仕掛学の独自性について

仕掛学を提唱している松村先生(@matumura)が,仕掛学の独自性について述べたことをまとめてみました. 関連するまとめ 「人工知能学会・仕掛学OS(11/6/3)」 http://togetter.com/li/143834 続きを読む
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matumura @matumura

今朝から考えたことをちょっとまとめてみる。仕掛学の当面の目標は、Social Issueを解決する仕掛けの事例を集めて体系化し、仕掛けを利用できるプラットフォームを作ること。では、仕掛学の独自性はどこにあるのか? #shikake

2011-08-11 16:33:24
matumura @matumura

Social Issueを解決するモノは、工学やデザインやCHIの分野で既にいろいろあるではないか?それとの違いはどこにあるのか?仕掛学の話をすると、たいていこの質問をされるのだけど、これまで明確に答えることができなかった。 #shikake

2011-08-11 16:36:32
matumura @matumura

その反省を踏まえて、仕掛学の独自性を考えてみました。何かモノを作るところまでは工学やデザインやCHIと同じアプローチですが、ここでモノの構成要素を考えてみます。 #shikake

2011-08-11 16:37:57
matumura @matumura

Social Issueを解決するモノは、一般には3つの側面から構成されていると考えます。ファンクションとインタフェースデザインとモチベーションデザインです。 #shikake

2011-08-11 16:44:20
matumura @matumura

ファンクションはモノそのものによって実装される工学的機構です。インタフェースデザインは人とモノとの関係を実装するもので、デザインやCHIやエクスペリエンスデザインもここに含まれます。 #shikake

2011-08-11 16:46:39
matumura @matumura

最後のモチベーションデザインは、人の内面に起こるもので、心理的な関与をもたらすものです。例えば、好奇心、楽しい、ナッジ、社会規範、peer effectなどです。 #shikake

2011-08-11 16:48:46
matumura @matumura

ここで仕掛けを「インタフェースデザインとモチベーションデザインがファンクションを内包する基本単位である」と定義します。つまり、工学的機構がなくてもファンクションが実装されている最小単位が仕掛けとなります。 #shikake

2011-08-11 16:52:52
matumura @matumura

例えば、男性用小便器を考えてみましょう。男性用小便器には、人感センサー、メンテナンス洗浄、便器の形状、便器の材質、足場の形など様々な構成要素から成り立っています。 #shikake

2011-08-11 16:55:13
matumura @matumura

トイレを清潔に心地良く使うという目的のために設計されています。ここで、人感センサーや洗浄システムは工学的機構なのでファンクション、形状や足場はインタフェースデザインに含まれるとします。 #shikake

2011-08-11 16:58:40
matumura @matumura

モチベーションデザインは、エイミングフライ(便器のあるスポットに描かれたハエ)などが相当します。ハエを見ると狙いたくなる心理を巧みに利用しており、これだけで飛散が大幅に減少すると言われています。 #shikake

2011-08-11 17:02:46
matumura @matumura

ここでの仕掛けは、便器や足場の形状からなるインタフェースデザインと、エイミングフライからなるモチベーションデザインを合わせたものになります。ファンクションを含まなくてもトイレを清潔に心地良く使うための機能を内包しています。 #shikake

2011-08-11 17:06:50
matumura @matumura

従来のアプローチではファンクションとインタフェースデザインによって実現することがメインでしたが、仕掛学ではインタフェースデザインとモチベーションデザインによって実現することをメインに考えます。 #shikake

2011-08-11 17:10:02
matumura @matumura

もちろん「仕掛け」に工学的機構によるファンクションを組み込むことも可能であり、それもアリですが、工学的機構を組み込むことはあくまでオプションである、というスタンスです。 #shikake

2011-08-11 17:11:52
matumura @matumura

工学的機構を組み込むことに積極的でないことには、幾つかの理由があります。まず、技術的課題です。誰でもSocial Issueを解決できるようなしくみを実現するためには、高度な技術を要する工学的機構はその妨げになります。 #shikake

2011-08-11 17:14:44
matumura @matumura

工学的機構を組み込むとコストもかかります。また、工学的機構を組み込むためには何らかのセンサー情報を利用しますが、センサーで取得できる情報は非常に限られているという問題があります。 #shikake

2011-08-11 17:20:07
matumura @matumura

取得できるセンサー情報にしばられるくらいなら、人の意識を変えることでそれ以上の効果を狙いたい、というわけで仕掛けではモチベーションデザインが重要なキーファクターになります。 #shikake

2011-08-11 17:23:29
matumura @matumura

多少の語弊を無視すれば、従来はデジタルなモノ、仕掛けはアナログなモノ、と言うことができるかもしれません。アナログなので、電気なんかなくてももちろんオッケーです。 #shikake

2011-08-11 17:25:09
matumura @matumura

ここでは男性用小便器の例しか挙げていませんが、ゴミ分別、ゴミ不法放棄、不法駐輪、防犯、健康管理など、身近なところに「仕掛け」の事例は世の中にあふれています。 #shikake

2011-08-11 17:27:45
matumura @matumura

そのような「仕掛け」の事例をたくさん収集しています。そのような仕掛けの事例を体系化することで再利用できるようになれば、誰もが身近なSocial Issueを解決する仕掛けを自ら実現することに役立つと思っています。 #shikake

2011-08-11 17:29:26
matumura @matumura

もちろん、工学的機構によるファンクションを「仕掛け」に組み込むことで効果が大きく向上するのなら、それもアリです。しかし「仕掛学」としては、そこは切り分けて考えたいと思っています。 #shikake

2011-08-11 17:30:58
matumura @matumura

先に「誰でもできる」仕掛けを目指すと書きましたが、なかなかそうは問屋がおろさないこともまた事実です。どうしても工学的機構が必要だけど、技術もお金もない、という場合もあるでしょう。 #shikake

2011-08-11 17:32:21
matumura @matumura

そういうときは、クラウドファンディングのような仕組みを利用したり、いつか開催したい仕掛けワークショップなどがその一助になればと思っています。 #shikake

2011-08-11 17:34:50
matumura @matumura

というわけで、仕掛学は、従来のモノ作りとは違ったアナログなアプローチを目指しています。のですが、僕自身は工学系出身ということもあって工学的機構にも強い興味があり、工学と仕掛学の融合も実は目指しています。おしまい。 #shikake

2011-08-11 17:38:30
24 @nishinohi

mia先輩のゴミ箱のカウンター自体はファンクションで、それに表示される連続分別人数がモチベーションデザインと考えていいのかな?

2011-08-11 17:49:32
24 @nishinohi

そうだとすると、技術部は仕掛けの提案のネックになりやすいファンクションの実現のための手助けをするという立ち位置になるのかな?

2011-08-11 17:51:13