竹の子書房的校正について

竹の子書房組版担当の加藤先生に、校正について質問したらその10倍以上の分量wで大変参考になる答えが返ってきたのでメモ。 今後、校正に関連したことで、注意点や参考にすべきこと等回答を戴いたらその都度追加予定。 こちらも参考に。 続きを読む
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加藤AZUKI @azukiglg

@ts_p 一冊の中で統一されていればどちらでもokです。対象読者の想定年齢によりますが、中学生以上であれば漢字+ルビです。 RT @nekoyadou: @azukiglg 質問。竹の子的校正において「くちばし」は「嘴」ですか? それともカナですか?

2011-08-19 06:28:19
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 例えばそこそこ難しい漢字熟語であっても、ルビを入れること前提に漢字でよいと思います。薔薇、醤油、魑魅魍魎。文意そのものが複雑難解な漢語熟語を使う場合、文章全体とのバランスから、開くか言い換えを推奨する場合もあります。

2011-08-19 06:30:21
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p まあ、バランスと統一感が取れてれば、といったところですかねー。あ、「子供」は「こども」でも「子ども」でもなく「子供」で。「ら致」は「拉致」、「覚せい剤」は「覚醒剤」で。熟語の一部を平仮名に開いた「かな混じり熟語」は避け、できるだけ正則で。

2011-08-19 06:35:27
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 「かな混じり熟語」は原義を損ねるのと同時に、読者を馬鹿にしてるようで好きになれないのです。読めない漢字にルビを振るのはその漢字が読めるようになることで識字の幅を拡げるけど、それを開いてしまったら文字の意味を知る機会を減らします。

2011-08-19 06:36:52
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 漢字熟語は同音異義語の多い表記なので、極力漢字で。「子供」の供は「大人に付き従って歩く」で、なおかつ「供」は普通に習う難字でもない漢字のはずですが、「目下に対する差別的な表現」としてこれを嫌って「子ども」「こども」と表記する例が増えています。

2011-08-19 06:39:59
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p が、「供」に本来は差別的な語意はないですし、むしろ「ども」と開いてしまうことで差別的な語意を持たない「供」から離れて、差別的な意味も含めてどうとでも取れる平仮名にしてしまうほうが、よろしくないのではないのか、とか。

2011-08-19 06:41:52
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 考えすぎっちゃ考えすぎなんですけど、商業誌をやっているとそういう些細な言葉・単語の表記でいろいろ考えさせられてしまうことも多々あります。これはこれで一種の職業病です(^^;)

2011-08-19 06:43:29
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 繰り返しになりますが、「漢字表記のある単語で、平仮名にすると別の意味や意図を持ってしまう可能性があるものは、極力正則に従う」「難字はルビを付ける」「同一作品の中で統一が取れていれば、漢字でも開いてもよい」

2011-08-19 06:44:36
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 表記の例外もあります。「良い出来」「出来がいい」などのように「出来」が単独の語の場合は漢字表記ですが、「よくできました」「できそうにない」など助詞を伴って使われる場合は開きます。「来る」もcomeの場合は漢字付き、bringの場合は開きます。

2011-08-19 06:47:47
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p この辺り、過度に漢字が多すぎると、読者が読み疲れてしまうという事情もあります。漢字熟語は例えば「弱肉強食」を「じゃくにくきょうしょく」と開いてしまうと、平仮名から元の漢字熟語を連想し直してから意味を理解することになるので、却って負担を増やします

2011-08-19 06:49:25
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p この辺りのバランスは校正者、編集者と著者の好みの戦いになるような気もします。その意味で「厳正な絶対原器」って案外ないんですよね。校正って(^^;)「できるだけ正則に従う」「一冊の中で統一を損なわない」にもうひとつ加えるなら「対象読者の年齢を考慮」

2011-08-19 06:53:40
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 昔話ですが小学生向けの本で「弱肉強食」は子供に難しいから「じゃくにくきょうしょく」って開いた、という笑い話があるんですが(実話)、平仮名を読めたって「弱肉強食」という漢字熟語が難しい言葉であることに変わりはなく、これは問題解決にはあまりなってない

2011-08-19 06:55:05
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 漢字を読めるようにさせたいなら漢字で書いてルビを入れるべき、と思う反面、ルビを入れても語義が理解できない年齢の読者を対象にするなら「強い者が勝ち、弱い者は負ける」と同じ意味になる別の言葉に置き換えるべき、とか。

2011-08-19 06:56:18
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 出版社や対象読者によって校正ルールが変わるというのは実際よくある話で、先の「やっと来る=comeは開かないが、やってくる/持ってくる=bringなら開く」なども幾つかの出版社、幾つかの編集部で多用されてるルールですが、会社によっては違います

2011-08-19 06:58:07
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 児童書などでは「まだ習っていない漢字は使わない」というルールがあったりで、さらに文章は不可思議な校正を経ることになるわけなんですが(^^;)、漢字を使えないシチュエーションでは極力「その漢字でなくても理解できる表現」に変えるべきと思います

2011-08-19 06:59:46
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 「薔薇の香りを纏った嘴のある魑魅魍魎が醤油樽から出現した」という一文があったとして、大人向けだったら全部漢字でokです。ルビも付けます。子供向けだったら「バラの香りがするクチバシのあるオバケが、しょうゆのタルから現れた」と書くかも。

2011-08-19 07:02:04
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p この場合、「醤油」は他の言葉に置き換えることができないので、「醤油」とそのまま書いてルビを入れるか、開くか。魑魅魍魎はニュアンスとして「オバケ」で通じるのでそれに、薔薇、嘴は開きますがひらがなが続くと読みにくいのでカタカナに。

2011-08-19 07:03:35
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 「纏う」「出現する」は子供向けには固いので、「~がする」「現れる」など理解を誘いやすくする言葉に言い換え、とまあそういう漢字ですね。校正は読者の理解の邪魔にならない、読者のレベル(理解深度)に歩調を合わせた文章に揃える、という方針でよいかと。

2011-08-19 07:05:23
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p そんなわけで、漢字を無理に多用しすぎるのも、安易に開いて平仮名ばかりの文章になっても、どちらでも読みにくくなるのは確かなので、バランスよくリズムよく、読者の年齢を踏まえて理解の障害にならない程度がベターでしょう、といった感じです。

2011-08-19 07:07:16
加藤AZUKI @azukiglg

怪談本やってると「躊躇」「暫く」「漸く」「狼狽」なんかが多用されるんですがw、「躊躇する(ちゅうちょする)」「躊躇う(ためらう)」、「狼狽する(ろうばいする)」「狼狽える(うろたえる)」、大人向けはどっちを使っても構わないけどルビは入れる、子供向けなら後者で開く、という感じです。

2011-08-19 07:09:58
ねこや堂 @nekoyadou

@ts_p @azukiglg 竹の子的校正で質問。原稿に「数瞬後」というのが出てきたんですが、言葉としてこの使い方は有りですか? おそらくは「ほんの数秒後」のことで、意味合いとしては「瞬刻」「瞬目」「瞬息」等と同じニュアンスではないかとは思うのですが。

2011-08-21 19:39:56
ねこや堂 @nekoyadou

@ts_p @azukiglg 一応調べてはみたのですが、同様の使い方をしているものを見つけられなかったので。

2011-08-21 19:41:33
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou @ts_p 僕はあまり使いませんが、成語としてはありますので間違いではないです。ただ、あまり一般的ではないです。その語を知らない人でも語形から意図は通じるので、使って構わないと思います。

2011-08-21 19:42:55
ねこや堂 @nekoyadou

.@ts_p @azukiglg @J_AMEMIYA ああなるほど、私が知らなかったで言葉としてはあるんですね。わかりました、ありがとうございました。

2011-08-21 19:49:07
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