• 陸自の定数削減を巡るジレンマ

    陸自の定数削減を巡る問題にはジレンマがある。一方では抑止と防衛の観点において、南西諸島防衛で陸自が活躍できる機会は限定的である。この観点からは陸自の定数を大幅削減して海空の戦力充実に当てた方がいい。他方では陸自は東日本大震災における災害派遣においてマンパワーによる存在意義を示した。災派や国際貢献などにおいては引き続き大規模な陸自部隊の必要性が主張される。防衛予算という資源に制約がある以上、これはジレンマである。国民自身が決定すべき課題である。
    by fj197099
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  • SatoMasahisa
    現場で汗を流している多くの自衛官は定数削減には反対だ。今回の東日本大震災でも人手が足らず助かる命も助けられなかったとの陳情も。首都直下型や東海・東南海地震なら尚更だ。陸海空幕の幹部も削減には反対だと思う。でも内局の官房長等幹部は推進。大綱・中期見直しの中で再度議論すべき
  • fj197099
    陸自の定数削減の話はある種のジレンマである。昨年の防衛大綱で重視された南西諸島防衛に重点を置く限り、今後の日本の防衛体制において陸自の存在価値はそれほど高くない。南西諸島に機動展開すべき陸自部隊の数も実は限定的だろう。島嶼防衛において戦車や火砲など大規模部隊はいらないのである。
  • fj197099
    この観点から言えば、財政制約の中で抑止の充実を図るためにやるべき事は、陸自の予算を削って海空の装備充実へと回すということである。特に海は潜水艦の増隻等で今後は多額の予算が必要。空も新型戦闘機(F-X)調達の為に予算が必要である。このために陸自の定数削減は不可避という流れができる。
  • fj197099
    実の所、米国も現在、アフガニスタン撤退後は陸軍と海兵隊を大幅削減することで海空の装備充実を図るという方針を示している(ゲイツ前国防長官の方針)。陸上兵力は今後重要でない時代が来るという訳だ。米国人が日本の防衛を語るときには大抵、陸を削って海空の充実をという話が出るのはそのためだ。
  • fj197099
    日本でも昨年の防衛大綱策定を巡る流れの中で陸自定数削減の提案が為されたのだが、これはどうやら陸自が体を張って抵抗したようで、結局、定数削減は1,000人に止まるという微減の決着となった。その後、東日本大震災が起きたことでこの問題は更にセンシティブなものとなってしまった。
  • fj197099
    すなわち災害派遣においてはマンパワーの確保こそ最も重要な要素である。10万人動員をしたうちの大半(7万人程度)は陸自であった。陸自は災派でその存在意義を示したのだ。被災者に最も身近な立場から災派で苦労した陸自の定数を大幅削減するのは今の環境では政治的に受け入れられないだろう。
  • fj197099
    このように陸自は災派では存在意義を示したが、問題なのは国防や抑止といった観点からは陸自の存在意義は今後益々限定されていくという事なのである。冷戦期のような大規模着上陸侵攻がほぼあり得ない以上、陸上戦闘そのものがもはや考えにくい。あるとすれば特殊部隊対策だがそれに大部隊は必要ない。
  • fj197099
    陸自はむしろ、今後は基地警備や対艦・対空ミサイルの運営など、敵対者の非対称攻撃に備える少数精鋭部隊としての存在意義を再確立すべきなのだが、現状でその流れが出来ているとは言い難い。結局、陸自の大部隊は有事には余り役に立たず、専ら災派と国際貢献のために存在するという形になるだろう。
  • fj197099
    陸自としては陸上兵力は南西諸島防衛でも役立つとして所謂「南西機動防衛」の発想をもっているらしいが、これはすなわち敵侵攻の直前、又は直後に大規模な部隊を機動的に送り込むことで敵を抑止又は戦況を優位に変化せしめるという発想である。だがこの発想にはかなり問題があると個人的には感じる。
  • fj197099
    その問題はちょうど現在、米国海兵隊が抱えている問題と絡むだろう。すなわち前方展開した陸上兵力というものは、敵対者の接近拒否・領域否定(A2/AD)能力に対して極めて脆弱なのである。南西諸島に大規模な陸自部隊を送り込んでも、実際には緒戦で殲滅されて、役に立たない可能性が高いのだ。
  • fj197099
    こうした事情を考えれば、少なくとも抑止と防衛の観点からは陸自の定数を大幅に削減し、その予算を海空のハイエンド戦力の充実に充てる方針が合理的である。しかし災派や国際貢献の観点からは引き続き陸自のマンパワーを維持するという発想もあるのは事実で、ここがジレンマなのである。
  • fj197099
    ジレンマが生じるのは資源制約という前提条件があるからだ。防衛予算が現状で既に相当厳しい。国際環境を考慮すればこれを大幅に増大させる必要があるが、現実には政治の不作為でそれは難しいだろう。だから限られた資源の有効活用を考えねばならない。これは国民自身が決めるべき問題なのである。
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コメント

  • fj197099
    ちなみに言えば、陸自の目指すべき方向性の一つの形は「西部方面普通科連隊」に現れている。島嶼防衛を目的とした「海兵隊化」を目指す600人程度の少数精鋭部隊だ(実態としては特殊部隊+α)。抑止/防衛の観点から必要なのは、大規模部隊ではなく少数精鋭部隊である。
  • FPS5
    ちょっと暴論が過ぎる気がするけど。特殊部隊対策だって例えば韓国の例を見ても山中に潜伏した工作員を狩り出すために相当数の陸軍兵力を動員してるし、大規模着上陸がほぼありえないという根拠が示されてないし。
  • fj197099
    やや専門的解説をしますが現状は70年代以来の「基盤的防衛力」構想に基づき、日本全国に満遍なく陸自部隊を配備した構図になっています。そういう大規模着上陸侵攻を意識した冷戦的発想からは昨年防衛大綱でこの構想から脱却し、新たに「動的防衛力」構想を採用したことで完全に転換したのです。少ない部隊を機動的に運用することで防衛の実を上げようという発想です。
  • fj197099
    陸自編成定員は51大綱時の18万人から現在は15.4万人へと削減されているとはいえ、特殊部隊対策の為に冷戦期の着上陸侵攻対処とさして変わらないレベルの人員を維持する正当性はありません。仮に数個師団が必要になるとしても、現在の八個師団六個旅団はその目的のためだけを考えるなら明らかに過剰です。
  • fj197099
    ちなみに大規模着上陸侵攻について言えば、これは昨年の22大綱にしっかり書いてある話です。引用すれば、「大規模着上陸侵攻等の我が国の存立を脅かすような本格的な侵略事態が生起する可能性は低い」(p.4)と言っています。「動的防衛力」はそのような大規模な戦闘ではなく、もっと「武力紛争には至らないような対立や紛争、言わばグレーゾーンの紛争」(p.2)への対処を重視したものです。
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