあるだろうなぁと想像します。

2011-08-04 12:33:19
りせ @Lisse666

@parasite2006 英文は、、、、英語に不自由なため、ごめんなさい。

2011-08-04 12:33:45
nao @parasite2006

@Lisse666 (続き)生活習慣(仕事が忙しいその他)が理由で炎症の原因となる刺激物を含んだ尿がより長時間膀胱の中に留まり、表面の上皮細胞(表面の細胞は内側より損傷の危険性が大きい分活発に分裂増殖して常に置き換えられている)と接触することも見逃せません。

2011-08-04 12:34:12
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